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2人で下校2日目【神埼刹那の勘違い4】

本日は一挙投稿しますのでお楽しみに


ホームルームが終わるとシンヤ君の教室へ駆けていく。


『もう、教室に居なかったらどうしよう?』

そう思うと走る速度が自然と早くなる。


シンヤ君の教室にたどり着くと、教室の入り口付近にいた男の子に彼を呼んでもらいました。


よかった。やっぱり待っててくれたんだ。


そう思って胸を撫で下ろして彼を視界に捉えると、彼の反応は私の予想と真逆のものでした。


シンヤ君は驚いた顔をしてこちらを見ているのです。


あれ?今日は来ないと思ってたんですか?



もしかして‥迷惑だったり?

なんて思ってしまいましたが、彼はカバンを持ってこちらに来てくれました。



「こんにちは、帰ろっ」

私はそう言ってそのまま先に歩いて行く。

ちゃんと彼が付いて来てくれるか不安で彼の気配を探ると、どうやら付いて来てくれてるみたい。だけど、彼がため息をつく音が聞こえた。


もしかして、教室まで迎えに来られるのとかイヤでしたか?



「あの‥先輩。今回はあの体勢で歩くのは勘弁して欲しいんだけどダメかな?じゃなくてダメですか?」

彼は顔の前で手を合わせて私に懇願しました。


もうっ、本当は刹那って呼んで欲しいのですけど。

それに、恋人繋ぎもダメなんですか?

そうはみえないけど‥‥恥ずかしがり屋さんなのかな?



昔初めて出会った時は公園のど真ん中で自転車を持ち上げて歌っていたから、恥ずかしがる彼というのが想像できません。




「‥‥なんでそうなるの?‥あっ、シャイなんだ。うん、今日は普通に歩こっ」

でも、恋愛方面ではシャイなのかもしれません。

そういうギャップに女の子は弱いのです。

シンヤ君のちょっとカワイイ所見つけちゃった。


「手…繋ぐ?」

私がどうしても手を繋ぎたくて手を差し出すと彼は少し逡巡していましたが、笑顔で手を取ってくれました。

そして、友達繋ぎで2人で歩いていくのでした。



私はウキウキしながら彼と並んで歩いていると、、、


「先輩は部活とかバイトとかなにかしてないのか?終礼終わったらすぐ来るけど一緒に帰る友達もスポーツ先輩以外いないの?」

あれ?彼の対応が冷たい気がします。



「‥‥スポーツ先輩??‥‥あっ、凛のこと!

してない、帰ったら習い事あるし。もしかして、しししっ、んっ、しん、やっく、んは部活入ってた?」

もしかして、私が浮かれ過ぎて気付かないうちに彼に放課後の部活をサボらせてしまったのでしょうか?


私は動揺でしどろもどろになってしまいました。

そして、私の顔から血の気が引いていく。



「いや、入ってないよ。それにしても、頭の調子はどう?」

しかし、彼は特に部活に入ってはいなかったみたい。でも、頭の調子ってどういうこと?

もうすぐ定期試験だから?


「んっ、定期(試験)は期待できそうだけど、、」

なぜ、いきなり勉強の心配なのですか?

もしかして、『初デートはテストの後』とか言われるのかもしれません。


しかし、彼は私の予想を飛び越えた行動をしました。


「じゃあ、あそこに行かない?俺もついてってあげるし」

彼はラブ‥‥ホ?を指差して私を誘ったんだけど、、付き合ってるからそういうことしたいってことなんだよね?


「えっ?あの、えっ、、あっ、、、でも、、、まだ、早いと思う」

でも‥‥まだ、付き合って3日目ですし。


デートするにしてももっと別の場所がありますよね?

断っても大丈夫‥なのでしょうか?


「いや、一刻も早い方がいいよね。」

しかし、シンヤ君は私を真っ直ぐ見つめてそう言い切りました。


シンヤ君ってよくわからない時に積極的になるんですよね。屋上で無理矢理お姫様抱っこされた時もビックリしましたが、今回はそれ以上です。


「ごめんなさい、まだ心の準備が出来ないの」

‥勇気の出ない私は断ってしまいましたけど、嫌われたりしないですか?

すごく不安です。


「え〜、一回家族に相談してみたらいいと思うよ。絶対行けって言う筈だから」

えっ?か、か、家族に相談するの?

うそ?


‥でも、ウソを言っている目じゃない。

それどころか、ものすごく心配した目で私を覗き込んでいた。


「普通、家族に相談するものなの?」

‥やっぱり信じ難い。


私の聞き間違いかもしれません。

だから、もう一度確認しました。



「普通っていうか当たり前だよ。こんな大事なこと家族に相談しなくてどうするんだよ?しっかりしろよ」

‥‥そういうものなのかな?

