第六話
かなり投稿遅れました。
いろいろあったのですよ…いろいろ……(遠い目)
「おぉ! これが王家の別荘ですか! すごいね! それにこんなのあったなんて知らないよ…ブツブツ」
「お前、何をブツブツ呟いているんだ?」
「なんでもないよ?」
ボク達は、朝に昨日予定した買い物や金塊の換金を終わらせ、昼ご飯を食べた後、ジョセフが住んでいる王家の別荘に向かった。
到着してすぐにジルは門番だろうと思われる人と話に行った。恐らく門の通行許可を取ってるのだろう。
「エル、門を通る許可が出たぞ。もう屋敷の方に連絡も行ってる。」
「は〜い」
ジルを伴って門を通り、屋敷の前に到着すると、扉前に待機していた執事が頭を下げてきた。
「ジル様、お久しぶりでございます。そちらのお方は?」
「こいつは連れのエルさ。ちょっとジョセフ様に合わせたくてな。」
「それはそれはジル様とのお話なら、ジョセフ様もさぞかしお喜びになるでしょう。エル様、私はこの屋敷で執事をさせてもらっています、ハインツと申します。よろしくお願い致します。」
「改めてエルと申します。こちらこそよろしくお願いします。」
「それでは、応接室にご案内致します。どうぞこちらへ。」
ハインツさんに連れられ、応接室に入る。
「では、今からジョセフ様を呼んで参りますので、そちらのソファーでしばらくお待ちください。」
そう言ってハインツさんは部屋から出ていった。
「エル、もしよかったらこれ被ってくれないか?」
ジルがフード付きマントを渡してくる。顔や服装を隠して動く時によく使われるアレだ。
「へ?なんで?」
「ジョセフ様を驚かせたいから」
「ジョセフ“様”なのに?」
「うるせー。たまには驚かせてみたいからな。」
「そう、ならいいよ」
椅子から立ち上がり、フード付きマントを被る。
確かに顔は隠れてるような気がする。こちらからは見えているのに。
そして椅子に座ると同時にドアがノックされ、一人の老人が入って来た。
「失礼するぞ。待たせたな。」
老人がそう言うと隣のジルがすぐに立ち上がり、挨拶を返した。ボクも同じように立ち上がり、言葉は発さずにお辞儀をする。
「お久しぶりです、ジョセフ様。」
え? この人がジョセフ? 物凄く老け込んでるんですけど。
「久しいな、ジル。まずはおかえりといったところか。それと、いつも通りの口調でよいぞ。」
「分かったよ。」
切り替えはやっ!
しかもハインツさんも既にお茶用意し終わってるし!
「そういや、私に会わせたい人がいると聞いたのだが、その人がこちらの方なのかね?」
「あぁ、その通りだ。」
「ふむ、ではそのフードを取ってくれないか?」
そう言われたのでフードを取ろうとすると……
「いや、待て、まだ取るな。」
そう言ってジルはニヤッとする。
こいつ……遊ぶつもりだな? おおよそ当ててみろとか言うのだろう。
「折角だし、ジョセフ様。俺が連れてきたのは誰か分かる?」
「ふむ……顔も服装も見えぬから分からないな。初めて会う人か?」
「いえ、昔会ったことがあるはず。」
「うーむ……ではーー」
どこかの街のギルド長だったり、どこか国の王族関係者の名前(誰の名前かを後でジルに聞いたら教えてくれた。)だったりと全然違う名前がどんどん挙げられていく。
まぁ、こんな姿じゃ分かるわけないよね。当てられたら褒めてつかわそう!
「どれも違うな。」
「うぬぅ……。分からぬな。」
「そうか……じゃあ、マントを外してくれ。」
ジルにそう言われたのでマントを外し、改めてジョセフを見る。
ジョセフはボクの事を怪訝な顔で見つめた後、急に何かを思い出したのかハッとし、ワナワナと震え出した。震え過ぎだ、おっさん。
「お、お主……いや、貴女はまさか……!?」
「おう、そのまさかだと思うぞ?」
「エルノア様……ですよね?」
なんで様付け!? それに丁寧語!?
「はい、お久し振りですね、ジョセフさん。それと、そう畏まらなくてもいいですよ? 私の事は是非エルと呼び捨ててください。街で暮らすため、エルノアであることは伏せています。」
「では、そうするとしよう……。それにしても本当に久し振りだな、エルノ……エル。そちらこそ話し方だとかもっと気楽にしていいぞ?」
「いえ、私はこれに慣れてますので。」
しれっと嘘を付いた。
案の定、ジルが「何を言ってるんだお前は?」とばかりに呆れた目をこっちに向けている。こっち見んな変態ロリコン野郎!
