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第五話

更新遅くなりました。

分量が増えたせいですね(適当)


なんかどんどん文字数が増えていってるような…

差がありすぎて…

上手く纏められてないのか、ダラダラと無駄な事も書いてるせいなのか、真実は神のみぞ知るッ!!

「やっと着いた……」

「だな。あんなに絡まれたのは久しぶりだ。」


 エルノアの初戦兼実力計測の後、実にいろんなモノに絡まれた。それはもう魔物から小規模な盗賊までいろいろある。そのせいで既に陽は落ち、辺りは暗くなっている。


 場所は首都カルディナの出入り口である門の前。そびえ立つそれは石で出来ているのかかなり頑丈そうだ。だが、その頑丈さは今では逆に街に入りにくそうな雰囲気を醸し出している。


「で、どうやって入るの? 門を壊しちゃう?」

「ちょっと待て、門は壊すな。警備の人がいるだろうから身分証を見せたらすぐに入れるはずだ。」

「身分証って? そんなもの持ってないんだけど?」

「予想はしてたが、やはり持ってなかったか。身分証っていうのはな、各国の役所で発行されていて、それを持つ人が本人であることを証明する証さ。本人が持ってないと身分証に書かれた情報は誰にも見えない魔術が掛けられている。持ってるのは人か、人と付き合いのある一部の他種族の者だけだから、広い目で見れば魔物でない証拠とも取れるんだよ。」


 いつの間にそんなものが……。ゲームだった頃はそんなものなかったはず。あの時から時間が経ってるのは本当みたいだね。


「それじゃあ、身分証の無い私はどうすればいいの?」

「それについては問題ない。お前がモンスターに襲われて逃げ回っていた所を俺が助けたが、慌てていたせいか身分証を含めた荷物を落としたという設定なんてどうだ?これで誤魔化せると思うぞ。」

「うーん……街には入るためだし、文句はないよ。」

「よし、じゃあ任せてくれ。」


 そう言うとジルは門のすぐ傍にある扉に近づき、ノックした。


「誰かいないかー?」


 暫くして扉が開き、中から甲冑を着た騎士と思われる男が出てくる。


「お待たせしました。こんな遅い時間にどなたでし……ってジルじゃないか!」

「おう、今日の警備はお前だったのか。久し振りだな、バン。」

「あぁ、全く久し振りたよ。1週間ぶりか?それにしても帰ってくるのはこんな夜中じゃなくても良かったのじゃないか?」


 そう言いながらボクの存在に気づき、一瞬呆けた顔をするもすぐに元通りになり、こちらに質問してくる。


「ところで、お嬢様はどなたでしょうか? 身分証を見せて貰っても?」

「私はエルと申します。身分証は……その……数日前に道で魔物に襲われて逃げていた時にどうやら落としてしまったみたいで……実はその時に助けてもらったのがジルさんなのです。」

「ほぅほぅ……ジルに……か。ちょっとジル、“二人で”話したいことがある。」


 バンはそう言い、少し離れた所にジルを連れていき、コソコソ話し出す。


「ジルよ、数日前に助けてからずっと一緒にいるのか?」

「? そうだが? 彼女の目的地がちょうどこの街だったからな、ならば一緒に行こうってなったんだ。」


 聞こえてるよ〜

 夜で静かなせいか普通に聞こえてるよ〜

 ……それじゃコソコソする意味ないじゃん!


「なるほどな。ん? ちょっと待てよ。確か数日前に助けたんだよな? つまり、今日ではないというわけだ。なら、この数日どこにいたんだ? お前の村にいたのはすぐ分かるが、宿なんてあったのか? まさか、お前の家に連れ込んだわけじゃないよなぁ?」


 うわー、バンさんすっごくいい笑顔をしてるよ。

 対してジルは……


「そ、そんなことないヨ?」


 脂汗を流しながらシラを切ってました。

 それじゃあバレバレだよ!?


