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全身整形サイボーグ

帰り道。

俺はとにかく疲れていた。

やはり、スポーツさんは苦手で話すだけで気疲れが酷い。いや、悪い人ではないんだろうけどね。


たぶん疲れていたからだろう。


足元にあるバナナの皮に気付かず足を滑らせてしまった。


そこにちょうど俺と同じくらいの年頃に見えるメイド服美少女が通りかかった。


マズイ、このままいくと、ちょうど俺の顔が彼女の胸に埋まる形に‥‥これが噂に聞くラッキースケベなのか?


しかし、普段から体を鍛えていたのが災いしたのか‥‥俺は足を踏ん張り耐えることができた。


そして、今度はメイド服の女の子がバナナの皮に滑り俺の胸に顔を埋める。


‥‥この展開は誰得なんだろうな?


とにかく彼女が倒れないように肩を掴んで支えて、なんとか体勢を戻してあげた。

しかし、そのまま彼女は口をタコのように突き出した状態で目を瞑る。


悪ふざけにも程がある。


ムカついたので取り敢えずデコピンしてあげた。



「あうっ、なにするんですですか?超絶美少女のマリたんが、助けてくれたお礼にキッスをご馳走してあげようとしたのに‥‥飼い犬に手を噛まれるとはこのことですです。何々?その鍛えられた胸板は男の子専用なのですですか?なら、納得なのですです。でも、やっぱり乙女の顔にキズをつけたからには責任取ってくれるのですですよね?」

しかし、それがやる気スイッチだったかのように彼女は聞いてもないのにベラベラと話し始めた。


「‥取り敢えず俺は女が好きだ。男を愛する趣味はない。あと、さっきから探しているんだけど超絶美少女がどこにもいないんだ。どこかに隠してるなら早くだしてくれない?」

俺は腹が立ったので彼女に皮肉で応戦した。



「むむむっ、三度の飯より女が好きとか女の敵ですです。あと、超絶美少女はここに居るですです。」

しかし、早速反論にあった


「勝手に捏造するな。あー、そっか?自分の事は自分で見れないからな。俺の知り合いの方が5倍は美少女だと思うが」

もちろん、氷結姫こと神埼先輩のことだ。


俺は知り合いだと思っているが、果たして彼女が俺のこと知り合いだと思っているかは不明だ。ただの加害者と思われている可能性がある。


「むむむっ、もしそんな美少女が居たら絶対全身整形に決まっているのですです。全身整形サイボーグは人間とは認めないのですです。」

えっ?そう言うものなの?

神埼先輩は、イエス、、ナントカクリニックのお世話になっているのか?


「えっ、全身整形‥‥なのか?その発想はなかったけど確かに綺麗すぎるんだよな。」

うん、白いのにシミひとつない肌といい、髪の毛がシルクで出来てるんじゃないかと思うくらいしっとりしなやかな髪。シンメトリーで完璧にすら見える綺麗な顔。


確かに、自然発生的に生まれる確率は限りなく低い気がする。

けど、さすがに整形はある程度成長が終わってからするものだろうし、学生の内だと元同級生にあうかもしれない。


真剣に考えてみると、、神埼先輩整形説は無いな。そう結論付けた。


「いや、やっぱり違うだろ?違うだろ。勝手なこと言うなよ?」

俺はやはり否定したが、このオンナはその程度で諦めるタマではなかった。


「ふんふんふんっ、謎はすべて解けたのですです。今振り返ってみてもこの事件は不可解な点が多かったのですです。それで気付いたのですですが、きっとこの事件は前提から間違っていたのですです。そう、悪いのは橋本の目の方だったのですです。そもそも、マリたんより美少女がそう簡単にいるわけがないのですです。だから、その知り合いは客観的に見るとドブスなのですです。これで事件は解決なのですです。」

しかし、彼女の『ですです』はウザイことこのうえないのですです。あれ?うつった?


「‥‥名探偵気取りか?いやまぁ、頭以外は健康そうでなによりだよ。それじゃ、またどこかで会おう」

俺は彼女の相手にほとほと疲れ果てたのでサッサとこの場から去ることにした。


「そうですですね。それじゃ、お元気で」

彼女も諦めてくれてよかった。



はぁ、なんかますます疲れた。

早く帰って寝よう。


早足で家路に向かっているとすぐに気付いた。


‥‥どうみてもつけられている。

しかも、さっきの自称美少女に。


俺が振り向くと電柱の後ろに隠れたが、、ざんねんながら隠れきれていない。


先程のやりとりにキュンとする要素は欠片もなかったんだけど、彼女は惚れっぽいのか?


さすがにストーカーに家を知られるのはちょっと怖い気がしたので、急に走りだして体力にモノを言わせてまくことにした。


ちょっとベタな作戦だが、ベタってことは今まで成功した実績が多いということだからな。


取り敢えず400メートル程先に曲がり角があるのでそこまでダッシュすることにした。


‥‥200mほど走った時に気付いた。

どうやら自称美少女は思いっきり転けたようで仰向けに倒れて動かない。


まさかこんなに運動神経が壊滅的だとは思わなかった。もしかして、転んだ時に後頭部でも打ち付けたか?

俺が彼女に近寄り顔を近づけると、彼女は口をタコのように突き出した状態で目を瞑る。


またこれか?

この少女は何がしたいんだ?

やっぱり、俺に惚れたとは考えづらい。


ムカついたので先程と同じくデコピンしてあげた。


「あうっ、なにするんですですか?超絶美少女のマリたんが、助けてくれたお礼にキッスをご馳走してあげようとしたのに‥‥飼い犬に手を噛まれるとはこのことですです。」

と、また同じことを言っている。

まぁ、自称美少女は元気がいいし怪我の具合は大丈夫だろう。



自分の第六感がさっきから警報を鳴らし続けている。見た目は可愛いが彼女に関わってもロクなことは目に見えているからな。


俺は彼女から全力で逃げた。


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