その後、思い出話に花を咲かせた。その後、いろんなことも質問していき、学院やギルドに入りたいことも話した。
金銭の価値や物価については日本と似たようなものだった。銅貨1枚=日本円換算1円で、銀貨1枚=銅貨100枚、金貨1枚=銀貨100枚、オリハル貨1枚=金貨1000枚という感じだ。最もオリハル貨は珍しく、滅多には使われないとかなんとか。実はそれがインベントリに2000枚近く入ってた。換金前にジルに貨幣の事を聞いとけば良かったと後悔。でも、金貨とかがないと使い勝手悪いからね!!
学院への入学やギルドへの加入も推薦状を出してくれるらしい。
学院は4年まであり、D.C.B.A.Sの5クラスに個人の技術によって分けられていて、Sクラスが一番高く、Dが一番低い。Sクラスになると相当な実力があるので、ギルドや国など引く手あまたで将来は約束されていると言っても過言ではない。ちなみに私は魔導師部門の4年に編入されるようにするらしく、クラス分けについては魔法の実力のテストを受けてから決められる。
ギルドはランクがF.E.D.C.B.A.Sの7段階に分けられており、これまたSが一番高い。依頼にもランクがあり、基本は自分のランク以下の依頼しか受けることは出来ないが、4人以上のパーティを組めばそれ以上の依頼も受けられる。ギルドに加入もとい登録するには16歳、つまり学院3年生以上である必要があり、本来ボクは登録出来ないはずだが、学院4年に編入する上に王家からの推薦なので例外にされるとかなんとか。
推薦により、Bランクからのスタートになるらしく、依頼をこなしていけばランクは上がるらしい。ただ、かなり大変らしい。
「それと、学院に入学すれば、基本は敷地内の寮に住み込むこととなる。身の回りの世話をするための“覚悟のある”メイドを一人付けよう。」
……覚悟のある?
「でも、こんなに私のためにしてくれていいのですか?王家の権力を振りかざしてるとか思われません?」
「この程度、誰も文句など言わんよ。私は、出来る人を応援するのも王家の役目の1つだと勝手に思っておる。」
「そうですか。分かりました、ありがとうございます。」
「うむ、これぐらいお安い御用だ。今から推薦状を書く故、暫し待っておれ。」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
あれから暫く経ち、書き上がった推薦状を受け取った僕達はこのまま学院に向かう為に用意された馬車の前に移動した。
「既に学院には連絡を入れといた。推薦状を持っていけばすぐにテストを受けられ、入学出来るだろう。」
「ありがとうございます!」
「なんの気にするな。それと……アリシア、挨拶しなさい。」
アリシアと呼ばれたメイドが歩み出てくるが……
「エルノア様専属のメイドとなりますアリシアと申します。よろしくお願い致します。」
どう見ても同年齢ぐらいだろう少女でした。なんで?
身長がボクよりも高い。160cmぐらいかな? 胸も巨乳とまでは行かないがなかなかいい大きさ……じゅるり。スタイル抜群で顔立ちも整っており、かなりの美少女である。
「アリシアさん、よろしくお願いします。エルという名前で活動するため、私のことはエルと呼んでください。」
「分かりました。」
「それじゃあ、そろそろ学院に向かいますか。ジョセフさん、お世話になりました。」
「別に良い。お前が学院に行っても魔法に関しては学ぶことは殆どないだろうが……まぁ、楽しむがよいぞ。」
「はい、そうさせてもらいます。」
そう言って僕らは馬車に乗り込んだ。馬車は全部で2つ。1つは僕らが乗り込んでいて、もう1つは荷物用らしい。そんなに荷物って多いの……。
ちなみに、「何が入ってる?」とアリシアさんに質問したら、「いろいろです。気にしないでください。」と言われました。物凄く気になる。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
物凄く短い馬車の旅を楽しみ、僕らは学院の敷地内に到着した。
馬車内でジルに聞いたんだけど、正式名称では学院だけど一般的には学園と呼ばれてるらしい。それをもっと早く言って欲しかった。学院学院言ってた自分が少し恥ずかしい。
僕らは、門で警備していた人に連れられ、学園長のいる部屋(俗に言う校長室)に向かう。
ここも学園ですか……。最早学院は名前だけなのね……。
コンコン。
「失礼します。クラノス学園長、件の人を連れて参りました。」
「お疲れ様。入ってくれ。」
許可が出たので部屋に入る。
「ふむ、君が此度の編入希望者だね。僕はここの学院長のクラノスだよ。話は聞いているけど、一応推薦状を見せてくれないか?」
そう言われたので推薦状を渡す。
「なるほど……、確かに推薦状を受け取った。エルさん、君の編入を認めよう。それとーー」
クラノスが顔を近づけて耳打ちしてくる。
「ーー君の素性は聞いているよ、エルノアさん。」
「なっ!?」
「安心しろ、誰にも言いはせんよ。」
そう言ってクラノスは元に戻る。
ジョセフめ、無駄なことを……でも、逆に相談出来る相手が学園内で出来たってことは喜ぶべきなのかも?
