表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Enigma Sisters:The Destroyer (毎週水金日更新)  作者: ひだり
第一章 失敗と経験
13/36

赤錆人間


 


こんにちは、ジャッククーパーです

祷花さん蒼蓮さんと別れて、加工前の人間と書かれた道を進んでいます

いつ何処から何が出てくるか分からないので慎重に

「ジャックさーん!話聞いてますかぁ??」

「え、ええ聞いてましたよ」

「ならいいですけど……蒼くんは私が貰いますからね!」

さっきからパープルさんはずっとあの男の子の話をしている

 

「あのおどおどとした感じ……根暗っぽい感じ……なのに美少年……ああ、欲しい!欲しいわ!」

……どうでもいいわ!何で仕事中にそんな話してくるの!?集中してよ!

「ねーねー、パープルさんの好きな男のタイプとか教えてよぉ!」

「え、わ、私ですか?」

そんなの考えた事無かったわ……仕事が忙しくて……

「そんなの知りません、それより周囲の警戒をして下さい」

「むー!固い事言わないでよー!仕事を楽しく乗り切るコツだよー!」

そう言う物なの?……まぁモチベーションの保ち方は一人でそれぞれだし、いいのかしら?

「パープルさんも色々考えてらっしゃったんですね、気付かずに口出ししてすいませんでした」

「ジャックさん本当にわかんない人だなぁ」

こっちもわかんないわよ!貴女と言う人間が!!


加工前の人間がいると書いてあったけど、それらしい連れてこられた人は全くいなかった。

まっすぐに分かれ道も無く、部屋も無い、本当になにもないのっぺらぼうな廊下が続いている

時々ポスターが貼られていたり、緑十字が描かれていたりと……昔子供の頃に見学に行った工場の中身にとても似ている。

「私ってモテないのよね、姫ちゃんに秘訣でも聞こうかな?……いや私の事無視するし、嫌われてるのよね……ハァ……」

変な匂いがする訳でも無い、工場の入口や道路で大量に見つけた目口無し達も居ない

ここまで静かだと不気味……

そしてここには照明が無い、なのに明るく道を照らしている

光源らしき物が一切無いし、それらしい特別変わった物も無い。

 

つまり、本当に何もない空間を歩かされている

あー!もー!めんどくさい!!

「何か居ます」

めんどくさいと思っていたら向こうから現れてくれた

「…………」

私達の姿は見えているはず、なのに反応しない?

「ジャックさん、あれって」

「赤錆……ですね」

大体身長は私と同じぐらい?目や口といった基本的な人間のパーツは揃っている

揃っては……いや嘘だ

「皮膚が無い変わりに、赤錆で覆われてますね」

「私もそう見えるかな」


「そう言う事だったのかァ!!あはは!あはは!」

赤錆女が急に声を出し始めたと思ったら、背中に手を……グシャグシャと音を立ててねじ込んで、赤錆だらけのナイフを取りだして来た

「あんな所に隠すぐらいなら最初から手に握るベキだと思うんだけど?」

赤錆女が取り出したナイフから血が滴っている

いるけど……余りにも量が多すぎる

普通ならポタポタと落ちるぐらいだと思う

……体内に隠した事なんて一度も無いから分からないけど、あんなにずっと液体をタレ流し続ける事は無いはず。

「大丈夫だから!あはは!大丈夫だから!あはは!」

女が襲いかかって来た!

「来ますよパープルさん!」

「見ればわかるって」

 

私は銃を抜いてナイフも出す

左手にナイフ、右手に銃を持つ私の構えをとる

敵が近づけば左手のナイフで突き刺せる、隙があれば射撃が行える構えだ

左手の上に右手を乗せる事で安定性も増すし

……今はもう、そんな事する意味ないんだけどね

パープルさんは……え!?

何もしない?流石に敵を甘く見すぎなんじゃ……

「あれー?あれー?あれー?救わなきゃ!救わなきゃ!」

走ってきた赤錆女の右手に握られたナイフが地面に突き刺さっている

女はそれを抜こうと必死になっている

「何をしたのですか」

「何もしてないわ、と言っても人間ならわかるでしょ?」

人力、ここでもか……嫌ここだから、よ。

落ち着きなさい、慎重に……慎重に……

 

「随分便利ですね」

「そう?こんな自己満足なの、欲しくなかったわ」

いやいやいやいや十分でしょ!よくわかんないけど絶対便利だってば!

「ジャックさんは何故銃を構えているのかしら」

「私の人力が銃を必要とする物だからですよ、必ず当てられるんです」

「へぇ……それは便利ね」

そんな完全じゃないけど、正直に話す必要は無いでしょ

「それより、どうしますか」

「んー、私の話を聞いてくれてたお礼もしなきゃだし、任せて欲しいな」

パープルさんはウインクをしてそう言うと、赤錆女の方へ歩いて行った

 

「あー!あー!あー!私が!私が!私が!」

「ねぇ貴女、こっち向いて」

「あー!あー!あー!あ」

バタッと音を立てて、女が倒れた

何をしたの?え?今何があったの?

「ふふっ、全部見せたのはお礼みたいな物だゾ!」

「ええ、ありがとうございます」

「見えたでしょ?」

「感謝してます」

全くわからなかったが、今は疑われない事の方が優先

話を合わせる方向で行こう

 



用語解説


不可思議


神が作って地上にばらまいたとされるアイテムの事

神が自分の思い通りに人間を成長、進化させる為に作ったとする考えが一般的である

不可思議自体を複製する事は不可能では無いが、100%同じ物を作り出す事は出来ない。

不可思議は便利な物しかない、という訳では無く

人間に牙を剥く物から意味不明な物、声を出す調味料に逃げる絵の具等……様々な物が存在する。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