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フィオナ

更新遅くなりました!すみません…

誠音の家は、広かった。どうやら、チキュウでは普通らしいが。俺たちの世界では魔法があったから狭くても困らなかったからな。魔法がないなら仕方ないのかもしれない。


「適当にそこら辺座ってていいよー」


「おー、ありがと」


お礼をいって床に座る。


「…ソファーに座ってていいよ?」


「そふぁー?なんだそれ」


「…」


どうやらソファーというのはでかい椅子のことらしい。

ソファーに腰を掛ける。俺の世界では床に座るのが普通だったんだけどな。


「お待たせー。はい、お茶どーぞ。」


「あ、ありがとな。…ステールは?」


「…すてーる?」


「あ、いや、やっぱ大丈夫だ…」


「…。」


この世界にはステールも無いらしい。水分を吸い上げるアーティファクト無しに、どうやって飲むのだろう。…カップに口をつけて飲むのか。


「あつっ」


「え、ごめん!大丈夫?」


「…いや、こんな熱い飲み物は初めてで…」


「もしかして相当猫舌?」


「ネコジタ?何だそれ」


「えっ」


「…。」


誠音なら信用できるかもしれない。試しにいってみて、最悪記憶を少しだけ弄らせてもらうことになるかもしれないが。ごめん、誠音。


「なぁ誠音。俺が魔法使えるって言ったら、信じるか?」


「んー。信じないけど、やっぱ憧れるよね。」


「これでも?……フィオナ」



手の中に紫の炎を作り出す。これは、火属性魔法の初級魔法、炎を作り出すだけの【フィオナ】だ。無詠唱でも良かったのだが、魔法を知らないならと少しでも魔法らしく感じるように和えて呪文も唱えた。



「う、わわわっ」


「ふふっ、どう?」


「け、けして!はやく消してっ、わかったからっ!」


「いいよー」



手の中にちらちらと燃える紫の炎を消す。この魔法は何かに燃え移るとただの炎になって制御ができないが、紫のうちは制御が出来るので燃え移らないように制御しておけば安全だ。



「…今の何なの」


「火属性の初級魔法。」


「…。ほんとうに、魔法使いなの?」


「マホウツカイ?…俺の世界では、みんな魔法を使えるんだ。」


「…違う世界から来たの?アカネの言動からして辻褄は会うんだけど、頭が、追いつかない…」


「…まあそうなるよね」


「…うん、分かったけど全然わからない。」


誠音はどさっとソファーに座る。カップには例の熱いお茶が入っている。よくそんなにはやく飲めるな。俺には絶対無理だ。…まぁ、魔法を使えばできないことも無いけど。面倒だからしない。

因みに俺の魔力量は向こうでも稀で、いくら使っても減らない無制限型だ。これもあったおかげで、一級を取ることができた。…ほとんどの魔法を覚えた俺の脳みそも褒めてもらいたいけど。…褒めて褒めて




「…ふーん。で、なんで戦う敵がいたの?」


「表ではアイドル、裏では工作員の仕事をしてたんだ。」


「なんかすごいな」


「…そうか?普通だよ…多分。まぁ俺はその中でも強かったから、敵も時空魔法使う奴がいたんだけどね…油断しちゃった」


「また分からなくなってきた」


「敵が死ぬ直前に空間自体が爆発する魔法を使ってきたんだ。咄嗟に中途半端に防御したら、ここに飛ばされた。」


「んー…何と無く分かったけど、これからどうするの?」


「…。なんとかして食ってく」


「うちに泊まる?狭いところだけど…」


「⁉︎いいのか?、相当広いと思うけど…」


「いいよ。…人前で魔法使わないならね。」


「あぁ。俺だって面倒なことに関わりたく無いし。」


「…思ってたんだけど、なんで口調バラバラなの?」


「んー、あー、アイドルやってた時と工作員やってた時の癖かな」


「なるほどー、本当にやってたんだー」


「信じてなかったのか?」


「いや、改めて実感したってゆーか」


「あー」




どうやらチキュウでも1年は365日で、1日は24時間らしい。1週間が7日なのには驚いたけど。向こうみたいに5日にすれば楽なのに。休み多いぞ。チキュウの人は働き者なんだな…誠音みたいに優しい人ばかりだといいけど。

誠音に世話になる代わりに、家事全般は俺がやることにした。と言っても、魔法ですぐに終わってしまう。何か改めてお礼にアーティファクトでも贈るかな。…魔法だってばれないような。

誠音はこちらで“いらすとれーたー”というものをやっているらしい。かなり人気で、色んなところに頼まれて絵を描いているとか。絵も見せてもらったけど、水彩タッチでパステルカラーの、綺麗で可愛らしい絵だった。上手いな…




「…ところでさぁ、アカネ」


「んー」


「その服なんなの」


「…あぁ、ポートフェリス南署裏署長戦闘服だよ」


「ここの人はそんな服きないけど、とりあえず僕の貸すよ」


「…ふーん。向こうでは皆似たような服だったんだけどな。ありがとな」


「向こうって名前なんて言うの?」


「“涙流”(るいる)だ。形が雫型でさ。」


「へぇ…綺麗だけど、なんかちょっと切ない名前」


「そうなのか?」


「ちょっとね」


そうだ。誠音の仕事に役立つアーティファクトをプレゼントしよう。

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