8356円
2年ぶり? です。
改稿作業は少しやっていましたが。
なので序盤が少し違います。
そこも、読んでいただいたら嬉しいです。
「さあ、出しなよょ」
僕は懐からお金を探すがなにもでてこない。尻益先生が要求してくる金額を僕の自由に使える小遣いというもので手わさなければならないのにないのだ。
「先生困ったことにお金ないよ」
「え? 別にいいょ。君の問題じゃないしね。我空君と真ちゃんにはこのままで生きていくのもありかな?」
我空と新亜 真さんことωさんは体と精神が入れ違いを起こしているらしい。ωさんは困ったそぶりもないが我空は嫌がっている。僕としてはωさん苦手だし我空は嫌いなのでこのままでいいのではないかと思った。
だから、僕は演技をしてみた。こんなことで看破できる相手でもないが。なんにしても人の懐具合を読めるスキルを持つ人だから底が知れない。尻益先生は凄い人で凄い美人だけど凄いブス化粧をする能天気で不可解な人。
『コラー! 満』
「エア子さん、シー」
無色透明肉体無しの僕だけに声が届くエア子さんが怒鳴った。誰にも聞こえないから静かにしてとジェスチャーしなくてもいいが、いつもの癖で反射してしまう。
「ん? どうしたよぅ。隠し事でもあるのかな?」
「いえ、ただの発作です」
苦しい言い訳だ。だけど、小遣いがなくなるこの苦しみをわかった欲しいよ。
『友情が大事だろ!』
「だけどさ、だけどさ、だけどさ」
『ったく、しょうがない奴だね~。満ができないことをやらせるのがあたしの役目ってもんさね。お前は愚図だからな』
「そうなんだ」
今更ながら僕とエア子さんとの関係性がわかる。少しだけどね。
エア子さんの存在は僕の為なのか? それは少し寂しい。
でも、安堵するのは何故なんだろう?
「それを、聞いて安心したょ。君とエア子さんはいい仲だね」
「で、では、先生!」
「8356円よこせ」
チーン。なくなりました。僕のお金がシクシク。
「おっ、俺様が元に戻ったぞ」
「私もミラクルガール復活だゾ☆」
よかったね。二人とも。僕という犠牲を忘れないでね。
「満よ泣くではない。小遣いくらい妾が出すなのじゃ」
なんだか照れながらタヌキさんこと仙洞 霧子は言う。嫌だよ。ヒモじゃないんだから。
だけど、一万円受け取った。ヒャッホー。家の親父が母さんにお金をもらう気持ちがわかった。うれしい、うれしい、だけど、僕はタヌキさんの旦那じゃないからね。
『なんだか 不純だねぇ~。満、いつか返すんだぞ』
「えー!」
「エア子殿も気にするなと言っているぞい」
いや、意思疎通が違うよ。この二人心が通じ合っていたはずだけど、本当に通じているの? 反対になっているよ。
『ったく。霧子も満をいい男にしごいてやらなきゃ苦労しそうだよ』
「いや、エア子さん? タヌキさんとは何でもない関係だよ」
ゾクッ!
背後から心霊たぬきのうらめしや~が感じる。
「返すのじゃ」
「ええ?」
「返すのじゃ」
「あ、あああありがたくいただきます」
『こりゃ、まいったね~。満のお節介もまだまだ続きそうだ』
その様を見ながら尻益先生と『ひょひょひょひょひょー』と奇妙な笑いをしながら見守っている。どんな危機だかしらないけど僕の小遣いで助かる村があるのやら。
まあ、先生もエア子さんみたいに謎だから。考えてもしょうがない。
これが、次の苦難の序曲となるとはまだ僕は知らない。
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YO!C-(ヨッシー)
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他にも作品がありますので出来るところから始めますのでよければお付き合い下さい。