18話 周辺探索
急展開、では無いけど色々急過ぎではあります
ミラールさんの店から買い物を済ませて、とりあえず自由行動になった。総合の値段を聞くと、十万単位の金貨何枚か。俺が日本で暮らしていた頃でもここまでの買い物は中々しないから顔が引きつった。どこからそのお金が出ているのだろうか……王宮とか王様?
改めてシーナに頭が上がらない思いをしつつも、この後はヒメノとの王都の周囲を探索したい。そう声をかけるとOKがもらえたのだが、本当に警戒をされているのか疑問に思ってきた。
お言葉に甘えて、昼夜問わずの見張る衛兵の門から外へ出てから探索を開始する。
「そういえば、ヒメノは高い所とか平気なの?」
「……うーん、こっちに来るまでは正直苦手。でも、なんかこっちに来てからはすこぶる平気。むしろ楽しく感じる」
「恐らくキャラクターの影響かな、私みたいな感じの」
とか言いつつも、こうやって彼女の箒に一緒に乗らせてもらっていても俺も別に怖いという印象は無かった。普通に箒への横乗りで、2人も乗ったらバランス感覚なんて無いに等しく。それでも会話を楽しむくらいには出来るってヘリくらいの安心感。
王都を上空から見上げると、周りの草原と近くの林が目に写った。王都の周りは頑丈な塀で守られており、周りの侵入を防いでいた。俺らの屋敷はそのちょっとした横に建っていて安全性はあまりない。クラン長によれば突然変異の動物くらいが危険だとか言ってたので、別段問題は無い?のか。
林の真ん中を切る様に、王都から黄色い土。恐らく馬車などの移動時に使う正道整った道が引かれていた。よく見ると、林の中にも集落は存在するし、草原の中には小さな町と言える建物に農場まで。奥にも王都に負けないくらいでかい国も建っている。
「こう見ると途端にRPGをしたくなる」
上から見上げてる画像で、1歩1歩進むゲームとか。
「……年代。ん、あそこ道に外れて横転してる馬車がある」
そんなに古い訳じゃ…と思いつつも、ヒメノに言われて指を指している方向へ視線を向けると確かにあった。場所は林の中、よく見てないと気づかないくらいだが。
興味本位で行ってみるかと声を掛ける、とりあえず直接は危ない上に誰が見ているか分からないので林の外から正道通って歩いていく。
「……! 血の跡、後もしかして近くにあるのって、死体!」
ヒメノは場所に着くと、馬車に残ったそれを見てしまい。口元を抑えながら顔を青く染める。漂う何かが腐った匂いも相まってこういう状況は直視もしたくない。
周りを警戒するも、これをした人物または動物は無い。とりあえず、切り傷からしても人間の仕業みたいだが。
俺も平気かと言われれば無理! グロテスクなゲームをしていたから多少耐性はあるけどそうじゃない。しかし、ここは2人してダウンしてしまってはダメだ。人が倒れている所を巡り、とりあえず生き残りを探してみるが望みは薄い。
「全滅か……」
うぅ……誰か。そう聞こえた瞬間振り向く。
「旅の方、か存じませんが。お嬢様を……盗、賊に連れ去られ……」
よく見ると、彼は年老いた男性だった。しかし、全てを語り継げられず。最後の息を引き取った。こんなの日本じゃ人生1,2回あればいいのに、何故冷静で居られるんだ俺は。
選択肢はある、助けるか見捨てるか。俺個人、助けたい…が果たして助けられるのか? という所だ。ミイラ取りがミイラになるなんて言葉くらい知ってる。確かに持ってる力を使えば俺のでも十分に人を殺してまで救出は可能だ。
ヒメノ能力あれば全滅なんて余裕だが、人を殺しておいて……果たして精神的な物で大丈夫なのだろうか。俺なら100歩譲って大丈夫だとしても、彼女はあれを見ただけで顔が青ざめる。
「……ふぅ。ヒメノ、シーナに事情を説明して誰か頼りになる人を連れてきて。私は残るわ」
俺はどうしようか、ここに居てもいいが。恐らく死んだ人は生き返らせる事は出来ない。盗賊のアジトくらいは突き止めてみようか。
「……ヒイも行こう? こんな所、いちゃダメ。あなたも同じ事になるかもしれない!」
「大丈夫、じゃないけど。隠れてるから安心して行きなさい」
なら私も残る、と言い出すヒメノを宥め。取り敢えず箒で行かせる事には成功した。
少しの間周りの馬車の荷物を漁ってみるが、物系統は全て取られていた。馬も同様居ない所を見ると物取りになるのだろうか。
雑草の上を歩く物音がして俺は咄嗟に長い草の上へ隠れる。
「ふんふふーん、大量大量。頭もたまにはいい所あるじゃねぇか最近じゃ何も無かったからなぁ」
不味いな。と思ったのと同時に、どうする? という疑問の心の声が響く。
いざ対峙してみるとこれだ。心臓の音がバクバクして呼吸もおろそかになる。しかし、それを抑えるために静かに深呼吸もしなければならない。
取り敢えず、相手の動向を見守ろうと決心した。
次は9月17日に更新する筈




