Act 4
ちょっと短めです。
※現実サイド
気を紛らわすためにゲームをしていたら、インターホンが鳴った。
「ヘーイ!元気してたかな!」
いとこの陽一兄さんだ。ダイバーではない。私の良きゲーム仲間であり、現実側での数少ない信頼できる人。
「入れば。」
「ちょっ、なんでそんな冷たいんだよ!」
なんかブツブツ呟きながら、合鍵を使って入ってきた。
「よっ!ってなんで布団干してあるんだ?」
「汗がすごかったから」
どうでもいいでしょそんなこと。私は今、あの痛みを忘れるのに忙しい。
「…、なんか前より痩せてね?」
「ん。」
「元気ないな。」
「うん。」
「大丈夫か?お前こんな戦い方しねぇじゃん。」
「ああ!」
「なんかあんなら聞くぜ、な。」
………。
「黙れぇぇ!」
コントローラを投げ捨て、ベッドに飛び込んで隠れた。あれは私の問題。ヨウ兄はあの世界を知らない。ヨウ兄の力ではどうにもならない。だからこそ、少しほっといて欲しかった。
「しゃーねーなぁ。…ウラァ!」
「ふわっ⁉︎」
足を掴まれ、引っ張り出された。そして…
「親父直伝!ジャイアントスイング‼︎」
「うぇぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」
「何するんだよ…ウッ!私はさ…」
「あんな態度とるからだろ?悩みあんなら話せっての。」
ヨウ兄の馬鹿力と謎の正確さには呆れるのさえ通り越して感心する。まさかマンションの一室でどこにもぶつけずに高速ジャイアントスイングを成功させるなんて。
でもなんか、モヤモヤしたものも一緒に飛んで行ってしまったようだ。魂も飛びかけたけど…
「そうそ、これ、お袋からだぜ。」
そう言って渡されたのは、今週分の作り置きのおかず。私は米を炊くくらいしかできないから、毎週上の階に住む叔母が持ってきてくれる。
「そんじゃ、悩みを聞こうじゃないか、な!」
「それなんだけど、なんかさっきのでスッキリしちゃったかな。」
事実。なんとなく、もう一度挑む勇気も湧いてきた。
「だからさ、心配しなくてもいいよ。」
私は精一杯感謝を込めて言った。…のだが。
「じゃあ俺の心配は杞憂に終わったってのか⁉︎上等だオラァァァ‼︎」
「え…」
あのあとさんざんくすぐられてやっと解放された。疲れた。気づけば夕方だし…
でもまあそんないとこの襲来も、結果は良かったかも。
私は今度こそ次のモノリスを回収すべく、ベッドに向かった。
そろそろ試験なので、少しの間いなくなる…
なんてことはありません!