「早速だが、エルさん。君が編入するクラスを決めるために魔法のテストをするよ。エイワス先生は試験官をしてくれ。今回は僕も立ち会うよ。警備員の君はエルさんの従者のお二人様を寮の5階の右突き当たりの部屋に案内して、終われば警備に戻ってくれ。その部屋がエルさん、君の部屋となるよ。」
クラノスが言い終わると同時にエイワスと呼ばれた男の教師が歩み寄ってくる。
「私が君の試験を担当するエイワスだ。よろしく頼むよ。」
「エルと申します。よろしくお願いします。」
「挨拶は終わったかな?そろそろ試験場となる競技場に向かおうか。」
ここで一旦ジルとアリシアさんと別れ、エイワス・クラノスと共に競技場に向かう。
「ここが競技場だよ。結構広いだろ?」
競技場に着くと共にクラノスが口を開く。そういえばこの学園長、無駄にフレンドリーだ。
「そうですね……かなり広いし、何よりもしっかりしてますね。」
「やっぱり分かる?」
「勿論ですよ。」
何がしっかりしてるかというと、魔法障壁だ。競技場内で魔力が暴走したりしても大丈夫な程にはしっかりと張られている。それでも僕の本気を止めるのは不可能だろうけど。
「じゃあ、早速テストを始めよう。さぁ、あのゴーレムを好きに攻撃してくれ。それとエイワス先生、試験官はやっぱり僕がやるから戻ってくれないか?」
「え? あぁ、はい、分かりました。」
そう言うとエイワスは闘技場を去っていった。試験官やれと言われた後、やっぱやめと言われててなんか可哀想……。
気がつくと闘技場の真ん中にゴーレムが立っていた。恐らく攻撃される専用のゴーレムなのか動く気配がない。
「もう始めてもいいですか?」
「あぁ、それとエイワス先生を追い出した理由だけど……君の本気を1回見てみたいんだ。障壁は僕が全力で維持しよう。これでも僕は賢者クラスの魔術師だよ。」
「別にいいですけど……ここの障壁は絶対に耐えきれませんよ?」
「大丈夫、すぐに張りなおすさ。」
「分かりました。それなら……」
抑えていた魔力を開放する。
身体の内から魔力が泉の如く湧き出てくるのが自分でも分かるが、頑張って外に漏れ出さないように抑える。
「ほぅ……これが吸血鬼エルノアの本気か。確かに外に漏れないように抑えられてはいるけど、すごい圧力を感じるよ。」
そういうクラノスの額には冷や汗が浮かんでいた。
はっきり言って魔力ぶつけたら簡単に気絶させることが出来そうだ。それでいいのかこの世界の賢者達!
「さぁ、君の魔法を見せてくれ!」
魔力を練り上げ、ゴーレムの足元に集中させる。
僕が一番得意とする属性は氷。なら、氷界の名を冠する氷属性の最高峰の魔法を極小範囲で見せてあげるとしよう。
「いきます……!!『ニブルヘイム』!!!」
魔法を唱えた瞬間、激しい魔力の奔流が起こり、障壁を粉々に吹き飛ばし、ゴーレムのいた所に綺麗な氷の華が咲いた。それが砕けてる同時にゴーレムも砕け、最初からそこには何も無かったかのように跡形もなく消え去った。
まさかこんなに簡単に魔法が使えるなんて……感覚で分かってたとか? 魔法使えるかなと心配する必要はなかったみたいね。そう思いながら魔力を再び人並みに抑える。
「ニブルヘイム!? 神々の魔法を無詠唱で使っただと!? 素晴らしい……実に素晴らしいよ!!」
何やらクラノスが興奮している。それにしても神々の魔法?
