サイコホラー お鼻フロンティアって何?
熱いですね~。でも、このお話は怪談ではないので納涼できません。涼し所でお読みください。
昼間に話題をしたブドさんの好きな男ことを忘れるため僕はなんでもやる部に精を出した。今日も今日とて必死に学校内のタダ働き。給料なんてものは存在しないけど内申点があがるのかな? タヌキさんが勝手に作った部活だけど先生たちも評価しているよね? だけど、雑用だけを頑張った生徒としか見られないけど……。
僕は校門近くで庭の手入れや草取りをしていた。無論、部長の我空やアイドル部のωさんも仕事をしている。アイドル演じる女の子がなぜにこんな雑用しているの? という、ツッコミは薄れてしまい、貴重な戦力として頑張ってもらってます。ついでにエア子さんからは『頑張れー』とかエールを頂いてます。肉体がないからしょうがないけど、正直うるさいだけなのでやめてほしい。それに、僕にしか声が届かないし。
「満! いま、エア師はどうしていらっしゃるんだ?」
何故かはしらないけど肉体なし、不可視、僕にしか声が届かないエア子さんに我空は執着している。師匠呼ばわりだ。まあ、僕以外でも、タヌキさんや澪さん、桃萌さんもエア子さんの何かを感じ取れて意思疎通できるみたいだけどね。
『我空もよく頑張ってるな! エライ エライ』
僕はその通りに奴に伝える。
「エア師が俺に褒めていらっしゃる! うぉぉぉぉ!」
我空の場合はエア子さんを認識できないはずなのに、なぜにこんなに喜べるんだろう? まあ、感動できるならそれでいいんだけど。
「ふーちゃん、ふーちゃん」
「なんだ? ラフレシアの成虫」
ラフレシアって植物じゃなかったけ、我空がωさんを嫌っている様がわかるけどね。
「やん、ラフレシアの成虫。ふーちゃんわかっているぅ。人知れず儚く咲くというお花で、けなげに成長して誰にも触れられない珠玉の肌と妖艶さが魅力な妖精さんに例えるなんて。私はどこまで罪深い女になるのかな」
なに言ってるんだか、よくわからないけど、なんでもプラス思考に持っていく人だな~ωさんは。妖精? 妖魔じゃないの。
「けっ、いつもディスってもこの調子だから困る」
まあ、それはそうだね。疲れるよね。
もう定着されているかわからないので説明すると、ふーちゃんは我空深のことでωさんとは幼馴染みたいで彼女が勝手に我空をふーちゃんって呼んでいるんだよ。
『おっ、満は難しいこと考えているな? あの二人のことだろ?』
「わかる? エア子さん」
『あいつら、結構仲が良いとおもうんだよな。だからといってくっつかないというかさ』
「うんうん、それは僕も考えたことあるよ。でもね、あの二人の性格ってどちらも自分好きじゃないかな。それでそりがうまくいかないというか……」
『だよな』
「面倒くさいよね」
などと、エア子さんと会話していると勢いよく腕が伸びて僕の額にアイアンクロウをかます。
「い、痛いよ! 深君」
「み・ち・る! テメエは何をエア師と話をしてやがる」
『おやおや、やめな! 我空』
僕はそのまま我空にエア子さんの台詞を言う。
「エ、エア師。取り乱してすみませんでした。しかし~新亜のことはふれられたくないんです」
「や~ん。ふーちゃんの恥ずかしがり屋さん。もっと、私にラブアピールしていいんだぞ☆」
「テメエは黙れや。色情狂!」
なんだか、酷い言いようだけど。それに対してωさんは照れつつも動じていない。照れでさえ演技にみえる。それは、それとして思い出したんだけどさ……。
「新亜さんがビッチであらゆる方面に多情なのはいいんだけどさ」
これを聞いて『やん』と口からこぼしているωさんだけどこっちがやめて欲しいよ。やん、だよ
「満、あれがいいのか? お前凄いな!」
「いや、よくないけどね。新亜さんから唇を奪われた被害者の一人として気になったことがあってね。幼馴染の君なら知っているんじゃないかなと思って質問するよ」
「なんだよ?」
「こういうのは、本人に聞くべきだけど気恥ずかしいから君に聞くんだけど」
「だから、なんだよ!」
我空がイラついている。でも、この場で聞いていいのかな? でも、疑問に思ったこことはすぐに聞かないと忘れてしまうし。まあ、なるようになれだ。
「ωさんのファーストキッスの相手って誰なんだろう?」
……。間が起きた。その間、心地よい風が吹いた。なんだか青春だね。
我空とωさんは二人顔を見合わせて照れ臭い表情をする。こうなる予感したんだけど。二人は黙ってそれぞれあさっての方向に行ってしまう。こんなに効果があるとはビックリだよ。
『満もやるじゃないかい。伊達にモテているわけではないねぇ』
「エア子さん、そういうこと言うの、やめて。僕は失恋中なんだよ」
そう、ブドさんにね。ふられても、今日も相も変わらず顔合わしたけどね。おしゃべりしたけどね。
『ああ、ブドさんな。いいじゃないかい。一回ぐらいのつまずきぐらい』
「よくないよ!」
僕が本気でエア子さんに反論している時にいつのまにか見知らぬ女の子がいる。誰ですか?
