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5話 その後の課題

ここから日常パート8割、説明または戦闘パート2割くらいの予定です

 心地良い光が顔に浴びせられて、目を開く。


「…ここは?」


 えっと、どうなったんだっけ……確か王都中心部付近でスキル使う所までは覚えてるが。そこから記憶が無い。

 頭が重い、軽い風邪か疲労が溜まったのか……風邪ではなさそう。身体を起こしてもダルい感じはあっても熱ではなさそう。服も歌姫の衣装から、豪華なパジャマ? に変わっている。胸元まで出てる薄い衣装でこのままじゃ外なんて歩けない。他に服は…。

 周りを見渡すと、昨日の騒乱が嘘のような綺麗で豪華な作りの部屋だった。貴族が使うようなそこそこ大きな鏡やベッド、ふかふかの布団や恐らく着替え用のクローゼットまでも置いてある。普段の生活が見えるくらいには贅沢な暮らしをしてそう。


「「あ」」


「シエラおは……ガハッ」

「リーダー! やっと起きた!」


 扉がノックも無しに開かれると、これまた部屋着だろう薄着のシエラと目が合う。その直後、挨拶しようとした瞬間にみぞおちへ頭突きが飛んでくる…痛い。

 痛みでよろけ、幸いにもさっきまで寝ていたベッドで尻もちをつくことが出来た。どのくらい寝てたかは分からないけど、心配をかけてしまった様だ。

 とりあえず引き離すが、今度は抱きついてくる。一瞬見えた顔には若干目にはクマ出来ていて、少しどこらじゃなさそう。


「ちょっと、シエラ落ち着いて」


「だって、まる1日起きないんだもん。心配なるよ!」


「そんなに寝てたの? 分からないけど、多分疲労だから気にしないで」


 ほんと? と上目遣いで見てくるシエラにうん。と返しながらも、みんなはどうなったのだろうかと少し考えてしまう。

 クリシックは…まぁ大丈夫だろう、ヒメノもああ見えてゲームの中ではしっかりしてたしな。現実ではあったことも無いので信憑性があるかは別だが、なんとなく大丈夫な気がする。シエラはどこか子供っぽいというか妹っぽい感じがあるから、一緒にやってても少し不安があったりもする…本人には言わないが。

 そう思っていたせいか、彼女の頭に手を乗せて優しく撫でてみる。するとシエラは気持ちよさそうに目を細めて身を任せてくれた。


 さてっと、気絶した理由だけどスキルの使いすぎ……いわばゲーム側にあったMPの使いすぎによる物じゃないかと思う。

 こっちに来てもちろんの事、ステータス画面などの表記が見たことが無い…方法があってもとしても確かめる時間もなかったけど。スキル自体の発動はこの体が行ってくれる。そのMPの回復手段のスキルも使える筈だし、断定は出来ないけどMPがすっからかんになると気絶する感じなのかな。


「そういえば、クリとヒメノは?」


「えっと、2人は外に出かけてる。クリシックは復興の手伝いしてたら子供に懐かれてそっちに行くって。ヒメノはそこら辺ぶらぶらするとか」


 なんとも自由だなぁ…むしろいい事か、今の俺たちには情報が足りなすぎるし。まだ少しフラフラするけどお腹空いたし、リビングくらいあるだろうから行こうか。



 シエラに案内してもらう最中に色々、さらっとあった出来事を聞いた。


「リーダーが倒れてから、クリシックが慌てて掴まえてしばらく私達は騒ぎを収めてたんだけど…」


 倒れた瞬間聞こえた声はクリシックのか。その後、死にそうな人は俺のスキルである程度癒えていたらしいが、救出するだけで時間かかる上。崩れた家の状態も、全てがボロボロになってしまっているらしい。

 そこで宿屋や商人が結託して、休める場所や治療薬の準備をしていていまだまだ途中だとか。一部救出するため2人も含め奮闘してる。

 それはそれで良かったのだが、王様が戻ってきてはなんか一悶着あったみたいな話も? ちなみに俺たちがいる場所は被害を免れた少し古い屋敷らしく。ひとまず王様の命令でここに住むことになってるとか。


「そういえば、ニーシャも今日来るって!」


「ニーシャって、誰?」


「私達をこの世界に呼び込んだ姫様!」


 なるほど、なんとなく覚えてる。まぁあんな状況であれば呼ばれた方も助けたくなるものだが…。

 少しおかしな話だ。何がとは明確に言えないけど、相手の戦力に対して王都の設備が無防備すぎる。ゲームであればそういうもの、で許されるがここは現実だし少数のドラゴンくらいなら撃退していてもおかしくない世界観の筈だ。しかしドラゴンは飛んでいて魔法も使う、こっちは物理で対抗するそんなのやらなくても分かる。それともあのドラゴンがイレギュラー…この世界の存在じゃないとか?

「ねぇ…ねぇってば!」


「え? どうしたの?」


「本物のお姫様っているんだよ! 動きも綺麗だし仕草も容姿も凄いんだよ!」


「本物か…私も少し見てみたいな」

 真実が知りたいしね。


 確かめないと、この世界と元の世界。ゲームの中の上位陣がここに来ていたとすると、この世界は……何もかも壊れてるだろう。呼んだ理由が王都の救出だとしたら、この場所以外で…他の国が他の人も呼んでる可能性があるからだ。

 そして俺たちがこの後どうなるのか……それは、この国の防衛。悪く言えば捨て駒にするつもりでは無いだろうか。

 いや悪いことばかり考えるものでは無いな。


「ここがリビングだよ。メイドのシーちゃんも待っててくれてるから行こう!」


 ノックもせず中に入っていくシエラの後ろをついていき。大きなテーブルに白いクロスがかかっている部屋に入る。そのテーブルの上には食器、そして料理が並べられていた。

 厨房があると思われる先からメイド服を着た女性がこちらへ気づく。すると少し驚いた表情を浮かべてから食器を置く。


「ヒイラギ様、意識が戻られたのですね。私は先日から他の2方を含めてお世話させて頂いているシーナと申します。シエラ様もここまで連れてきてくださってありがとうございます」

 ふわりとした動作でお辞儀と挨拶をする。うわぁ本当にメイドだ…現実じゃ画面越しの空想くらいしか見たこと無いよ。


「ご丁寧にありがとうございます。ご迷惑をおかけしました」


「いえ、国王様から丁重に扱ってくれと言われてましたから」


 俺も意識はしてないけど、自然とそういう動作や言葉使いになってしまう。この姿のせいかな。

「ヒイラギ様、意識が戻られたんですね」


「ニーシャおはよう!」


「うふふ…シエラもおはようございます」


 噂の姫様も来たらしい。この世界の時間は詳しくないからどうと言えないけど、朝から少し遅いくらいなのだろう。

 後ろを振り向くと、ニーシャ姫に抱きついてるシエラの姿が。凄い仲が良いんだな。


「姫様もどうぞ、おかけになってください」


「わかりました、ほらシエラ座りましょう? ヒイラギ様も遠慮せずに」


 そう言われて、料理が置かれているテーブルの椅子へ腰掛ける。

 少し賑やかな会話が流れる朝食を頂いている最中、俺は別な事を考えていた。

 みんなはこの先どうしていくのだろう。俺は…この世界を知りたくなってしまった。深い意味は無く、単純な好奇心だ。あっちの世界は退屈だ。刺激を求めればネットを使えばすぐだしやりたければやりたいように生きていける。ただその不自由なき自由が逆に…どこにも踏み出したくないという気持ちを作ってしまった。この世界は不安定だと思う、だからこそなのか面白そうだと思うんだ。

次は6月11日予定です

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