私は彼の真剣さにあてられてしまったのかもしれません。



「うん‥‥相談してみる。ところで、他のところだと何処がオススメなんですか?」

私がそう聞くと、彼は腕を組んで真剣な表情をして考えていました。



「家とかがいいんじゃないですか?」

そして、目を見開いてそんなことを言うのです。

えっ、お家デートですか?



「い、家ですか?で、 も、家にいるときはメイドのマリと大体一緒に居ますので難しいかと。」

そう、絶対マリがちょっかいをかけたり、からかったりしてきそうなんです。


「じゃあ、一緒にしちゃえばいいのに?」

…えっ?

一緒にって、何をしちゃうのですか?


「マリと一緒なんてダメに決まってるじゃないですか?」

きっと、マリにもエッチなことしようとしたに違いありません。シンヤ君は女の子が好きなのかも。


私が断るとシンヤくんは機嫌が悪くなったのか、黙り込んでしまいました。


しばらくするとお家に着いたので彼とはお別れです。


その前にLIONのI.D.を聞かなきゃ。


「あの‥‥LIONライオンの‥‥」



「えーっ、ライオン買ってるの?想像以上のお金持ちなんだね。」

私が聞こうとしたら、彼が私の言葉を遮って見当違いのことを言い出しました。


もしかして、ここ、笑う所なのかもしれません。


私がうまく笑えなくて気まずい雰囲気になったので今日はLIONのI.D.を聞くことを諦めました。




そしてその夜、私はお母様の所へ向かいました。


私はドアをノックする。

お母様の返事があり、中に入るとパソコンのキーボードを叩いていたお母様が顔を上げて微笑みました。


お母様はいつも夜まで部屋に篭ってお仕事をしています。だから、本当はお仕事の邪魔をするのは気がすすまないのですけど。


「どうしたの?刹那がそんな困った顔をするのは珍しいわね。」


「相談があるの。お時間を頂けませんか?」

私はお母様の顔を真っ直ぐ見てお願いしました。


「あら?刹那から相談を受けるのも珍しいわ。明日は雪が降るのかしら?」

お母様は眼鏡を外して肩を回す。


その後、お母様はメイド見習いのマリを呼び出し、アッサムティーをいれてもらい、それに口をつけた後に口を開いた。


「もしかして、オトコノコ‥‥かしら?」

そう言ってお母様は私でもドキッとするような妖艶な笑みを浮かべて図星をついてきます。

やっぱり、お母様には敵いません。



「はいっ、実は今お付き合いしている方が居るんです。その方とのことでご相談したいことがあります。」

私もカップを手に取って、口をつけた。

アッサムの力強い味が口内に広がります。

これはSFTGFOPかしら?



「まぁ、そうだったの。いつからなの?私の可愛いセツにそんな顔をさせるのはどんな悩みなのかしら?」

お母様は私の話を聞いた途端、パァと笑顔になったかと思うと、私に向かって身を乗り出しました。


「実は男の人と付き合って3日目ですけども、、、今日の下校時にら、ら、ら、ラブ、、、いえ、私の勘違いでした。忙しいのにお話聞いてくれてありがとう。」

しかし私はとっさの所で相談をやめてしまいました。

そう、やっぱり、何かがおかしいです。


「えっ、、、まぁ、それなら良いのだけど。もしも、気が変わったら、また相談に来なさい。」

お母様は慈愛に満ちた表情を浮かべてそう言いました。


そして、そのままの笑顔で私を部屋から送り出しました。

だけど、ドアを閉じる瞬間お母様が今まで見たことのない、冷たい目をしていたので少し鳥肌がたってしまいました。


私が部屋を出ていくと、マリがお母様の部屋に入っていきます。


あれ?


私より1つ年下のマリが給仕するのは20時までの筈なのですけど、何か急ぎの用事があったのかしら?


不思議に思いながらも、私は明日にシンヤ君となにを話すか思案するのに夢中でそのことはスッカリ忘れてしまいました。



そして次の日、私を見かけた凛から

「‥あれ?浮かない顔をしてどうしたの?彼氏となんかあった?」

なんて言われたものだから私はラブホテルに誘われた件、お母様に相談しそうになった件を話しました。その途端、凛は頭を抱えだしてしまいました。


「ちょっと、、、刹那、何やってるのよ?それってアレよね、身体目当てってやつよね?というか本当に家族に相談しようとする?」


「うん、彼が余りにも真剣に私に言うものだから」

そう、あれは確かに私を心底心配しているような目でした。そうでなければ、いくら世間知らずの私だって本当にお母様に相談しようとしたりはしなかったでしょう。


「うーん、どういう意図で彼氏君は言ったんだろうね?問い詰めて説教する必要があるね。」


「えっと、、もしかして、付いてくるんですか?」


「もちろんだよ、刹那を大切にしないのは許せないよ。」

凛にそう言われて、、やっぱり止めきれず放課後一緒に彼の教室に行くことになった。

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