私達こそデストロイヤーッ!
「ピザは好きか?」
最初の仕事はこの一言から始まった。
多分……うん、きっとそうだったはず
私達の仕事は世の中に存在してはならない物である
"不可思議"と呼ばれるアイテムの破壊や殺害だ。
人型だったり、ウイルスだったりと……形は様々だけど、人間には作り出せないと言う共通点がある。
世の中にはこのアイテムを利用して、人類の発展に生かそうとする組織もある、私もそれに賛成していただろう。何も不可思議について知らなければ、だけど
「ピザですか?私は好きですけど」
私が答えると、男の目線は私から弟に移った
一瞬、弟はビクッとしたが、男が優しい表情で答えるのを待っているのを見て、落ち着きを取り戻したようだ。
「僕は……あんまり……です……」
「おや?そうか、いやはやそんな人間がまだ居たとはね……」
「だ、だって……」
私の弟、凍 蒼蓮。
姉の私が言うのもアレだけど、めちゃくちゃ可愛い
私よりも……多分、可愛い。
……む!
「痛っ!な…に…?」
「は、はっきり話しなさい!このバカ!」
「うぅ……苦手……だよ……」
男に話を遮ってしまった事を謝罪して、弟との話に戻させる。
えっと、そう!弟ね!
蒼蓮は、少し困った所がある
この見た目、そして昔から男にモテまくったせいで
将来の夢が"お嫁さん"なのだ……私ですらそんな事考えた事無いのに!てか結婚なんてするつもり無いし!!
女の子扱いされ過ぎて、中身まで女の子になるとは思わなかったけど、それさえ除けば自慢の弟だ。
「はーっはっは!なる程なる程、自分が作ってあげたい料理じゃないし、栄養バランスが悪いからか、君らしいね!」
「バランスの……とれた和食とか……作りたい……ですし……日本人です……から」
ちなみに弟は料理がが上手い、メイクの知識は私の10倍はあるだろう。
私はお金と仕事にしか興味がない女、蒼蓮は完璧な女の子な男。
「さて、今日君達に任せる仕事はコレなんだよ」
男が資料を配り始めた
中には、ピザ宅配を行う大手ピザチェーン店の事が書いてあった。
「ここのビザはね、やっぱりてりやき」
「仕事の話をしてください!」
すぐに話を脱線させるんだから!
「ひー、こわいこわい!君の姉上が怒る前に本題にいこうか」
「結構……怒らない……よ?」
黙りなさい、蒼蓮。ぶっとばすわよ
「じゃあ、3ページ目の報告を読んで」
えーっと、なになに?
『ミミがでかすぎる!』『おいふざけんな!何だこのピザは!俺はミミを頼んだんじゃない!ピザを頼んだんだ!』
『チーズ使われてなくて草』
……何よこれ
そこから先のページも、ピザの文句だった
「わかったかい?事の重大さが」
「びっくりするぐらいわからないわ」
「そのクレームが発生したのは一週間前、それもほぼ全ての店舗で同じクレームが入っている」
確かに、言われてから見てみるとその通りだ
「これ……会社の方針が変わったとかじゃない?」
「それは勿論疑うよな、だけどこれを見てくれ」
ビデオが再生された、そこにはピザを作っている中年らしき男が映っている。
見る限り普通の……いや上等のピザだ
この男の腕前は大したものだと思う。
「すご……い」
たって弟がそう評価してるから。
「そしてこれを窯で焼いて……完成したね」
出来上がったピザはとても美味しそうで、久々に食べたいと思える料理だった。
その後そのピザは容器に入れられて、宅配を行うバイクへと送られた。
「この時間はこの人かピザを作って配達するワンオペの時間だったらしいよ」
そこで映像が止まった。
「で、客の所について、箱から出したピザがコレだった」
一枚の写真がテーブルに置かれた
「み、ミミしか無いじゃないの!」
「全然……違う……ね」
「そう!全然違うんだ!こんな事が起こるはず無いんだよ!」
確かに妙だけど……
「そこで君達には調査、並びに不可思議だった場合には破壊を頼みたいんだ、頼めるかな?」
バッカみた……
「やり……ます……!真心込めて……作った物……を!」
蒼蓮は、ヤル気まんまんみたい。
「リハビリにも兆度いいだろうし、頼めるかな?祷花君」
しゃーないか、こうなってはやるしかない
「いいわ、やってあげようじゃない!」
食を生きる為以外に、楽しみとして捉える事が出来るのは人間だけ!
つまり!この不可思議は人間から楽しみを奪おうとしている!
確かにこれは私達、UE(Union Earth)の指名と言っても間違いないわ!
私達は最初に、そのピザチェーン店に潜入する事にした。
男の話では『話はつけてあるから、まずはここの店舗に行ってくれ、そこで分かった事があれば独自で行動してくれて構わない』
潜入する事に……したのだが……
「どーしてアルバイトなのよー!」
アルバイトとして、働きながら……の潜入だった
バカ?バカなの?いやバカよね?
「いらっしゃい……ませ……」
「え、えと、お、オススメ下さい!店員さんの!」
「ぼ、僕……?えっと……えっと……」
「可愛い、君お持ち帰りで」
「あう……うぅ……」
弟は早速ナンパされてるし!
「お客様〜、当店にはオススメできない商品は置いてませんが、態度のなって無いお客様には……拳がお似合いよッ!」
「ひでぶッ!」
お客をぶっ飛ばして、店長に大目玉を食らう、そんな潜入がスタートした。
サブストーリーみたいな物です
4日に1話ぐらいの更新になります。