「うむ、よ〜く分かった。で、どこまでいったんだ?」

「いくって何が?」

「そりゃお前、『命を助けて貰い、感謝してもしきれません。なので、私の事を好きにしていいですよ?』的な展開があったんじゃないのか? 」

「そんなもんねーよ!」


 そんなものあるわけない!!


 あ、初めてジルと考えが被った。


「またまたぁ〜、絶対あっただろ?胸触ったり、キスしたり、はたまた……もっとイケナイこととか?」


 き、キス!?

 流石にキスは……ちょっと想像してみよう。


『なぁ、エル、お前の事が好きなんだ。いきなりだが、キスしないか?』

『き、キス!? ちょっと待って! まだ心の準備が……』

『大丈夫だって!』


 そう言って肩を掴まれ、ジルの顔が目の前に迫ってきてーーーー


 って、無理! キモっ! おぇぇ……

 こんな妄想をしてしまうなんてボクはやっぱり思考が女性のそれに変わってきてるのかな? 阿部さん系の人じゃないのに……これは由々しき問題だ! どうにかして防がないと。


 そう思いながらジル達をチラッと見る。


 うん、ボクの今の状況に気がついていない様子で相変わらず変態丸出しの会話を続けている。


 いい加減聞こえていることに気付いて欲しいのだけども……


「だ か ら 何も無かったって!」

「嘘は良くないぞ? いいから真実を言えって。睡眠薬で眠らせて揉みしだいたりしたんだろ?」

「睡眠薬で眠らせてなんかねぇよ!? 揉みしだいてもないぞ!?」

「本当か?」

「あぁ、2.3回しかしてないからな。」


 えっ?

 じ、ジル……信用してたのに……


「ほぅ……2.3回揉んだのか。」

「ハッ! しまった!?」

「ククク……ついに白状したな?白状したからには全て洗いざらい話して貰おうか。どんな感触だった!?」


 くっ……やはり興味があるのはそこか変態め!

 自分の胸の話なんて恥ずかしいから今すぐにでも止めさせたい! でも、心のどこかで感想を聞いてみたい自分もいる。

 1日しか経ってないのになんだかんだで心が女に慣れていってるんだね……


「逃げる方法はっ!?」

「残念だがないな。質問に答えやがれ。そうだな……答えてくれれば身分証が無くてもこの門を通してやろう。」

「けっ、このゲスめ。」


 うわぁ〜、ゲスい。

 胸の話でそんなに警備緩くしていいのか変態バン。


「さぁ、どうする? ん?」

「…………分かったよ。答えてやるよ、感謝しやがれ。」

「よし、それでいい。」

「はぁ……すまん、エル。許してくれ……」

「早く答えろ!」

「そんなに焦るなって。


まず、肌は白く、きめ細かく、スベスベしていた。さらに、年齢の割にサイズは小さいが、とても柔らかく、ある意味手にフィットするんだ。ムニッとしていて触り心地最高。まさにそ至高の一品。2.3回とはいえ、よく理性が保てたなと自分を褒めてやりたいぐらいだ。」


 あぅ……すごく恥ずかしい……

 良く言ってくれてる(?)のは分かるけど……なんか釈然としない。


 てか、門の前でどれぐらい時間食ってるのさ。早く街中の宿に行ってお風呂に入りたいよ! 寝たいよ!


 ……お風呂といえば替えの下着ないんだけどどうしよう。まだ売ってる店とかあるのかな?


「ふふ……かなりいい事を聞いた。いいだろう、約束通り二人とも通してやる。」

「やっとか。」


 はぁ……本当にやっとだよ。


「お待たせしました、お嬢様。どうぞお通りください。身分証はギルドか役所で明日にでも発行して貰ってください。」

「分かりました。では、今夜はこれで……。ジルさん、行きましょう!」

「あ、あぁ……」


 念願の門通過を今達成した。

 生前の世界とは違い、建物は殆どがレンガで出来ていて、地面は石で出来ている。照明などはないから恐らく光属性の魔法かランプなどで代用してるのだろう、窓からの光が石造りの地面を照らす。


