ラグナロク! ではないよ。
四話の分割した続きです。
「覚悟! ゴッデビル」
なんで覚悟するんだよ。ゴッデビルって何? ル? なんだったけ。ルは気にせず手に持った傘で僕を突こうとする。晴れた日に持ち歩くなよ。やたらと骨組みが良さそうな傘だ。最早凶器。校則違反だよ。
『危ないね~。これは満の言うとおり退散だな』
「だから言ったでしょ! 行こうって」
「せんぱ~い、いや、ゴッデビルよ! 闇人格にたぶらかされたか? なぜ? 構えない? 決着をつけない? 私は何千年と待っていた。なのに何故?」
その設定何? 知らないよ。この娘は僕とエア子さんとの会話していたのをみかけて追っかけファンになったんだろうね。彼女は多分中二病で僕のような変わり種が好物なのかな? エア子さんを僕の内に秘めている別人格だと思っているんだろうね。闇人格も病み人格もないよ。
僕は脱兎のごとく逃げた。
「待て! せんぱ~いじゃなくゴッデビル。行けスレイプニル」
彼女が運転するチャリの名称なのかな。北欧神話のオーディンって神の愛馬だね。北欧設定なのになぜにル? ルなんとかと名乗っているのかは知らないけどね。ゴッデビルも知らないけどね。
「エア子さんどうしよう。ルが追ってくるよ」
「アホー! ルではないわ。ルヒュールだ」
もう、帰りたい。お家に帰りたい。
だけど、学校をサボろうとしない理由がある。子供のころ、よく仮病をしたけどみやぶられてね。休もうとすると家族が他のことをさせようとする。厳しい身内の教育だ。
学校に行った方がマシであって、もの凄い訓練をさせられる。何一つ身に付いてないけど……。スパルタ家族です。だから、干渉の少ない兄さんの家に逃げてきたんですよ。
僕はね、意味もなく根性で生きて、風邪を引いても一人ぼっちでも皆勤を狙う孤独な人間……酷すぎる。そして、おツムが馬鹿なので、馬鹿は風邪をひかないと称される。
『満! 卑屈な顔をしているぞ。笑顔だぞ。笑顔』
ニコ✩ 満面な笑顔をする。僕なりに。
ゴス! 背中に強烈な刺突が当たる。
「痛い、痛いよ!」
「きまったか」
ル、なんとかは満足げに言う。そして、勝ち誇る。
「グングニルの一撃、思い知ったか?」
思い知りました。勘弁して下さい。
しっかし、コイツ、本気で傘を投げたな。痛くて動けない。
女の子がやることか? 武闘派の中二病め。
今日は人間界は平和だ。僕だけ取り除いて。
「あぅ」
いつまでも立ち上がらない僕にルなんとかが心配をかける。手を差し伸べる
心配なるくらいなら最初からやらないでよ。
死ぬかと思ったよ。
「え、えっと、えっと、えとえとえとえとえとえとえと」
こんな時にさえコミュ障が治らない。まともにしゃべれない。
僕は被害者だというのに優しい言葉をかけようする。何も発することができないけど。
『しっかりおし、満』
「エア子さん。えとえとえとえとえとえとえと」
そんな中、ルなんとかはおどおどと僕に声をかける?
「あぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅ」
そっちもコミュ障かよ。さっきのグングニルの勢いはどうした? ルは気恥ずかしさで逃げ去っていく。待って介抱してよ。マジで痛いんだよ。
「イタタタタ」
でも、たいした怪我もなくてよかった。痛みだけだ。
で、視線を感じる。新聞部だな。また、僕の奇行を学生だけがログインできるサイトに載せる気だな……。トホホ。池ポチャの時だけで満足してくれないかな。
学校行事などネットに載せた学校生徒のみでログイン出来るサイトがある。その中に奇行人物というコラムはある。僕のことで新聞部の仕業ですよ……酷くないか?
いいんだよ。我慢するよ。ボッチは全ての災いを受け入れるから。でも、怒っちゃうよ。怒るのは自由だよね。
さて、学校についたらパソコン室で自分のエゴサーチをするか。どう脚色されているか怖い。
エロサーチじゃないよ
エロサーチは兄さんのパソコンを使って安全に利用している。けど、見つかって怒られる。殴られる。逆エビ固めされる。兄さんプロレス好きだからな~。スポーツ全般好きだけどね。
『満があんまりに下品な顔しているから周りが引いて誰もいなくなったねぇ。もうちょっとだぞ。頑張れ! 走りな! ハイペース!』
容赦ないお言葉。エロサーチ考えていたのが顔に出たのかな? 男だからこれはしょうがない。
でも、僕の品性より、僕は毎日エア子さんと会話しているから白い目で見られて皆が避けて先に行っちゃうんだよと言えない。あと、ルの奴が関わるから。
でも、どのみち僕が変人扱いされないことが変わるわけではないしね。なにされても、しなくても変人、奇人な僕。
だけど、僕は思うんだよね。
リア中トークに花を咲かす連中は通行の邪魔だというのに悪のレッテルが貼られない。
グループだと気味悪がられることはない。なのに、一人会話は気味が悪がられる。
エア子さんいるから同じ複数なのにね。エア子さんは見えないからね。エア子さん、もう少し自分の存在を自覚してほしい。
「校門閉められても困るから走るか……」
僕は懸命に走る。
『なんだい! 女子のような走り方……情けないねぇ~』
走れというから走るのにその言い様。僕に死ねとでも命じているのかな? 酷い。
『なにやらせてもダメな奴だね~。あたしがついてやっているんだ! 頑張れ』
「ハァハァ、実体がないエア子さんなんか、体力も疲れもないじゃないか! 言いたい放題じゃないか! ぜぇぜぇ」
いかん、大声で走ると息がきれる。なのに、よそに。
『なんかとか言うなー! いいかい、そういう失礼なことを言うなよ。くどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくど……』
始まったよ。小言が長いから逆らわないでいたけどやってしまった。
声質は可愛いエア子さんは声フェチな人間がいたとしたらご褒美かもしれない。僕は違う。我慢しているけど向こうのマシンガントークはとまらない。
現実にいるかわからない相手に説教される。主導権はエア子さんが上。
おばさんとか言うと怒られるけど本人好みで呼ぶならお姉さん。姉御? 姉貴? という位置付けなのかな? お姉さんに怒られた✩ えへへ。などとご褒美になる気分は持ち合わせない。
などと、どうでもいいことを考えてやり過ごす。
『満! 聞いているのかい?』
「はいはい、走っている時は話しかけないで……ぜぇぜぇ」
『返事は一回! はい! だぞ』
もういいから勘弁して。黙っていて。こんなやりとりをしながら、いつも通り学校の一時限に間に合うのが僕の定番だ。