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16話 4人のいる日常(3)

のんびりした内容を描いていきます。予定ではこの話は次で終わりです(予定)

 道中、先頭をシエラ。それに引っ張られる形でヒメノ、その歩幅を微笑ましそうな笑顔で少し後ろを行くシーナ。その様子を苦笑しながらもクリシックと共に横で歩く俺。


 本当に仲が良いんだな、と保護者目線みたいに微笑ましく思っていると。門番の方が2人、昨日と同じ様に立っていた。俺ら4、5人で出たり入ったりを繰り返す為なのか、割とフレンドリーにしてくれる。一番最初なんか門番なのに何故か心配してくれていた。

 あの屋敷は王都からちょっと離れた場所にあり、王都の中じゃないってだけでも王様が何か言い出したのではないかと思ってしまう。といっても歩きで行ってもさほど時間は掛からず、馬車を使うほどでも無かった。最悪ヒメノの箒に乗せてもらえばいいしな。

 出入りはシーナに伝えるのが条件で、基本は自由に外へ入ったり出たりが出来ない。まぁ伝えなくても門番が誰々が通ったとか、どのくらいで出たというシーナへ言伝されるのみだが。あの一件で一応信頼はあるのか?


「通ってよし!」


 持ち物検査を全員分行い、中へ入ることが許された。昨日も思ったことだが、中に何か入ってないのかくまなく調べる本格的な検査だった。

 シーナに聞くと貴族や王族は基本スルー出来る物が多いものの、それでも軽い持ち物検査を行うらしく、この国の中へ入るには許可を得ないといけないらしい。まぁ俺らに取ってはルールがあれば行うのは当たり前だが。あとそれと、許可無しに行うと捕まるらしい内容によっては牢屋直行だとか……ヒメノに箒で塀を飛び越えて行かないように釘指しておこうかな。

 中へ入ってしまうと、やはり目に映るのは所々焼け焦げた建物だろう。それでも皆、頑張っているのがよく分かる。俺達に気づくと手を振ってくれる者もいる。どうしても周りの人達にとって俺達は派手な格好ではある為、すぐに目が付くのだろう。


「そういえばクリは何処に向かうの?」


「ん? あぁ衛兵の詰め所の方だ。なんかあの騒乱の後、衛兵の人手が全然足りなくて少し頼み事されてたんだ。暇を持て余すくらいなら行ってみるのも面白いなと思っただけだ」


「場所分かるの?」


「あの時のお前が起きる前に、案内されたから知ってる。それじゃあ俺はこっちの方だから」


 クリシックは俺にそう言うと、シーナにも同じ様に伝えてその場から離れていった。ゲーム内でクリシックは割と自由人だったからなぁ、練習する時も他の人と遊んでて遅刻はするし。俺を含めみんな必死でやってる所冷静に対処するし。

 それにしても俺が起きる前か、じゃあ知るわけないな。衛兵の詰め所で呼ばれるって事は実力を買われて、だろうか。

「……ヒイどうかしたの」


「へ……?」

 いきなり目の前でヒメノに話しかけられて、直様対処出来ずヒメノとぶつかってしまう。


「……痛い」

「私も……」


 俺とぶつかって、双方尻もちを着いてしまう。とりあえず立ち上がって、ヒメノの方へ立ち上がらせる為に手を差し出す。

 いきなり話しかけられて流石にびっくりしてしまった。考え事をしてることが多くなったせいか注意力が散漫になっているのかもしれない。気をつけないと。

 ヒメノは俺の差し出した手を見て、少し止まっていた。何か考えている様にも見えるが、すぐに俺の手を取って立ち上がった。


「……ありがとう」


「私もごめんなさい、ちょっと色々考えちゃってて全然気づいてなかったから」


「……悩みだったら聞くよ?」


「ううん、大丈夫。色々調べてみたいことがありすぎて時間に困ってるくらい」

 嘘ではない、実際にただの興味というか趣味に近いな。


 すると、シエラと一緒に歩いていたであろうシーナが、小走りに戻ってきた。


「ヒイラギ様、ヒメノ様大丈夫ですか?」


「……大丈夫、少しぶつかっただけ」

「私も大丈夫」


「そうですか、衣服の店は多少燃えては居たようですが、移入品も含めて少しだけ売っている様です。シエラ様も待ってますよ」


「……シーナ、様付けしてる」


 少し恥ずかしげに……すみませんと申し訳なく口に出していた。ある意味シーナのちょっと可愛い場面を見れたのは約得だろうか。シーナの苦手なものは友達だったりしてな。

 そう治そうとしてもすぐ治るものではないし、仕事の関係上そう呼んじゃうのは仕方ないんじゃないか? と思ったものの……ヒメノにちょっかい出されてるシーナを見るのは楽しかった。

 服はどう作られているのだろうか、ミシン……はないかもしれないけど機織り機とか? そこら辺の文化はどうなってるんだろうか。それはそれで気になってしまった。


 一緒にシエラがはしゃいでいる方へ向かうと、店長と思わしき人が店の中でシエラに猛アタックしていた。言葉的な意味で。


「この子かわいい、今何歳。どこ出身? 貴族? 王族? それともどこかの部族?」


「日本から来たよ! 店長さんは何処から来たの?」


「私? 私はちょっと遠いところから、まぁ別に知らなくてもいいじゃない。それよりも気に入ったのはあった? あら新たなお客さん? 今日は人が多いわね」


 なんだろうか、このテンションはある意味濃い人物ではあるのだろうが。喋りが早すぎて内容も若干聞き取りにくい。あれがマシンガントークと言うやつか、なんか違う気もするけど。

 ボブにした黄色髪の自分と同じくらいの身長、165くらい……確か俺のキャラ身長そのくらい。可愛い系でありながらその性格だ。ちょっとびっくりしてしまう。


「はいはい、ミラール様。この娘達に合う服選んでほしいから、頼める?」


 そう言い出したのは後ろからやってきたシーナだ。

 様付けはともかく、話し方はフランクだ。声をかけられたミラールという店長は若干不服そうにしつつも、店内の会計するカウンター後ろの中へ入っていく。

 そこから持ってきたのは、大量の衣装だった。

 ふむ……これはどういった状況なんだろうか。理解が追いついていないのか、テンポが早くて尻込みしてるかそう思ってしまった。

次は9月3日更新します

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