 景色だけ見れば生前の世界でタイムスリップでもしたかのようだ。


「やっと街に入れたことだし、宿を探そう。そして下着を買おう。」

「そうだな。宿を……って何故下着?」

「決まってるでしょ。荷物が無いのだから替えの下着もないのだよ!」

「あー、なるほどな。なら、まず宿を探して、その宿の主人に女物の下着を扱ってる店の場所を聞こう。といっても宿は既に決めてあるけどな。」

「あれ? いつの間に?」

「俺の知り合いの宿だけどな。結構いい宿だぞ? 温泉もある。」

「温泉があるのは嬉しいけど、ジルの知り合いって聞くと変態のイメージしかない……。」

「おいおい、それは偏見だ。そもそもその宿の主人は女だからな?主人というよりは女将だからな?」

「それならまだマシかな? それと、偏見じゃないと思うよ? だって、さっきの会話全部聞こえてたからね。」


 すっごくいい笑顔で言ってやった。


「なっ!? 嘘だろ!?」


 本日2回目の脂汗を流してるね。なんかヌルヌルしてて気持ち悪そう。


「本当だよ? 私の胸の話とかね。」

「ああああああああああ!?!?」

「で、何か言う事は?」

「出来心だったんです。本当にすみませんでした!」


 ジルはそう言い、見事なジャンピング土下座をかました。日本人もビックリするアクロバティックな土下座である。


「はぁ……。まぁ、私もジルには感謝してるからね。今回の事は別に何も言わないよ。そんなことより宿に行こうよ!」

「そ、そうか、ありがとな。取り敢えず宿行こうか。」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ほぇ〜、結構良さそうな宿なんだね〜」

「だろ? 奴は宿の経営で成功したからな。どんどんお金が溜まって……それをほとんど叩いてここにまた宿を建てたんだ。取り敢えず入るぞ。」


ガラス張りの扉を開ける。


「こんな時間にすまない。誰かいないか?」


暫くするとこちらに向かう足音が聞こえてき、その姿を現す。


「こんな時間に誰だい……ってジルじゃないか!いつ帰ってきたんだい?」

「ついさっきだな。こんな時間に悪い。部屋は空いてないか?」

「おや、こんな時間に帰ってくるなんてジルにしては珍しいね。それど、部屋は丁度1つだけ空いてるよ。使うかい?」

「1つ……か。2つないのか?」

「すまないけど今夜は1つしか空いてないね。なんで2つ希望なんだい?」

「いや、今日は連れがいてな……。」


 ジルはそう言い、ボクの方を指さす。

 それに釣られ、女将もこっちを見る。


「お、すごく可愛い子を連れているじゃないか。どっからか拉致でもして来たのかい?」

「違う。助けた成り行きでこうなってるだけだ。部屋のベッドはいくつある?」

「そうかいそうかい。ベッドは悪いけど1つだね。」

「そうか……、俺が床で寝ればいいだけだな。」

「へぇ、意外なところで紳士なんだね。ほんの少しだけ見直したよ。」

「そりゃどーも。もう休みたいから部屋に案内してくれないか?」

「あいよ、こっちだ。ほら、お嬢ちゃんも。それと私はこの店の女将のマチルダだよ、よろしくな。」

「エルと言います。お世話になります!」


 マチルダさんに連れられ、案内された部屋に入る。

 部屋はなかなか広く、外壁こそはレンガで作られているものの、床や室内の壁はよく磨かれたツルツルの石で出来ている。大きなソファーがあり、テーブルがあり、ベッドがあり……んん?


