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ブドさんは最高です!

 僕とブドさんの関係は友達だ。僕にとってはブドさんが友達になってくれたと思っている。正確には卑屈な僕の性格がそう心に念じて納得させている。それでも、付き合う時間は短くなったが相変わらず仲良くしてもらっている。その、ブドさんが僕に見せたいものがあるそうだ。なにかな? セクシーシーン? 告白? いかん、いかん馬鹿なことは考えるのはよそう。


 僕と彼女の関係はここから前進するのか後退するのかわからない。ぼくは、変わらずに現状を維持したい。それが安息でいられるから。ただ、一緒にいられるだけで嬉しいのだから。


『いや~(みちる)。ブドさんが何を披露してくれるんだろうな。楽しみだな』


 なんか、この場ではお邪魔虫のようなエア子さんが楽しげな声で僕に言った。ブドさんはエア子さんも招待した。お邪魔虫といっても僕はエア子さんを嫌うことはない。いまでは、腐れ縁でいいと思っている。エア子さんも特別な存在だ。


「学校のプールに行かないことにはわからないよ」


 僕の通う洛田陽(らくだよう)高校はモンスタークラスのデカさである。僕がいくら方向音痴で地理感がない人間でも学内で迷うのも無理もないくらいの広さだ。で、そんな、この学校は屋外にも屋内にもプールはある。今は屋外は使われていないからブドさんは屋内を利用するのだろう。しかし、もう夜になっている。学校は宿営して管理している人以外いないだろう。どうやって忍び込むのだろう?


「心配するなって。霧子(きりこ)に頼んではあるぜ」


 僕の心中を察してかブドさんは安心させる。しかし、仙洞(せんどう)家はこの学校の理事をしている。タヌキさん、権力というか、影響力が凄いね。こんな、わがままは普通通じないよ。といっても、彼女は今いない。タヌキさんは同行していない。強引に関わってくるかとかと思っていたけど。


「決着をつけたくてな。俺とお前とエア子さん以外は人払いをした」


「そうなんだ」


 僕は曖昧に返事をする。決着ってなんだろう? 少し、怖いが僕たちは学校までむかった。


 そして、到着した。普段通っているというのに相変わらず馬鹿でっかい学校だよね。地下迷宮まであるし。学校とは関係ないけど。いや、あるんだけどね。来年に国際ファンタジー科というわけわからない専攻科目ができるからね。社会になんの役にたつの? と、どうでもいいこと考えていると……。


「着替えていこうぜ」


 と、ブドさんは女子更衣室にはいる。あれ?


「ブドさんはこっちじゃないの?」


「馬鹿野郎。いくら、俺がいくら男っぽいからってちゃんと女としての自分を意識しているわ!」


「よかった」


「ふん、だがな。お前はこっちだ」


 ブドさんが指さしたのは共同用の更衣室だ。共同といっても一人一人個室で着替えができる。


「お前の方が複雑な性をいだいているからな。そこで、着替えておけよ」


「いや、僕も普通に男の性格なんだけど」


「お前の裸体に興味がある奴が多いんだよ。知らなかったのか。特に男子だ。お前は俺より人気者だよ」


 ボッチの僕が? それにしても、いやな人気だ。いらない、やっぱりボッチがいい。そして、僕は吐き気がした。


「うげー」


 ブドさんは気にせず続ける。か、介抱して。


「しかも、お前はいつも乳首というか胸かくしているじゃないか」


 乳首って言わないでね。


「あれは……。弟の(わたる)こと小渡梨(ことり)が強要するうちに癖になったんだよ」


「お前は変態か」


「ブ、ブドさんに言われるとなんだかしっくりこない」


「だな」


 僕達は笑った。まあ、ヘンテコな男女関係なので今まで友達でいられたのかもしれない。まあ、ブドさんは誰とでも仲良くできるひとだけど。


「エア子さんもこっちにくるんだぜ。あんた、透明だからって満の裸を平然とみているんじゃないのか?」


『おや、バレたかい』


「え、エア子さん。やめてよ」


『いや、たまにさ。意識するほど間柄でもないだろ? 満は小さいからな、こいつは成長しているかついつい気になっちまうのさ』


 それでもやめようよ。でも、エア子さんは家族のようなものなので羞恥をあまり感じない。


『まあ、ブドさんはどんな感じなのか観察してみるとするかね』


「エア子さん、あまり、人の体をジロジロと見ることはやめたほうがいいよ。ブドさんもよくやるこだけど」


「エア子さん、俺は結構鍛えているから驚くぜ」


 ブドさんは僕の台詞からエア子さんが何を言っているか察している。無色透明で実態なし、僕にしか声が届かないエア子さんでも、コミュニケーションの取り方はできるようだ。


『そうかい。楽しみだね。でもな、満も結構外観からではわからないが鍛えているぞ』


「うん、僕に安息の地がないからね。プニプニして可愛いって言われながら、実はごっついよ」


「まあ、俺もそんな感じだな。外は綺麗な肌で内は引き締まった体だ。見た目も肝心だからな」


「僕達、似た者同士、お似合いだね」


「そうか? 他の連中だって、そんな感じだぞ。あんなに、優れた運動能力があってビジュアルもいい。卑怯だよな」


「比べてもしょうがないよ。さあ、着替えようか。何をするか知らないけど」


 僕達はそれぞれ更衣室にはいった。僕は確実に競泳用ではないが男女どちらが着ても通用する水着を装備する。もう、なれたから……。っていうのは半分嘘で僕は何やっているだろうとは思う。いつも、周りの視線が鬱陶しいのでこれにおちつくのだけどね。


 そして、僕にとって友ではなく、女神が降臨した。


 ブドさん!


 競泳水着だけど。


 でも、すばらしいスタイルだよ! ブドさん一生付き添います。さて、なにを僕に見せたがっているのだろう? ヌード? ではないな。セクシーポーズしてくれないかな。いや、ありえないけど。


 僕はブドさんに注目した。

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