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3話 打倒

前回の続き


サブタイ変更

 ボスドラゴンの強さも分からず、飛んでいる敵に何をするのか。恐らく答えはシンプルなんだ。


 叩き落とすか、空中でケリを付けるか。

 どちらも悪手でもあるし、他に方法は無いと思ってもいい。それだけ見れば無理だが。見方を変えれば不可能ではない。


 敵が思っている以上の出来事をぶつけるだけだ。


「…それでどうするの? 大規模な魔法を打ち込んでもいいけど」

「ヒメノ…ありがとう。調子に乗りすぎたー」


「ゲーム内だったら、全力でやれば呆気なく倒せるだろうけど。今は街の事も考えなきゃいけないから」


 ヒメノの箒に乗せられてシエラは少し落ち込んだ様子だ。

 あの時判断を一瞬遅れてしまっていたから、シエラに感謝したい。

 油断はしない。だけど守る者がいる。そんな状況は等しくやりづらい。


「よし! あの方法で行こう3人共よく聞いて」


 ゲームでも似た様な状況はある。昔の戦法だけど有効で無くとも、あのドラゴンの力量くらいは測れるだろう。



 まず初めに俺は拡大した範囲内へ、支援を行う。


「必中のヴェアヴォルフ(能力上昇)、海燕のシルフィード(空中足場)」


 楽器が変わり、チェロへ変化。最初と違った低音の音色。荒々しい歌声に、風が踊る旋律が重なる。

 歌姫のスキルはカスタマイズが9割を占めてる。〇〇の〇〇といった変わった枠組み。それにスキルを当てはめて作る。

 効果が強いのか弱いのか、長いのか短いのか、範囲はあるのか、など。

 誰よりも作っては使い分けの面倒で目立つ事のない。地味で後衛で敬遠される職業だったりする。好きな人は一定数いるらしいが。


 みんなは最初戸惑いながらも、3人は空中へ向けてジャンプを繰り返す。


「わー、本当に飛べる! 凄っ何これどんな原理?」


「飛べる、とは違うな。立っているに近い」

 なんか楽しそうだな、自分じゃ体験出来ないし後で感想でも聞こう。

「…これ、少し面白い」


 暢気過ぎないか? 全域への攻撃を防ぐ為にクリシックにスキルを使ってもらっているが。

 そのくらいの方が良いのかもな。変に緊張してるより、ゲーム感覚といえばいいのかお気楽といえばいいのやら。

 巨大なボスドラゴンへ向かう3人を見守りつつも作戦の確認をする。


「チェインフレイル(弱体拘束)」


 地上から飛び出す巨大な鎖がドラゴンに絡まる。

 ヒメノの魔法で弱体化しつつ、動作を封じる。それ自体の拘束こそ弱いが飛行能力が大幅に下げられる。絡まる重りといった所か。

 移動封じ機能は相手のレベルやボスクラスで変動する。長くて10秒、短いのだとそもそも効かない…ってもう切れるのか。

 足掻くドラゴンは地上の鎖を難なく引きちぎる。

 恐らくボスクラスだな。レベルが一緒という可能性もあるが…後者はやめて欲しいな。


「メテオストライク(地上落下)」


 拘束が切れる直後、クリシックが身体以上の大楯で頭から地面に向かって叩き落とす。

 スキル説明では、敵の体重を重力に加えて〜と書いてあった気がする。重ければ重い程威力が高くなるという解釈か?

 地上に落とすのは、例えば鳥を相手には空中よりも地上だよな? という一般論である。陸空を取ってもどちらも規格外なのがドラゴンなのだが、ゲームだと。


 このタイミングで俺のスキルが終了する。


「…迎えに来た。乗って」


 箒に乗ったヒメノの横に腰を下ろしてドラゴンの元へ。



 辿り着くと、そこには先に戦闘している2人とドラゴン。

 平原に向かって無慈悲な炎が広がる。周りが焼き焦げる程の炎に対して、クリシックが抗うように巨体へ突進を仕掛けていた。


 箒の上から王都を囲む壁の上に、降りる。


「戦火のクオリア(スキル短縮)、無形のフラクタル(限界突破)」


 小型のピアノと歌声が響く。

 他人事みたいだが、スキル毎にしっかり違う。歌ってる本人体が勝手に動く様な物で、そこに特別な意思が無い。スキル抜きで、となると恐らく無理。スキル名に反応して動く、まるでゲームみたいだな。


「フリーズフィールド(凍結氷倍加)、ブリザードランス(氷柱魔法攻撃)」


 こちらのスキルと合わせる様に、ヒメノが魔法を唱える。

 ドラゴンの真下のみ凍らせ、氷柱型の氷が大量に降り注ぐ。またその攻撃に怯むドラゴンに、すかさずクリシックとシエラが飛び込む。


「シールドチャリオット(防御力反転打撃)」

「氷結連撃(氷斬撃)」


 ドラゴンの頭上に2人並んで飛び込む。反撃に炎を吐き出そうとするちょっとした隙間。それぞれのスキルを叩き込む。

 クリシックのシールドを槍にした防御犠牲スキル、シエラの鞘から目に見えない速さで出される刀で切り刻む連撃がドラゴン頭部の皮を完全に破壊する。

 それだけでは不十分。その最後にシエラが追い討ちの一発。


「返し氷壊月光斬(総氷被倍加斬撃)」


 周りの氷フィールドもろとも、シエラの斬撃は氷を打ち砕く。斬撃の軌跡は氷の亀裂となりガラスが割れる様に砕け散り、それを巻き込まれたドラゴンも例外ではない。

 というよりも、現実に見るとシエラの職業って男のロマン溢れるんじゃないだろうか。


 シエラの職業は刀で分かる通り、侍だ。日本の創作をベースに憧れを再現した技が多い。

 ただ一言、凄く面倒な職業だ。ヒメノの職業である魔女と同じ属性使いでもあり、互いに補い強力にする。先程の技も、魔女の魔法を掛けた上で真価が発揮されて強さがでる。



 ボスドラゴンが倒され、俺も一息付く。ヒメノの箒に乗せてもらってみんなに合流する。


「なんか異世界って感じするよね!」

「ノリで戦ってました。が、本当に不思議体験ですね」


「…魔法とか、本当に魔法みたい」

「魔法なんだから…いや私も何で歌って演奏出来るのか不思議ですけど」


 と、それよりも。本当にこれだけなのか、残党いないかくらいは確認しないとな。

 みんなに趣旨を説明し取り敢えずは見回りをする事に。


「それじゃあ行きましょうか」

「「「おー」」」


 俺達は王都内へ4人別々に散っていく。住民がまだ現実を受け入れられていない状況で。


 名も知らない英雄だろうか。それとも、ただの旅人に見えるのだろうか。それとも…化け物に見えてしまうのだろうか。

 この騒乱の中で1人も冷静で居られない、そんな絶望の中に現れた4人組。小説や漫画の中では熱い展開だろう。しかし、現実はそうは見えない筈だ。

 俺だったら…お前らは確実に化け物に見えていた。手も足も出ない敵を、それも身長を遥かに超えるデカさの相手を軽く倒すのだから。人間に見えたのは少ないのではないか。

 そうなると、俺は…ただの人になろう。こいつらも含めて。強くても、かけ離れていても、同じ人間なのだから。

次の更新は1週間後、お楽しみに!

5月28日

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