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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

黒いテント   (ホラーだよ)

作者: のはら狐

子供は雪と台風と雨が好き

 ぐんと寒くなって冬を実感する、それが毎年

でも今年はちょっと違ってた。

 朝起きたら雪が降ってたんだ、それも積もってた振ってくる雪はだんだん細かくなってもっと

 つもりそうだった。

  

「学校を休んだら」母親が心配そうに言った。

 「大丈夫」僕は即座に言った。

冗談じゃない、雪合戦ができるしほかにもいろいろ遊べる

 母親が心配してるのは雪だけじゃない。 

 男の子ばかり3人も行方不明になっていたからだ

この地域ではめずらしいことだけど、よその学校の子だから知らない

 それで長靴を履いて家を出た。

人通りは少なかったがいつも通る脇道に大きな黒いテントがあった。

 なんだろう、もしかして山で使うときの調子を知らべているとか?

中に人がいるのが見えた。

 積もった雪の上を長靴が踏みしめる音がする。

頬が冷気のせいでひりひりした

 何かいいにおいがする、中をのぞくとマフラーと帽子で顔をぐるぐる巻きにした

男の人が目だけこちらに向けて笑った。

 目がやさしい、おいでおいでと手招きをした。

 お餅かなにか焼いているのか、七輪がある。

香ばしいお醤油のにおい

 大人でもこんな風に遊ぶんだ


 ちょっと楽しくなって近寄っていくとすごい力で引っ張られたと同時に

もっていた金串が肩に刺さった。

 突然の激痛で大声が出たが、テントの中では誰にも聞こえなかったらしい

 それにもっていったのは金串だけじゃなかった

  反対の手にトンカチを持っていた

 それが僕のおなかにあたる前に相手の顔に七輪の網を押し付けた。

 手袋と皮膚の焦げるにおいがしたけど

 男の手が緩んだ

  僕ははうように外に駆け出した。

 外に出ると全力で走ったけど涙で方角も雪さえ見えなくなった。

  人影が後ろから僕の手をつかんだ

 木の枝を折るような音がした。

 肺がからっぽになるくらいの声が出た

  その時横からほかの手が出てきて僕はそのまま倒れて何もわからなくなった。


  それから起きたら病院にいてお父さんとお母さんが泣いていた

 しばらくして事情を聴くとあの人はやっぱり山に登るのが趣味だったみたいだ

  自分の息子を連れて、でも山の事故で子供は死んでしまった。

 それから奥さんと仲が悪くなって時々テントで寝ていたらしい

  テントで寝ていると寂しくなって

  仕事にも行きたくなくなって代わりの息子が欲しくなったらしい

  

  でも捕まえるときみんな死んでしまった

 死体はガレージの中の大きな冷蔵庫で見つかったみたいだ

 僕はずっと悪い夢ばかり見て眠れない日が続いたけど腕も治ってきたし

  だんだん眠れるようになった。

 誓って言えるのは大人になっても山登りはしないということだけ

 あ、あと一つ、テント遊び絶対しないんだ


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