『ほら、モテるじゃないか! 満』
「エア子さんはちょっと黙っている」
見知らぬ女の子は僕をみてエア子さんという、社会上いない人間のやりとりを見て不思議がるよりなんだか、それをみて感動しているように見えた。どういうこと?
『もう、アタシと満のやりとりは名物になっているようだよな』
「なにそれ、嫌だな……」
「ちょっと、いいのかな? 息野君」
「は、はひ? だ、だるれかな?」
僕はボッチでコミュ障なのでなれていない人間にはいつもこんなものである。どうでも、いいけど緊張するから用件すませてさってくれないかな……。
「誰? って言っているの? 隣のクラスでゴニョニョ」
そっちも、滑舌わるそうだね。これじゃ、お互いに困るよ。
『満、要領が悪いね~。いちいち口説かれるためにいるんじゃないんだぞ。そこは何か用? でいいだろ』
「なるほどね。エア子さん。え? 僕、今、口説かれかけているの?」
『だから、口に出すんじゃないよ!』
「怒らなくても……」
『お前は鈍感だね~。その鈍感さをいちいちやっていると何回でも女子に捉まって恋愛トークになってしまうだろ』
僕は話しかける女子をみる。確かに嬉しそうに見えるけど、どうなのかな~? 一匹のボッチとしてそれはないんじゃないかなと思う。でも、エア子さんに従う。
「え、えええっと、何の用?」
「あ、あのね。そこに変な人いるでしょ?」
変なのは僕くらいしかいないと思うけど、とりあえず、女の子の指さす方向を見る。
「おんや~?」
見覚えがある。というか、記憶に留めたくない奴がいる。こいつはお鼻フロンティア(開拓者)だ。今日も飽きもせずお鼻を開発に余念がない。すこし、鼻血をだしているので、出血がやばくなる前にやめた方がいいんじゃないのかな? 癖なの? 病気なの?
「息野君に用があるって皆に聞いて歩いているようなんだけど」
「僕があんな奴と面識あるわけないでしょ」
「だよね、だよね。私達のみちる……息野君が」
「私たちの?」
「いや、なんでも……」
どうでもいいけど、僕は面識のない人間に所有物になったつもりないんだけど。さておき……。
「多分、ブド……真西さんに用があるんじゃない?」
途轍もなく認めたくないことだけど。
「いいえ、息野君って。でも、関係ないんだよね?」
「うん」
「だったら、私とちょっと……」
女の子が照れ臭そうに僕になにかお願いでもするかと思ったら。近くに邪霊ポンポコの気配がする。
「貴様! 下女の分際で満を口説くではない。あれは妾のものじゃ」
いや、タヌキさんの所有物になったつもりもないよ。
「ひえー! 生徒会長」
悪鬼羅刹と化した、タヌ鬼神さんの迫力に負けて逃げ去る女の子。そこまで怒ることもなかったじゃないかな。
それよりも、恐ろしいものがこちらに近づこうとしている。
名前はしらないがお鼻フロンティアがこちらに近づいてくるのだ。鼻血が黒い色になるまで出血し鼻から頬全体とシャツまで汚している有様だ。僕までお鼻を開拓されるのかな?
「み、満。怖いのじゃ」
「さっきのタヌキさんも結構怖かったけど、なんだか僕に用があるみたいだから僕から離れれば?」
「そうもいかぬ。苦楽をともにしてこそ伴侶じゃ」
僕たちはそういう関係じゃないけど。でも、猟奇的な人間かと思うほどの血の浴び方。ご本人様の出血だけど。色んな意味で怖すぎる。どういう人物か知りたかったけど正直、関わりたくないのが本音であった。
怖すぎるよ。
まあ、変人は出てきましたが(^_^;) サイコホラーではありません。でも、ある程度実話を飛躍しています( ´艸`)




