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高校入学初日にいきなり女子に泣かれた  作者: バネ屋
第2章 涙の理由(わけ)
22/68

#21 佐倉さんとの交流



 佐倉さんへのメールの返事には

 ・僕も佐倉さんと再会出来て、嬉しかったこと。

 ・佐倉さんが小学生の頃よりも綺麗になってて、驚いたこと。

 ・小学生の頃に貸したタオルは、返さなくてもいいこと。

 ・カラオケでの佐倉さんの歌が凄く上手で感心したのと、曲もいい歌だと思ったこと。

 ・メールのやり取りはやぶさかではないけど、やっぱり返信が遅くなってしまうから申し訳ないと思ってること。


 この内容で、30分程かけて何回か書き直してから送信した。

 須賀さんのことは、須賀さんが僕と既に再会していることを佐倉さんには内緒にしてたから、そのことを話すなら須賀さんと口裏合わせをしてからの方が良さそうだと思い、敢えて触れなかった。



 メールを送信すると、3時を過ぎていたので、この日は解散して、家に帰ってからは家事をやったり勉強をして過ごした。



 そして、今度は深夜では無く夕方の5時頃に再び佐倉さんからメールが送られてきた。


 佐倉さんのメールには

 ・タオルは有難くこのまま大切に保管すること。

 ・代わりに新しいタオルを買ってお返しすること。

 ・カラオケで歌った曲の詳細(『忘れられない』という曲のタイトルの他に、『どっちも・ろっく』というタイトルのアニメの劇中歌で、そのアニメが大好きでDVD持ってるから、興味があれば貸すから是非見て欲しいこと等)

 ・メールの返事をくれるのは凄く嬉しいけど、無理して急がなくても大丈夫なこと。

 などが書かれていた。



 佐倉さんに教えて貰った曲を早速YouTubeで検索してみたら直ぐに動画が見つかったので視聴してみた。

 ついでにそのアニメに関連する動画も沢山出て来たのでいくつか見てたら凄く興味が湧いてきたので、佐倉さんには手短に『アニメ関連の動画見たら面白そうだったから、今度機会が有ればDVD貸して欲しい』とメールすると、即レスで『明日にでも渡せます!アラタくんのお家に持って行きます!』と返って来たので、『明日は部活だし、そんなに急がなくても良いよ』とお断りの返事をしておいた。


 そして、須賀さんにもチャットアプリの方で、佐倉さんにどう説明するかを相談して、『既に再会しててお互い懐かしいねって話してたけど、佐倉さんに関しては、詳しくは話をしていない』ということで口裏合わせした。




 ◇




 翌日は、ミイナ先輩と制服姿で学校近くのコンビニで待ち合わせて、ホームセンターへ買い出しに出掛けた。

 普段は徒歩通学のミイナ先輩も、この日は自転車で来てて、二人で少し離れたホームセンターへ行き、部内での連絡事項を書き込む為の小さいホワイトボードや、部室の表に掲示する部活名の看板用の木の板、何種類ものカラーのマジックなどを購入し、学校へ戻ることにした。


 途中でスーパーに寄って、お惣菜コーナーでお昼ご飯も調達してから学校へ向かうと、丁度校門の所で自転車で帰ろうとしている制服姿の佐倉さんと遭遇した。



「あ!アラタくん!」


「おや?佐倉さんも学校に用事?」


「あ、あの、アラタくんに渡そうと思って!」


「へ?」



 佐倉さんは自転車から降りると、前かごに入れていた紙袋を持って僕の目の前までやって来て、紙袋を僕に差し出して来た。

 因みに、ミイナ先輩は「先に行ってるよ」と言って、さっさと駐輪場へ行ってしまった。


 受け取った紙袋の中を見ると、メールで教えてくれてたアニメ『どっちも・ろっく』のDVDが5つと、綺麗に梱包された薄い箱が入っていた。 薄い箱は、小学生の時に貸したままのタオルのお返し(新品のタオル)だそうだ。



「DVD、態々持ってきたの? GW終わってからでも良かったのに」


「す、少しでも早くアラタくんに見て欲しくて・・・」


「ありがとう。 有難く借してもらうね」


「はい! あ、でも、6巻がまだ発売されてないから、買ったらまた持ってきます!」


「ふふふ、ありがとう。 そういえば、佐倉さんはコレの為だけに学校まで来たの?この後は帰るの?」


「はい、そのつもりです」


「良かったら、部室に寄ってく? お茶は出せないけど、ジュースならご馳走するよ?」


「・・・良いんですか? 部外者が部室に入っても・・・」


「問題ないと思うけど」


「じゃあ・・・少しだけ」


「よし、行こうか」



 駐輪場に自転車を停めると、途中ジュースを奢る為に自販機コーナーに寄って、フルーツ牛乳を僕が買うと、佐倉さんもフルーツ牛乳を選んだ。


 それで、須賀さんの事を思い出して、口裏合わせしていた内容で佐倉さんに説明しながら部室に向かった。

 佐倉さんからも、今日は僕から部活だと聞いて、てっきり学校に居ると思って来ちゃったけど、どこに居るのか分からなくて、駐輪場にも僕の自転車が無かったから諦めて帰ろうとしてたところで偶然遭遇出来たと、歩きながら説明してくれた。



 部室では、先に来ていたミイナ先輩が既に鍵を開けてて、買って来た荷物の開封する作業をしていたので、入口で「お客さん連れて来ちゃったんですけど、良いですか?」と一言声を掛けると、「おっけー!」と快諾してくれたので、佐倉さんに「中へどうぞ」と言って入って貰った。


