デンジャー! 会話しながら歩いては危ないです。
作者らしい思考の話です。
手直しはしましたけど、独特なので読者様に満足を得るのは難しいのかな?
今、カラオケ屋リヴァーニャに向かっていた。
僕の住んでいる街はすこぶる田舎とはいわないが普通に過疎地で何もない。どこからが田舎の基準かは知らないが遠方から来た都会の人間には『何もないところだね』と言われるとは思う。
いや、一通り物は揃うんだよ。多分ね。
学校から徒歩20分で駅前のカラオケ屋に着くがこれといって華やかではない。栄えている方は街と街を繋ぐ国道沿いの方が色々とお店がある。ただ、通学路上僕は縁がないから普段は寄ったりしないけどね。
ところで……。
「梨園さんことルヒュールだけどね。せ? 仙洞会長に連絡しているなら、言ってくれればいいじゃん。ねえ? 深君もそう思うでしょ?」
「まだ、名前が疑問形か? そうだな、不快に感じんが漢らしくはねえな」
梨園さんは女の子なんだけど……。彼女は動じることなく冷めた含み笑いをこらえていた。
「ふっ、英雄、賢人、勇者は何時いかなる場所でも出現する。善意をひけらかさない。運命を一体にしてただ悠然と水の流れの如くいるのみ。時には静止し、時には岩を砕く力をもつ。あの時は……」
意味のわからない理屈は僕に匹敵する。しかし、ロジックは無力です。
「利用されて何も出来なかったってことだね?」
「あう~! 多重スパイの身も考えてね」
もしかして、デス葛さん達ともスパイの付き合いですか?
単にそういう立場を勘違いして装って気持ちよがっているだけでしょ?
しかも、双方にバレているでしょ? スパイとういうか、どこいっても相手に押されるだけでしょ? 白状したりこき使われたり……。梨園、いやルヒュールよ、僕並みに人間が弱いな……。
こういう娘の方が謀略家より気を付けないといけないのかも。裏切られたりするし。裏切っても構わないけど。
『梨園さんと付き合う娘に悪い人間はいないさ』
「エア子さんは良い風に捉えすぎ。善悪なんてその人間が持つ立場の捉えようでしか過ぎない」
『屁理屈を言うな!』
「だって本当だもん!」
!
梨園さんとハモる。ビックリしたな~! エア子さんの声が聞こえるのか? 何か感じ取れたのか?
「ククク、満先輩の方が闇の心があるとみた。闇人格よりも」
エア子さんを僕の闇人格扱いにしているのは相変わらずだね。闇というか病みで生まれた人格があるとして、それを超えているとか意味がわからないんだけど。
「そういう先輩いや、ゴッデビルの心を私は捉えて離さない。やはり、世界の命運はゴッデビルの後ろにある。私がゴッデビルを超越しない限り世界の均衡を見出されない」
「よく、わからないや。評価してくれているの? 更に馬鹿人間になりたいってこと?」
「ち、違~う! アホー!」
でも、バカ扱いしているじゃん。
「どうでも、いいが……さっきからよくしゃべるなお前ら……。学校からだぞ。臆病者同士が集まるとやかましいって聞いたことがあるが本当だな」
我空がゲンナリしている
我空の方がやかましい方だよ。あと、我空は無鉄砲。
あんまりに皆から相手にされないから、奴は憂さ晴らしに『これから、女子たちとカラオケだ!』と各クラスに自慢してまわっていた。
あれの方がウザイし、やかましいって。
部活動関係で拗れた関係があるらしい我空は喧嘩に発展する勢いだった。特に野球部員と。
奴の脳内には野球=乱闘があるらしく他校の練習試合でそれをやろうとして問題になったらしい。
何時ぞやの昔にドラマ化された兄さんが読んでいた漫画のようだ。乱闘未遂事件は練習試合だけどね。
せっかく、練習試合でも、努力で短期間のうちに部活動で出せてもらえたのに……。この始末とか噂されたな。誰とも会話しない僕の耳にも届く。
放課後騒動の全部は部活動総合エースのブドさんが仕切って問題を鎮火してくれたけどね。ブドさんも割と尻拭いが好きな人だからな。顔が立つんだよな。
話は戻る。
『ホント、やかましいねぇ。この二人の理屈』
「理屈って、それほど大層なことは言ってないよ」
『我空と梨園さんと歩くのにも縦隊か横隊かで揉めていたじゃないか』
確か口論したけど……。ちなみにエア子さんは実体がないのでスペース関係なし。どこにいてもどうぞです。
「横隊は人の進路を阻む不快な陣形。道を歩く人様に邪魔な目を避ける為にも、僕もその邪魔くさい連中だと思われない為にも必要。心のケアの並び方が縦隊、しかも後列こそが心のオアシスで気を使わずにただついて行けばいいというポジション!」
『ただの軟弱じゃないかい』
「違う! 後ろに歩く人間は前列を歩く人間に靴の踵を踏まないで歩かなければならない気づかいというミッションがある!」
『密集しすぎだろ…』
「なんだか、昔のRPGゲームみたいな歩き方だな。笑えるが行進じゃあるまいし俺は恥ずかしくて出来ねえわ」
「その通りだ! 魔犬のエサよ!」
「一応、我空先輩って言ってあげようよ」
「しかし、魔犬のエサが言う恥という概念を持つということは司令官にとって敗北に繋がる。重要なのは……」
この娘聞いちゃいないよ。我空も魔犬のエサと言われても嫌そうな素振りみせない。どうでもいいのかな。つうか、このうちで誰が指揮官なのよ。我空?
