空気だけの存在 エア子さん
デス よっしーの力作コメディー。
さあ、堪能してくださいね。
一から作品を書こうかと思いましたが改稿路線でいきたいと思います。
この、お話が少しでも好きになってもらえるように頑張ります。
なるべく2000文字にうまるようにしていきます。
長いと読んでもらえないから(;´・ω・)
3000文字以上はわけて改稿していきますので作業途中で途切れていたらすみません<(_ _)>
早急になおします。
さあ! 朝だ。今日も憂鬱に学校へ行くよ!
憂鬱なのに元気だって? 空元気です。学校サボっても家業を手伝いに巻き込まれるからね。仕事で一緒に働く人と必ずコミュニケーションとるから嫌なんだよ。いや、いい人たちだけどさ、気を使うから嫌なんだよね。僕の足手まといもあるし。その点、学校では三回くらい喋れば済むこともあるし気楽だよね。
そんなことはないけど。学校で『どうか何もおきないように』と祈り忍耐で静かに無事過ごす宿命だ。職場はそうはいかない。愚図でも頑張らなければならないのだ。臆病者でも果たすことは果たさなければならない。
出来の悪い陰キャラが陽気でできる奴になるのは心苦しいことだよ。
では、張り切って一日地獄の苦痛を堪えぬくことにしましょうか。
レッツゴー!
しかしながら……。
トイレ行きたい。
マジで。
終了!
いやいや、話はこれからだって。
僕の名は満。息野満。高二の男子だ。
いたってごく普通な冴えない男子で通りたい。自分の悪いところはたくさんあるけど普通を目指してます。普通って難しくて大切なことだよ。普通に憧れる。それ以上の向上心はありません。
で、現在悩みがあります。おしっこしたいから近くのトイレに行きたい。だけどトイレ行きたいなどと主張できないダメ人間の僕だよ。団体社会でトイレに行くということは一種の高等イベントなんです。はっきり言えないでしょ? 一般的にみんなそうでしょ? 違うのかな……悲しいな。そんな僕に妙な相棒がいる。
『おーーーーーーーっす!』
声の主は女の子。勘違いしないで僕の彼女ではない。
挨拶の主の彼女を僕はエア子さんと呼んでいる。僕は人を遠ざける人間です。彼女は人に気づいて欲しい人間です。暑苦しいほど明るいのに人にアピールしても気づいてもらえない哀れな人だ。僕の場合は悪目立ちする。この二人の特性を交換して欲しいものだよ。
彼女は誰も気づかない。
だって、彼女は誰にも見えないし、その元気な挨拶も僕にしか聞こえないんだ。
なんでなんだろう?
さっきのあいさつだって僕にではない。毎度、通学路を横並びで歩いて群れては進路を阻むお喋りリア充軍団にだ。
ああ、それよりトイレ行きたい。
だけど、じゃまなお喋りグループに進路をふさがれている 素通りできない。泣いちゃうぞ! 漏れちゃうぞ!
僕の危機を知らず構わずにエア子さんはあいさつしまくっている。あんな連中にご執着なのか? 『おーす』『おいーす』『おい、コラ、アタシを無視するな』と多々にわたる。
僕は何も言わない。どうしても、人を遠ざける癖があるからだ。いや、コミュ障だけどね。皆さんもコミュ力パーフェクトとはいかないでしょ?
でね。
そろそろ限界、トイレ行きたい。
『おはよ――――――――――――う!』
うるさいよ。僕のおなかの先っぽを気にしてよエア子さん。誰に対しても恐れを知らない女。俗におばさんがそうである。おばさん気質を持つエア子さん。
「エア子さんちょっと今だけは静かにしてね」
『なんだい、満。お前さんもあたしと一緒に元気に挨拶だぞ!』
「いま、気合いをいれると漏れちゃうんだよ」
『?』
周りの通行者達が僕の奇妙な行動に視線を集める。そりゃ、はたから見ればひとり会話だからね。
僕はもじもじしているとエア子さんの活がはいる。
『もっとシャキッとしな満』
「うるさいよ! エア子さん」
僕は彼女がいると思われる方向に指し抵抗する。
漏れそうなんだよ。どうにかして。
「ねえ、エア子さんさぁ、誰も聞こえないんだからさ、諦めたら?」
『継続は力なりさ。あたしは毎日頑張るさね!』
「エア子さんの勝手だからいいけど……さ……。何度やっても気づいてもらえないよ」
『諦めたら終わりだろ? アタシは何度でもやるさね』
「社会上に存在しない無色透明実体なしのエア子さん。無理ですよ」
そろそろ、股間を抑えたいところだが僕のピンチに彼女は気づいてはくれない。
それどころか、表情こそわからないが彼女の逆鱗にふれたと感じる。
『コラー! 満、アタシの努力を否定する気かい? 頑張っている女の子を応援するのが男だろ? そこを教えてやるかね』
女の子? 出会いはそう思ったけどね。
まあ、実際は実体がないので性別がわからないんですよ。エア子さん。でも、彼女は口が強いから厄介だからビビッてしまう。それより、おしっこ。
しかし、なにかしら実体がない癖に圧力を感じる。
「ヒイィィィィー! 勘弁してよね」
騒いでしまった。漏れそうな気分だ。人間としての尊厳を保たないとね。
ふと、リア充どもの視線が集まる。
「君もさ、そんな暗い一人会話しないで俺たちと行こうぜ」
リア充の内、一番気が優しそうな男子に声をかけられる。ヒイィィィィー人間怖い。漏れそうだ。
「その、あにょ、遠慮します。えっと……」
『コラー! 満! 人との関りを大事にしな』
「ごめんなさい。漏れそうです」
『たく、早くトイレ行きな』
優しくしてくれた。
世話焼きおばさんみたいな口調だが声は可愛い。肉体があればな~。いいのにな~。
『よーし、行くぞ! 満』
「ねえねえ、エア子さん。実体がないエア子さんにおしっこしたい感覚ってわかる?」
『やめな……そういう話は』
どんな風に見られているか見当もつかないがこれは確実にエア子さんあきれているな。
僕はくだらない下ネタでこの場は我慢するために精神を乗り切っている。オラの体! 持ちこたえてくれ!
で、近くのコンビニでトイレを借りる。買い物はしない。いつものトイレ少年だと思われているんだろうね……。メンタル弱いけどこれだけは抗えないからな。汚物扱いでもしかたない。
『卑屈な表情するんじゃないよ! 満。トイレかしてもらったらお礼をいいな』
「えー!」
僕は途轍もなく困惑する。喋るということがどれだけ重荷かわかってくれない。
『常識だぞ! いいから、ありがとうだ』
「あ、ぁりぎゃとぅござぃますぅぅぅ」
「?」
店員さんの反応はなし。
小さな声でキョドりながらも僕は言ったんだ。もう、いっぱいいっぱいだ。店員さんには気づかれずコンビニから去る。
エア子さんと出会ってからの毎日はこんなやり取りばかりだよ。
疲れるな。
世話焼きお姉さんなのか保護者なのか関係性がわからない。
でも、人間嫌いな自分なのに付き合うことに嫌だとは思わなかった。
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