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Enigma Sisters:The Destroyer (毎週水金日更新)  作者: ひだり
第一章 失敗と経験
19/36

計画


 

 

落下中、薄い氷をいくつも作って衝撃を少なくした

「ハァ……ハァ……みんな大丈夫?」

周りを見る……うん、大丈夫そうね

「祷花ちゃんありがとー!大好き!」

「だから抱きつくの辞めなさい!アンタが抱きつくと私の氷が何故か溶けるのよ!!」

「照れてる照れてる」

一条さんを引っ剥がして、周りの確認をする

……また一本道か。

「祷花さん、助かりました」

「さっすが蒼くんのおねーさん!」

ジャックさんもパープルさんも無事そうでよかった

ケド!!

「パープルさんは勝手な事しないで下さい!次から何かする時にはちゃんと報告して下さい!いいですね?」

「蒼くんにセクハラしたいです!」

「それは報告しなくていいわ、勝手にやってあげて」


それにしてもここは暗い

光源は……えっと……

「こちらにライトがあります」

ジャックさんが白い懐中電灯を取り出してくれた

「ナイスよ!」

「私も持ってるんだけどなぁ」

パープルさんは……ライターね

「蒼蓮はタバコ嫌うわよ?」

「やーめた!」

この人……もしかして扱いやすい?

辺りを見回すと……ヒィ!!

「これは何かしら?随分大きいわ……ナマコかしら?」

こんな大きさのナマコがいてたまるか!

私と同じぐらい大きいのよ!?

「さっきからジャックさん動いてないけど、ビックリしたの?」

「う……上を」

上?

私達が落ちてきた穴と……辺り一面に超巨大ナマコがびっしりと張り付いているのが見えた。


「こんなに沢山、これで食料問題は解決ね」

パープルさん、貴女これ食べるの?

「ナマコなら食べた事あるし!私もいける!」

一条、パープルのゲテモノコンビは放っておきましょう。

他には何か……

「これを見て下さい」

フリーズしていたジャックの手には、手帳のような物が握られていた

表紙には

『加速的進化の観察と人類特殊生存圏の確保』と書かれている

加速的進化と人類特殊生存圏?絶対同じ物にまとめちゃいけないでしょソレ

まぁどちらにも聞き覚えが無いけど。

「あらあら、久々に聞いたわね。人類特殊生存圏なんて……とうの昔に計画は消えたのだと思っていたのだけれど」

パープルさんは何か知っているようだった


「説明してくれる?」

「ええ勿論」

まるでSF、そんな話が始まった。

 

この地球に人類が住めなくなった時の為の計画だそうだ

「はいここでクイズ、地球がダメなら~?はい!ジャックさん!」

「宇宙……ですか?」

「はい正解です、なでなでしてあげましょうね~」

「……はぁ」

ジャックさんの髪がワシャワシャと……めちゃくちゃ嫌がってる。

「はい、じゃあ続けます」

特殊生存圏と言う名前だけど、生存とはいい難い物だった。


「宇宙で過ごす為に必要な物は、水や食料とか……後空気とかよね?そんなに持って行けると思う?」

持って行けはすると思うけど、人を生存させていけるような量を運び込めるのか……無理よね

「だったらどうするかって話、それが特殊生存圏よ」

「いや意味がわからないわよ、それでどうするのよ」

「だからね、減らしたのよ」

減らした……でもそれだと宇宙で生活なんて……

「何か圧縮とかで小さくしたとか?」

一条さんが目をキラキラさせている、こう言った話が好きなのかしら?

「逆よ、人間を小さくしたのよ、これぐらいに」

パープルさんが人差し指を立てている……え?

「それって……え?」

「大容量USBに人間の脳内の情報を入れて宇宙に飛ばすのよ」

え……ちょっと

「ちょっとまって?そんな事が可能なの?」

「可能なのよ、不可思議を使えばって話だけどね」


脳の情報、つまり脳の中身をUSBに入れる

だけどそれって

「それが生きてるのよ」

「そんな……」

「映画みたい!」

やっぱりすごいキラキラした目をしてるわね、怖くないの?

「USBの中で、自分の望む世界で生き続ける事ができるのよ。それはもう……天国と言っても違いないわね」

……話が見えてきた

「もしかしてそれって……死ぬ前にやったりしたの?」

「そのとおりよ!祷花ちゃんもなでなで」

神に食われて、苦しい思いをする前に逃げ道を作っておく……か


「誰でも死は怖いから、逃げ道を研究するのは当たり前じゃない?」

「えっと……ん???」

一条さんには分からない話だし、分からないほうが幸せよ。

「素敵な計画ね、でもそんな人間じゃない姿になってまで生きてたく無いわ」

「そう?ジャックさんはどうかしら?」

ジャックさんは何も答えない、何か考えてるのかしら?

「ま、そんな計画よ」

「今は無いんでしょ?」

「そうなのよ、資金不足と不可思議の喪失でね」

だいたい分かったけど、この加速的進化って……

「残念だけど、それは知らないわ」

「随分と計画にくわしいですね、まるで関係者みたいですよ」

「あらあら、無知の嫉妬かしら?」


「頼むから仲良くしてってば!」

 



用語紹介



死を迎えると、心、魂を守っていた肉体が無くなり、実体のない存在となってしまう

怪我や傷を負っても多少の痛みで済むのは肉体がダメージを緩和しているからであり、その肉体が無くなる事で凄まじいダメージを受けるようになる。

世界に3人存在する神の食料として、魂は食されて、消費されていく。

食される時の痛みは、計り知れない物であり、人類に生まれた以上逃げられない地獄の痛みであるとされている。


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