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17話 4人のいる日常(4)

次からは別な話となります(多分)

前回の更新時にあらすじもちょこっと変えました

 あれから無事に目立たない様な少し落ち着いた衣服をとりあえず買ってもらう事になった。露出はともかく見られても普通の女性程度には思われるくらい地味な服装にすることにした……まぁ周りは不満があったが。

 衣服店……と言って良いのだろうか、ここは何屋に入るとか言われたら衣類だけど。日本だと固有名称というかブランドで呼ぶことが多いからこういうのは何て言うんだっけ?

 周りには宝石を使ったアクセサリー、指輪も置いてあったりと衣服店だ。とは言い切れないのも本心ではあるけど。しかし、周りの物は高そうな品ばかりだった。値段の差異なんて物は聞いてもこの国の事は分からないから店長に聞くのもためらってしまう。

 そういえば、お金の話を聞くのを忘れてしまった。今すぐ聞こう……と思ったが3人であちらで盛り上がってしまっていて入りづらい。


 窓際で少し離れた場所から、3人の様子を見ると凄く楽しそうに見える。実際にこういう場面に遭遇すると、元の性別の違いというのを感じてしまう。ファッションとか興味が無いし、化粧関連なんて言われても子供にも負けるんじゃないだろうか。それにそこまでテンションが上がらない為、すぐ疲れてしまう。


「ふぅ……」


 別段帰りたいまでは行かなくても、手持ち無沙汰になってしまった。混ざれれば一番なのだが目に見えてついていけないのはなんだか申し訳ない。

 すると店長であるミラールさんが俺の方へ手をヒラヒラさせて近づいてきた。


「噂の歌姫様、どうかしたの? といっても中々馴染めてないようだけど、着飾るのはもしかして嫌い?」


「ヒイラギでいいですよ。馴染めない、というよりはこういう事はあまり全然知らなくて」


「知らない? まぁ着飾りが苦手な方もいらっしゃるから……では私と少しお話しません?」


 ミラールさんは興奮すると暴走する、とシーナが言っていた。恐らく入ってきた時に早口になったアレだろう。確かにアレ以降は、普通の喋り方でなおかつ良い人そうだった。しかし、疑っている身としては情報を集めたい。まぁそれ以前にシーナに対してあまり知らないので、聞いてみたかった。

 少なくとも彼女とは知り合い以上な気軽さで話しかける所を見ると、やっぱり彼女自身悪い人じゃないんじゃないかと思ってしまう。

 3人と話しているシーナは笑顔が絶えなかった。最初こそ俺に緊張なのか警戒をしていたのだろうけど、その後は割と普通の一般的な接し方をしてくれている。


「……それにしても、あの子の笑顔は久しぶりに見たわ」


「そう、なんですか?」


「えぇ、あの子。今あなた達の屋敷で働いてるでしょう? 前の職場で、同僚にも上の人にも雇われた人でさえも色々あって止めちゃってたのよ。それが王様の命令だ、だとかでみんなやりたがらなかった……あぁごめんなさい。あなた達の悪口じゃなくてね、見知らぬ人の、金になるかも分からない所に働くの嫌だってなって。彼女へ無理やりで今の仕事になったのよ」


 へぇ、そうなのか。俺は相槌を打ちつつも少し意外だと感じた。彼女は行動力はあっても問題起こすような人ではないと思っていた。色々あって、の部分は何かは分からないが言いにくい事なのだろう。

 その一方誰もやりたがらない、という所には納得出来る。実際、俺がその立場になったら十中八九断るだろう、どれだけ報酬が良くても。それは、相手がどんな人物で未知数の力を持っていて、良い人かもはっきりしないくらい分からない存在だからだ。

 例えば屈強な男4人の所に派遣された時、身元不明、住所不定、経歴無し。そんな所に入ったら何されるか分からない。


「やりたくない仕事というのは、その通りだと思います。私もよくこんな誰かもはっきりしない人達に良くしてくれるんだろう、と思ってまして」


「それはみんなあの奇跡を見てたからさ」


「奇跡?」

 身に覚えは無い。確かにスキルの使用はしていたが、奇跡を起こすような大規模な物は使ってないはずだ。


「あなたが倒れる、あの瞬間までみんなが見ていた物は地獄そのものだった。それを声で、音楽で流れたあの時だけで誰もが奇跡を信じたんだ。もちろん私もさ」


 昨日も散々言われた気がするなぁ、俺にとっては助けられるなら助けたいと思っただけだし。そこにこの世界に呼ばれたからだ、とかそういうのは一切無い。


「今日、あんた達に出会って改めて思ったよ。この国を救ってくれてありがとねって」


 そういう言葉は嬉しいな。



 それから3人の買い物が終わるまで、どうせならこの国の事について教えてもらった。

 ハイリアム国というのがこの国の名称だった。そんな名前だったのか、と本当に知らない事を露呈させてしまったが。なぜ周りの国の事情や国名など本当に知らないのか不思議に思われたが、異世界から来たなんて言っても信じてもらえるか分からなかった。

 各国の通貨は銅貨、鉄貨、銀貨、金貨と4種類。それに加えて貴族間で使われる事が多い黒貨という物があるらしい。まぁ基本は銀貨までらしく、金ましてや黒なんて普段生活で見ることはほぼほぼ無いらしい。ちなみに値的には十円が銅貨とすると、鉄貨が千円になるみたいだ。そう当てはめると確かに上の値段はそうそう聞かないな。


「そういえば、隣国の馬車が王宮へ向かうのを見たね。こんな忙しい時に何をしに来たのか、気になるね」


 隣国とは交易はしているらしいが、どうも最近は仲が悪い。というよりは一方的に、色々キツイ要求をしてはこちらの提案を蹴ってるらしい。政治の方は何やっているのかぶつくさ言っているが、最近過激になっては値上げもしてくる商人も居たとか。


「危なそうだからって、冒険者を雇って見張らせたら案の定。盗賊みたいな奴らに囲まれてしまってね。返り討ちにしてもらったけどね」


「隣の国との交易って大変なんですね」


 彼女も商人である以上、鼻が利くというものだろうか。そういうのって経験を元にした感だからある意味一番欲しい特技だ。しかも商人というのは日本で言う所、企業と企業のビジネスだろう。色々な国の商人に聞く機会があるから情報もそこそこ信憑性が出てる。

 しかし、隣国が今来るというのはどうしてだろうか。すぐに会えないのはその隣国が来てしまったからなのではないだろうか。どうも隣国絡みの話も混じってきてキナ臭い。


「私の感だけどね……なんかとんでもない事が起きそうな気がするよ」


「ヒイラギ様ー、後はあなたの分だけですよ」


「え……私の分はもう買った筈ですけど」


「1着だけじゃないですか、ほらほら。選びますよ……あれなんかどうです?」


 そう言いながらも俺の元にやってきたシーナに手を引かれながらも、3人の中へグイグイと半端強制的に連行されてしまった。しょうがない、聞きたいことも聞けたし自分に合いそうな服でも探すか。


 話しかけてくる3人を尻目に、視線を感じて振り返るとミラールさんが手を振ってくれる。その表情は娘を見守る親みたいだ。

 先程の話といい、シーナの過去に何かあったのだろうか。彼女との関係はそれだけでは内容なそんな感じがしてならない。

次は9月10日更新でーす

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