 ミイナ先輩と佐倉さんをお互いに紹介すると、ミイナ先輩は佐倉さんのことを「あー、アラタのクラスに居たすっごい綺麗な子かぁ。どっかで見たことあるって思ったんだよねぇ」と言ってて、佐倉さんは真っ赤な顔して「き、きききき綺麗だなんて!?とんでもないです!」と必死に否定してたけど、ミイナ先輩に「ガチで可愛い子が否定すると逆に嫌味になるよ。こういうときは『ありがとうございます』って言っとけばいいんだよ」と注意され、佐倉さんは素直に「ありがとうございます」と返事をしていた。

 一応僕からも「ミイナ先輩なんて、いつも自分が一番可愛いって言ってますもんね」とフォローしておいた。



 佐倉さんにはソファーに座って貰って、僕とミイナ先輩は買って来たホワイトボードの設置場所を決めたり、部室の表に掲示する部活名のカンバンのデザインを考えたりと、作業を続けていた。


 その間、佐倉さんはソワソワしつつも僕達がやっている事を興味あり気に見てて、視線が気になる僕と目が合う度にカラオケの時みたいに俯いて視線を逸らしていた。

 ミイナ先輩は佐倉さんのその様子を見ては、ニヤニヤしていた。



 一通り今日予定していた作業を終えたので昼食を取ることにしたけど、佐倉さんは自前のお昼ご飯は無く、「長いことお邪魔しちゃったので帰ります」と佐倉さんが言い出すと、ミイナ先輩が「私とアラタのお昼ご飯沢山買って来たから、佐倉ちゃんも一緒に食べよう!」と引き留め、3人で畳に座って昼食を食べることになった。


 スーパーで買って来たお惣菜を食べながらの雑談は、僕とミイナ先輩ばかり喋ってて、佐倉さんは相変わらず大人しかった。

 それで、何か佐倉さんでも話せる共通の話題は無いかと考え、借りたばかりのアニメのDVDをミイナ先輩のノートPCで視聴することにした。



 最初は僕もミイナ先輩も食事をしながら見てて、食事を終えてからも畳で寝転がってアニメの続きを見ていた。


 ミイナ先輩は、「結構面白いね。 日本のアニメ作品なら邦画のカテゴリーに入れても良いかも」と言ってて、僕からも「それはアリですね。 日本の劇場版アニメって、クオリティ高いですもんね」とか話してて、佐倉さんはそんな僕達の会話を嬉しそうな顔でウンウン頷いて聞いていた。


 2巻まで視聴を終えると、ミイナ先輩が佐倉さんに「佐倉ちゃん、この邦画研究部のこと、どう思う?」と質問した。



「凄く楽しそうで、羨ましいと思います」


「なら、入部しない?」


「え!?」

「おや?」


 てっきり、ミイナ先輩は僕と二人きりの部であることに拘っていると思っていたから、佐倉さんを勧誘したことにはビックリした。

 でも佐倉さんは、「別の部活からも誘われているので・・・」と断ってて、なんだか悲しそうな表情をしていた。


 佐倉さんはとても美人で人気者なので、色々な部活動からの勧誘を受けているのだろう。

 悲しい顔をするのは、そのことで何か嫌な思いや辛い思いでもしているのかな?と勝手な想像が頭に浮かんだ。


 ミイナ先輩もその様子から何かを察したのか「そっか、残念だねぇ。 でもいつでも遊びに来ればいいからさ」と佐倉さんに優しく言葉をかけていた。


 ちょっぴり空気が重くなってしまったので、話題を変えるために、窓に設置する遮光カーテンのことをミイナ先輩や佐倉さんに相談して意見を貰うことにした。



 ・光が漏れないように隙間を無くすこと。

 ・完全密閉すると換気などが出来なくなるので、開閉もしくは着脱が簡単に出来るようにマジックテープ式を考えていること。

 ・布の端切れの等を使ってハンドメイドで作ることで安く済ませること。


 これらを踏まえて、実際に窓に付けた状態をイメージした絵を描いて、説明した。

 すると、二人からは家から布の端切れを持ってきてくれることや、ハンドメイドなら手芸部に依頼なり相談なりしてみることなどの意見が出てきて、早速GWが明けたら遮光カーテンの製作に取り掛かることとなった。




 この日も3時には解散となり、結局最後まで居た佐倉さんと一緒に下校した。


 帰り道、のんびり自転車を走らせながら雑談をしていると、ウチの近所のセブンイレブンに着いたのでそこで別れる事になった。


 別れ際、佐倉さんは今日部室に招いてもらったことを何度も感謝してて、やっと話せるようになったのにいつも大げさな感じがしてて、もっとフランクになって欲しかった僕は、そんなに大したことじゃないからと宥めつつ、なんとか話題を変えようとご馳走したフルーツ牛乳の味について感想を訊ねた。


 佐倉さんは「独特の甘みがクセになりそうでした」と味の感想を話してくれた。


「美味い」「不味い」と答えずに具体的な説明をしてくれるところが真面目な佐倉さんらしくて、その言葉に満足した僕は「じゃあ、遅くなるといけないから、僕は帰るね。佐倉さんも気を付けて」と言いつつ、佐倉さんが帰って行く姿を、見えなくなるまでその場で見送った。








 第2章、お終い。

 次回、設定解説挟んで第3章スタート。




 元ネタの曲

 https://www.youtube.com/watch?v=f4i6Pi2KQh0




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