「すみませんが落ち着いてください。それで、神々の魔法とは?」
「これが落ち着いてられるか! 目の前で! 神々の魔法を! 無詠唱だぞ!?」
「……取り敢えず落ち着いてください。神々の魔法だとか私にはよく分からないのですが……」
「む? 知らずに使ってたのか!? やっぱり君は素晴らぐはっ!」
何やらまた興奮し始め、鼻息を荒くしながら詰め寄って来たので腹を殴り、うずくまろうとしたところで足を払ってバランスを崩して地面に仰向けに倒し、踏みつけた。
……あれ? 急に動かなくなった? もしかしてやりすぎたのかな?
そう思いながら下を見ると……
「ぬふふ……僕は今可愛い少女に踏まれている……。そう! 可愛い少女に! しかもだ! 見えてる!! 白色の楽園が見えてるぞォォォ!!!」
「はい?」
恍惚な笑みを浮かべて危ない事を口走る変態がいた。元男に踏まれて喜ぶ男というのはどうかと。しかもスカートの中ガン見してます。
……そういえば今はスカートの中が見えるんだった。ゲームの時は覗き行為を防ぐ為に暗闇になってて見えなかったのに。中を覗いて何が嬉しいのか理解不能、いや、理解したくもない。むしろ同性に見られてると思うと気持ち悪い。
「気持ち悪いので覗かないで下さい。」
「いいじゃないか、減るものじゃないし。」
「いいえ、減ります。」
「そうか。つまり、このまま見続ければ生が見れるように……ぐぇっ。」
足に更に力を込める。
「ぐっ……い、イイ!! 次は靴を脱いでそのニーソか生足でーー『次変な事言ったらこのまま身体を踏み潰しますよ?』ーーやっぱなんでもない。」
「ならさっさと起きてください。そして質問に答えてください。」
分かった分かったとクラノスは起き上がる。
「神々の魔法……ってのは必要な魔力量が大きすぎて神々や高位の魔物、悪魔にしか使えないとされてる魔法の事を言うんだ。僕達『人』の魔力じゃ絶対に使えない。僕のように賢者の位を与えられるぐらいに強大な魔力を持っている人達だとしても……ね。」
「なるほどね。」
「うん、分かったら非常時以外には絶対に使わないでね? それを使った瞬間、君が人とは違う存在だということがすぐに分かってしまう。」
ニブルヘイムは当分の間封印だね。いつもならアイススピアで足りるかな。
「さて、結果をお伝えしよう。といってももう分かってるだろうね。エルさん、君の所属するクラスは文句なしでSだ。みんなと仲良くしてやってくれ。よし、明日から早速だが授業だ。もう部屋で休んでくれてもいいぞ。
「わかりました。」
そう言い、僕は与えられた部屋に向かった。
まだ晩ご飯食べる時間にもなってないし……荷物を片付けてからギルドにでも向かおうかな。
それにしてもなんだか喉が乾く。部屋に戻ったらお茶でも飲もうか。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
5階にある部屋の前に到着。Sクラスは優遇されているらしく、扉から既に豪華だった。
……この部屋を用意したってことは、あの変態学院長はテストとか関係なく初めからボクをSクラスに入れるつもりだったってことでしょ。テストと題して無駄な力使わせやがって……
その豪華な扉を開け、中に入る。
「おう、エルか。試験お疲れ様。どうだったんだ?」
ジル、なぜお前がいる……まぁいっか。
「Sクラスに決定したよ。」
「おぉ! Sランクか! まぁ、当然と言えば当然か。」
そんな事を話し合ってると奥からアリシアさんが出てきた。
「お帰りなさいませ、エル様。荷物の片付けは全て終わらせました。すぐにお茶を用意致します。」
「ありがとうございます、アリシアさん。丁度喉が乾いていました。」
それにしても、この部屋は本当に広い。今いるリビングにあたる部屋だけでも広いのに、その奥にはお風呂場やキッチン、トイレなどがあり、寝室に至っては2つある。寝室については、片方はボクが使い、もう片方はアリシアさんが使う。ジルとはお別れかな?
用意されたお茶を飲みながらジルと話を続ける。
「入学は無事終わった。お前はこの後どうするつもりだ?」
「で、私はこれからギルドに登録しに行こうと思うんだけど……場所分からないから連れて行って欲しいなぁなんて。」
「ん、ギルドか。俺も行く予定あったからな、連れて行ってやるよ。」
「ありがとう! じゃあ行こっか。」
早速ギルドに向かう事にした。
今回もグダグダですね()
もうすぐで学期末テストがあるのですよ…
あと1話か2話は投稿したいかな?w
テスト中は書き溜め出来たら書き溜めしますw
テスト勉強しろ?知らない子ですね(白目)
勿論やりますけど()