「聞いているか! ゴッデビル!」
「は? はい!」
僕はビシッとする。自分も主張してなんだけど……どうでもいい話。おっと、熱弁を聞かなくては。
「縦隊、横隊というのは奇襲されて真ん中を分断されたら、即部隊の半減を意味する。敗北は必至」
「何を言っているの? 僕はメンタルを考えているだけで……」
「ククク、敵のメンタル気遣うだと? バカな! 思いやりがあれば付け込まれる。世話に耐え後手にまわるのみ、敗北の兆し」
なんで、戦闘理論になるの?
『確かにね~。満は道阻む駄弁りグループとの歩行の遅さを気にかけているよ。抜けずに泣き顔になっているな。精神的に負けているねぇ』
「確かにそうだけどさ、エア子さん」
「フッ、流石は闇人格。何を言っているのか聞こえないけど戦術は心得ている」
『ははは、面白いねぇ。だけど、勝ち負けとか気にするなよ』
「エア子さんが気にすんなって言っているよ」
「無形の陣か……」
いや、そういうことではないよ。陣形のことじゃないよ。そもそも、僕は周りに気遣っていれば自分の心も傷つかないと言いたいだけで。こんな会話に突入するとはね……。
「エア師の言う通りかもな。そもそも、俺様は何もしないでも人に接触してぶつかることはないからな。ま、ボケかまして事故るとかまでいかない。気が抜けているわけでもないしな」
いつの間に我空の中でエア子さんが師匠扱いに……。エア師って何? あと、我空の登校時だけは洛校生に避けられて道が開くだけだと思います。
気にしなよ。
「エア子さんの声が聞こえるの?」
「は? わかんねえよ。ただ、なんだ……エア師の存在は認めてやるというかな……」
我空がバツの悪い感じの照れくさい様子で言う。奴に何の変化が起きた?
「闇人格! 恐るべし! 魔犬のエサを感化させるとは……。これは聖犬のエサにクラスチェンジか!」
エサには変わりないのね。
「先輩と呼びなさい。一応ね」
『そういうところは、こだわるのな。満は』
「聞くに耐えないでしょ」
「エア師は拘るなって言っているんじゃねえのか? どうとでも呼べよ。俺は誰にでも呼びたいようにするからな。で? 連れ同士の歩き方の問題は?」
「フッ。 いかなる事が起きるかわからない無形の陣で」
「要するに自由に歩けってことだろ? 何を馬鹿げている話を論じているんだ? さっぱりわからん」
『同感だね~。我空の方が一歩、良い子になったんじゃないか?』
エア子さんは我空に師扱いで呼ばれて、いい気分になりそう思うのでは?
なんか、我空が僕に向かって一礼する。そこにエア子さんがいるわけではないと思うけどさ、僕に向けているようで気持ち悪い。やめてくれ………。
そんなこと、やっているうちに目的地Levaniaって名前の看板をみつける。綴りが読めないけど多分、そう読むのだろう。何語?
身内の店だから初ではないけど、あまり近づかないね。
気が乗らないけど、渡りに船もなく。三途の川だか、嘆きの川アケロンだか知らないが華やかさとは裏腹にタルタロスという名の冥府へと渡る。
半端な神話方向の中二知識で暗喩もめちゃくちゃ思考。それほどに気が重い。とりあえず、エントランスにたどり着く。
ああ、嫌だ。
執筆中にここんとこカメムシが飛んでくるのでどうにかして欲しい。
後書き書くときにパソコンのキーボードに落ちてきました(´Д`;)
ていうのは1,2年前の話で今でも夜に虫がモニター寄ってくることがあります(^_^;)




