幾星霜の年月と渡り合った強敵(とも)との対峙ではないよ
ここも、二つにお話を分割しました。
僕は高校生になってから自宅には住んでいない。理由は親もとから離れたいから。親が厳しいんだ、これが。それが不自由で窮屈でたまらない。
なので、逃げて、年の離れた兄さんの住まいに厄介させてもらっている。
兄さんの住まいは学校に近い。
兄さん、年齢は26才だったかな? で10才年の差がある。優しくはないけど、わりと面倒はみてくれる。それに甘えて無理やり世話になっている。ほとんど兄さんは家にいないけどね。
更に僕には3才下の弟がいて兄弟として微妙な位置にいる。兄弟仲が悪いわけではないけど、二人とも個性が強烈で付き合いは面倒だ。
普通は妹か姉がラノベや漫画に出てくるがこの物語でそういうのは期待しないようにね。
ちなみに兄弟三人は性格があまり似ていない。
で、まだ登校中です。問題にかわるが学校はまでの景観がよくて近くていいんだけどね。山側にあるせいか坂がキツイ。
しかし、多分誰も苦にせず歩いてはいる。仲間と和気あいあいしているからね。
だけど、一人ぼっちの僕にはこの面倒な坂に集中するしか考えることがなく会話で紛らわす相手もいない。地味に疲労する。
げっ、あそこにいる自転車に乗って待ち構えている隻眼の娘。通り名はえっと……なんだったけ?
「エア子さん誰だっけ? あの子?」
『あの娘かい? ルヒュールだったかね~本名は知らないが。毎日会うじゃないか』
社会に存在しないエア子さんの方が詳しい。というか、僕が覚えようとしないんだけどね。
隻眼と言っても右目を長い前髪で隠しているだけです。やたらと目つきが鋭いけど顔の輪郭はまるくてプニプニして可愛い娘だと思う。三次元としては。僕はあの人以外は二次元ボケの好みで生きているからね。彼女が登場する前に別の娘が出現しているよ。順番を守ってね。
加えてあの娘は毎日僕を虐めるんです。下級生なのに嫌になっちゃうよ。
「ル? ルヒュールね。さて無視して行こうか」
あの娘を相手にすると余計に僕まで変わり者扱いされて困る。というより、なぜかは知らないが勝負を挑んでくる。僕が弱そうだから? やっぱりイジメ?
「待て、せんぱ~い。いや、ゴッデビルよ!」
その、間延びした呼び方やめて欲しい。いつも思うけどゴッデビルって何? いや、無視、無視。
『満、相手をしてやりな』
「なんで? だよ。エア子さん嫌だよ」
『可愛い後輩だろ? 変わった娘だから面倒見てやるのが先輩としての筋じゃないのかねぇ?』
「いや、誰かが制御しているって大丈夫だよ」
とは、思わなかったけど面倒だから適当に決めつけた。エア子さんとのやりとりをルなんとかはじっとみている。まさか、エア子さん見えるとか? そんなことないよね。
「ククク。せんぱ~い。闇人格との対話か。世界の均衡がくずれはじめているようね」
そうなの? 世界が滅ぶならそれは大歓迎だけどね。卑屈なボッチは現実いらないから。ああ、自傷してしまった。
『面白い娘だね~』
そうかな?
エア子さんは次元が違うので世界がどうとかより自分が混沌していることに気づいてほしい。
向こうは変わり種、偉そうにチャリンコに乗りながら腕を組んでいる。身長は僕と同じ低身長なのに偉そうだ。
「世界を安定するためにはひとつ! 私と戦え! されば道は開かれん」
「……」
無視だよ。無視。いじめっ子は無視が一番。
「その沈黙、闇人格と合意したようね。さて、死力を尽くすことで礼儀とさせてもらうわ。邪神破壊魔王ゴッデビルよ」
彼女は構えた。傘を取り出してなにかをするようだ。だいたい想像できる怖い、怖い。
中二病女子って面白いですよね。