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第33話くん

にこりとテンチョーが微笑んだ。


「これを見てちょうだい」と彼は手を伸ばし、リモコンを操作する。


ぴこっ。


うぃーん。


かすかな作動音とともに大きなモニターが下りてきた。なんだかハイテクだね。

そこに映っていたのは、さっき盗み見した『カイジュー』映画だった。


どかーん。


暴れん坊の『カイジュー』が大きなビルをぶっ壊している。わお。

尻尾をぶんぶん振り回して、やりたい放題だ。

豆粒みたいな人々が逃げ惑っている。

なかなか良くできていて、とってもリアルだった。CGすごい。


わっ。こっち向いた。


『カイジュー』がぎろりとカメラをにらみつける。

背びれがビカビカと発光し始めた。


これはまずい。たぶん、口から出す光線の準備運動だ。


あんぐりとその大きな口が裂け、しゅんしゅんヤカンみたいな音がした。

そらくるぞ。


びびびびーん。


放たれた光線は街を焼き払った。


じゅわわーん。


ガレキが爆散し、火の手があちこちからあがる。


めらめら。


ひどい光景だ。

ああ、危ない。

なにか大きな物体がカメラに向かって飛んでくる。


がちゃん。ぶつり。


じじ、じじじじー。


そこで、映像は途切れていた。


「これは、『破壊くん』の仕業なのよぉ」


ふむふむ。『破壊くん』ねえ。あれあれ。

ってことは、これは映画じゃないのか?


わわわ、大変だ。


「この世界が滅びに向かっているのは、『破壊くん』のせいなのよぉお」


『破壊』くんは想像、創造物をただ『破壊』してしまう。

受け止めてはくれない。

無慈悲に、徹底的に、『破壊』する。


誰にも伝えられなかった思いは、何処へも行けなくなってしまうんだ。


ナニカを壊したい。ダレカを壊しちまいたい。


そういう暗い衝動に駆られたことって、多かれ少なかれきみにもあると思う。

ぼくだってある。とぼけた顔してるゼペットにだってあるはずだ。


ぐぶりぐぶりと湧き出したコールタールのような感情が、カタチになっちまった。

憎悪。嫉妬。嫌悪。恐怖。激怒。


ぼくはぞっとしたよ。


これって、ぼくにも責任があることだって気がついてしまったからね。

もしかしたら、きみの思いもここに辿り着いちまったのかもしれない。


でも、心配しなくていいよ。


その時ぼくは、「きっとなんとかしてみせる」って強く願ったんだ。

握りこぶしにぎゅっと力を込めてね。


待ち受ける数々の苦難も知らずにさ。



ほーんと、なんにも知らなかったんだ。





おはようございます。


通学、通学のスキマにお楽しみください。

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