Dr.Macintosh
「もしかして真縅の方ですか?あっれー、ここはまだ知られてないと思ったんですが……収容に来られたんすか?」
そう話す男は黒い手袋をつけた手を頭に当てて、ボリボリとかいている
「真縅なんかじゃないわ、アンタ所属は?答えなさい」
「自分っすか?自分はDr.Macintoshの人間っすよ!」
その組織名、さっき名前として言ってなかった?
「名前と組織が一致してるなんてありえる訳?それともアンタの組織なの?」
一応、スーツ姿の男を指さして何時でも狙えるように構えておく
腕で狙いをつけないと攻撃出来ない訳じゃないけど、自分でも冷気がどこに行くのか、どこの温度を下げて氷を発生させているのかわからなくなる。
戦闘時では怪しまれるけど、これなら自然体だ
「うーん、MacintoshはMacintoshなんすよ、なんて言えばいいんすかね……まぁ販売と研究開発をする組織と思って貰えればそれでいいっす!ちなみに自分はMacintoshっすけど自分の組織じゃないっす!所属はしてますけど」
Macintosh、聞いた事が無い名前
販売と研究開発……それも気になるけど
「ここが不可思議製造工場って言ってたわよね?ここについて何処まで知ってるの?答えなさい!」
「何をしてる工場なのかは知ってるっすけど、それ以外だと何にも知らないっす」
まぁ言われてペラペラと話すような事は無いと思ってたけど、その通りね。
「でも驚いたっすよ、あのガードマン!あれは中々凄いっすよね」
ガードマン?
「あれ?会って無いんすか?ほら居るじゃないっすか、あそこ!」
警戒しつつも振り返ると、全身が赤錆で覆われた
身長180cmぐらいの、人間のような形の生き物が居た。
「な……何よアレ」
「驚くっすよね!人間の皮膚を剥いで赤錆を繁殖させて……後は企業秘密らしいっすけど、どうやってあんなの作るんすかね」
に、人間を?
「確かアレは……うーんと……加工後の人間って言うんすよね!」
知らないわよバカ、知ってたら驚かないわよ
……加工前の人間ってかかれてた所には、こんな赤錆人間にされる前の生きた人間がいるって事よね
「ちなみにこの赤錆人間の材料の人間って、どっち?」
「どっち……っすかねぇ……ここで繁殖させた混合種も材料にされるって話も聞くし、赤だけの奴も青だけの奴もあるらしいっすよ」
もしあの姿になって人力が使えたら嫌ね、戦いたくないわ
「おねーさんもそろそろ何処の誰なのか名乗って下さいよ!自分だけなんて不平等っすよ」
「え、ええそうね。私は祷花よ、UE所属の」
「じゃあ敵っすね」
「ど、どうしたらそうなるのよ!」
いきなり敵扱い!?何よそれ
「知ってるっすよ、不可思議を破壊して不可思議を消す事を信条にしてる組織、それがUEっす!」
私達の事も知っている、普通は出回らない情報なのに……私達と同じ規模の組織?聞いたことないわよMacintoshなんて!
「だったらどうするってのよ、私を殺す?」
「そんな事しないっすよ!人聞き悪いっすね!!」
男は両手を上にあげて降伏を示している
「戦わないの?言っとくけど私はそう簡単には負けないわよ」
「だーかーらー!戦わないって言ってるじゃないっすか!!そんな事しても営業成績に反映されないし、疲れるだけだし……つーか戦うの苦手なんすよ!」
男は両手をあげてため息を吐きながら、肩を落としている
「ここで私の弟……いえ、私と同じような服を着た男性を見なかった?」
男は少し考えたような顔をして、腕を組み、うーんうーんと唸っている
「男だけど、私より可愛いわ」
「なおさらわかんないっすよ!」
それもそうね……
「それより、そんなに悩む程人間を見たの?」
「見たっすよ、他にも鎧マークのバッジをつけたスーツ姿の二人組も見たっす!」
鎧って、真縅!!
「何処で見たの!?アイツらは」
「真縅っすよね、ウチのお得意様っす!今日はこの工場の視察に来てたらしくて……あ、この話は内緒にしといて欲しいっす!」
真縅の出現、赤錆人間の問題、弟の捜索
ここにきて問題が山積みね
「ねぇ、この先には何があるの?」
「この先は自分男なんで行けないんで分からないっす、おねーさんなら行っても問題無いんじゃないっすか?」
男性立ち入り禁止だから、コイツはそれをしっかり守ってるのね。
「そ、色々聞いて悪かったわ」
「お互いに存在は秘密にしときませんか?」
「ええ、話す理由なんて無いもの」
男のいる場所を後にして先に進む事にした
男はタバコを取りだして「かー!旨い!!言葉では言い表せないぐらい旨い!」とまぁ……この場所で、赤錆人間をみてそんなにリラックスできるぐらいタフな人間だとアピールしてくる
「Dr.Macintosh、覚えておくわ」
今度調べてみましょう、私達を的呼ばわりする組織の情報が無いはずないわ
用語解説
赤い血液の人間
人間と呼ばれる生命体がいつ頃現れたかはわかっていない
人間は他の生物と争い、生き残る為に特別な力を手に入れてこれまで生き残ってきた。
しかしある日、人間のような力を持ち合わせていないが、身体を鍛えて体力をつけたり、努力する事で決められた運命に抗う新種の人間が現れた。
それが赤い血液の人間である
彼らの特徴として長くても100年しか生きず、個々の力はとても弱い。
しかし肉体的な能力は彼らの方が上である
これは赤い血液の人間の血液には鉄が含まれていて、我々青い血液の人間には銅が含まれている為、酸素運搬能力に圧倒的な差がある為である。