神にして最強の生物
尻益先生は羞恥心がない。基本的には人間社会から離れた人だから仕方がないとも言えなくはない。僕が幼少期からの付き合いで僕の弱い心と父のダメな性質の遺伝と最後に尻益先生の影響が僕というダメ人間をはぐくんだ。だから、僕も危うく羞恥心のかけらもない人間になることもあったのだが、学校という敵から培われた常識に挟まれて僕を苦しめている。だけど、裸は駄目だよ。僕たちは未成年だから誰一人お酒を飲んでいない。酔っぱらっていない。なので、尻益先生一人で踊り狂っている。素っ裸で。
我空がこんなに恥ずかしがり屋さんとは知らなかった。裸を見て気を失うまでとは。僕は現実の美しさとは興味がないとはいえ、尻益先生はかなり妖艶だからね。言動は変人だけどね。なので、僕としては幼いころからこの光景をみているからあまり興奮しない。というか下品でうんざりだよ。僕が知る限り、僕のおじいさんが若者の時から老いることがなく絶世の美女らしい。僕が現実に対して美醜がどうでもいい原因をつくった人だ。人間(?)としては好きだけど。前にブドさんが僕の事を二次元好きだとか指摘したのはこういうことがあり、架空の世界の女の人の方がいいんだよね。幻滅しなくてね。でも、幼少のころからボッチだった僕を構ってくれて大好きな人だったけどね。
『おや、満よ』
「なんだい? エア子さん」
エア子さんは至って冷静に尻益先生の奇妙なダンスを傍観していたようだ。やめさせろぐらい言うかと思ったよ。
『尻益先生、物凄くアクロバットな踊りするんだな』
「よく、みているね。ここは同じ女性としてとめたりしないのかな? 僕の場合はなれているし止めても無駄だから静観だけどね」
『そりゃ、ヌードのような踊りならな。あの人、空中で大回転しているじゃないか』
「あれを、やるとますます酔いがまわるから止めて欲しいんだけどね」
あの人は貧乏人が少ない酒で酔うにはこれが一番大事とかよくやっていたよ。いくら見てくれがいいとはいえ、女性に対してどうでもよく思うところだよ。普通の女性はああではないだろうけどね。
『でも、カッコいいじゃないか』
「カッコいいのかな?」
『そうだな。アタシもやってみたいな』
「エア子さんは肉体がないから無理だけど止めて欲しいな」
『そうかい?』
尻益先生、横でも縦でも大回転中です。素っ裸でおっぱいも踊っている。おしりも揺れている。修正もなし。こんな様は規制がはいって……。
今日で【エア子さんはボッチを構う】は打ち切りです。
長らく読んでいただき感謝します。
終わり。
『おいおい、満よ。終わらせてどうするんだい!』
「え? エア子さんは僕の心の声が聞こえるの?」
『なんとなくな』
「だって、これは健全な少年少女が読むお話だよ。多分」
『いや、アタシとしては読者ターゲットは何かがわからなかったけどな。とりあえず、尻益先生に用があるんだ。話を進めな』
それもそうだねと思う。とりあえず、狂乱している尻益先生に声をかける。何度叫んでも聞いちゃあいない。これだから、酔っ払いは苦手。
「にょほほ、ほろ酔いってところだネ。オイオイ、満も踊ろうよぅ」
とか、言って、僕の服を脱がす先生。裸踊りはごめんだ。勘弁してください。
「師匠、素面に戻ってくださいよ」
「うん、いいよ。でもね、連れの子がやる気満々だヨ」
ωさんが触発されて脱ぎ始めている。なんでだよ? ビッチだから? 誰が喜ぶの? 僕? 遠慮しておくよ。
「私、脱ぎます☆」
「やめて、ωさん。影響されないで」
僕は慌てて、ωさんが脱ごうとするのをとめるために取り押さえる。
「やん★」
「ぎゃー!」
なんか、ご本人様は僕が襲っているのと勘違いしているように照れている。
「にょほー! 良いではないか」
先生、あなたはスケベ爺ですか? 酒の影響とはいえ自粛してください。
「先生、いいわけないでしょ」
「そうだネ。ところで君たちは僕に用があってきたんだろ?」
ようやく、用件を進めることができる。僕は少し安堵する。
「そうですよ。率直にいいますと。この学校の地下迷宮を開発するのをじゃまする魔物がいるとかでやめさせるようにきたんですよ」
「そうか、そうか、正直言うと、僕はここにいるのも飽きてきたんだよね。だから、最後の遊びっていうか、余興でさ、付き合ってくれないかナ?」
来たか! 難儀が。
尻益先生の遊びって結構難題なんだよね。例えば、男にあまり興味がない先生だが花嫁泥棒ならず、花婿泥棒してこいとか色々やったんだよね。当時、常識がない僕は一生懸命やったよ。だから、それも因でボッチになったんだけどね。それに、あれは大ニュースになったし。まあ、あとで母さんが闇でもみ消したけどね。そのあとで、大折檻を食らったけどね。自業自得だけど。
「犯罪だけは勘弁ですよ」
「いや~。うちのブサ犬、フラダンスが行方不明でね」
「ダ! メー!」
僕は思い切り叫んだ。叫ばずにはいられなかった。あの、首が三つないケルベロスが。
『お、おう、満の奴は何時になく元気だな』
「エア子さん、フラダンスの恐ろしさがしらないから悠長なことが言えるんだよ」
『アタシかい? 結構真面目に話を聞いているけどな』
「フラダンスは見た目は小型で雑種の茶色の毛がムクムクした犬で日本犬に見える」
『説明してくれるのかい』
「はやく、捕まえないといけないからね。特徴は教えるよ。惨事をふせぐためにもね」
『もしかして、凶暴なのかい?』
「普段はおとなしいんだけど、あの犬は熊でも襲って食うからね」
『おや、まあ、元気な犬じゃないかい』
「なんで、ここでのんびりなんだよ」
エア子さんも常識人なのか非常識なのかわからないよ。まあ、半分、人間じゃないけどさ。
「ところで、満と話をしている、エア子さん? 僕と一緒で素っ裸だけどいいのかい?」
え?
「先生見えるの?」
「ん~? 君は見えていないのかナ? まあ、フラダンス連れてきたら教えてあげるよ」
重要なことがさらに増えた。尻益先生はエア子さんを知覚できる。僕としては有益だ。エア子さんも自分のルーツがわかっていいことだろう。
そのまえに、フラダンスだ。あの犬は半分プレデターだ。なんでも、肉を食う。あんな、危険な犬を放置してはいけない。本気で。
「とりあえず、迷宮にはいないヨ、フラダンスは」
尻益先生の情報信じて僕はいったん外へと出ようとする。
迷宮の地理間がわからないので我空を蹴ってまで起こして案内させて迷宮から去る。正直ここで僕のストーリーは完結してはならない状態となったよ。
最強生物、言わば神と呼ばれたこともある。生物を捕獲しなければならなくなった。飼い主がやれよって言いたいところだが、尻益先生はいうことは聞かない。自由人だもの。
【フラダンス】だよ。犬だよ。とっても強いんだよ。
またもや、日常系からかけ離れることになる。このストーリに平和っていったいなんだろうと思う僕がいた。