「ジル、ベッドが1つしかないんだけど?」

「この部屋しか空いてなかったんだ。仕方が無いさ。俺はソファーで寝るからベッドはお前が使え。」

「えっ……でも、付いてきてるのは私の方なんだからジルがベッドを使うべきじゃ?」

「男同士ならその理屈でいいが、エルは女だ。ベッドに女を寝かせない男がどこにいる。」

「さっきの会話が無ければカッコ良く感じたのになぁ……。なんか残念。」

「だからアレは本当に悪かったって。どうでもいいが、お前、丁寧な口調で話すともっと可愛くなると思うぞ。」

「本当にどうでもいいね。でも、少し考えてみるね。あと、お言葉に甘えてベッドを使うよ。」

「あぁ。」


 時を見計らってマチルダさんが声を掛けてくる。


「部屋は問題ないね?何か質問は?」

「問題ないな。」

「問題ないです。でも、ちょっと聞きたいことが……」

「ん? なんだい?」


 モンスターに襲われた際に荷物を落としたせいで替えの下着がなく、店で買いたいから場所を教えて欲しいと言うと、近くにあるのはあるけど今はもうやってないだろうと言われた。


 お風呂に入っても替えの下着がないことに落ち込んでいると、「サイズ合うか分からないが1着ぐらいなら貸してあげるよ、ちょっと待ってな」と言って取りに戻り、フリフリしたやつを手渡された。「なぜフリフリのレース付き?」と質問してみると、「可愛いから」と言われた。解せぬ。


「じゃあ、これで私へ失礼するよ。何かあれば受け付けに来ておいで。それと、浴場の場所は部屋を出て右側の通路の突き当たりだよ。」


 そう言い、マチルダさんは去っていった。


「さて、今日は疲れたし、さっさと風呂入って寝るか。明日はやる事多いぞ。」

「だね、じゃあ先にお風呂行ってくるね!」

「おう、気をつけろよ。」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 脱衣所に入る際に間違えて男性用の所に行きそうになったが、すんでのところで気が付き、どうにか女性用の方に入る。既に夜が遅いせいか、脱衣所には誰も居なく、浴場からも人の気配はしなかった。


 服を脱ぎ、ニーソを脱ぎ、ジルの家の風呂場で下着を脱いだことを思い返しながら、最初は脱ぐのに手間取った下着をどうにか無事に脱ぐ。


 ふと鏡があることに気が付き、なんとなくその前に立ってみる。

 腰より下まで伸びている銀髪、赤い瞳、きめ細かくスベスベした白い肌、出るところはそこまででてないが、引っ込むところは引っ込んでいる。股間には何も付いておらず、足はすらりと長く柔らかそうである。

 一糸纏わぬ姿で鏡に映っている何処か儚げな雰囲気をしているその少女が自分であることを改めて認識する。


「……そろそろお風呂に入ろっか。」


 そう独り言を言い、傍に置いてあったタオルを取って浴場に足を踏み入れる。


 部屋と同じように浴場の床はよく磨かれた石で作られている。奥には大きな温泉があり、壁際には体を洗うスペースがある。


 常識として、ここで身体を洗ってから温泉に入るべきかな、と思いながら壁際に向かう。ゲーム時代と同じく蛇口の概念はあるようで、捻れば水やお湯が出てきた。


 シャンプーとか石鹸はどこにあるんだろ、と思いながら近くを見渡すと、すぐ傍に緑色と青色のビーンズ状の物があることを発見する。どっちがどっちか分からないので取り敢えず青色の方を取り、水で濡らして手で擦ってみる。すると、どんどん泡立ち、甘い花の香りがしてきた。


「これは……シャンプーかな?」


 身体を洗うのにこの匂いを使うのは有り得ないと思うので、多分これがシャンプーに当たるもので合ってるだろうと思い、髪を撫でるようにかつ、ちゃんと泡が髪全体に行き渡るようにして丁寧に洗う。如何せん髪が長いので時間がかかった。


 泡をお湯で洗い流し、タオルである程度の水気を取る。そして、今度は緑色の方を手に取り、擦る。するとまたもや泡が立っていき、石鹸に似た清涼感のある香りがしてきた。


「こっちは石鹸だね。」


 間違いなく石鹸だと思う。しかし、ここで問題が起きた。ジルの家ではお湯を浴びる程度だったが、今度は身体を隅々まで洗わなければならない。つまり、初めてなのだ。


 ここでふと、生前、女キャラでゲームをしていたことが母親にばれ、からかい半分で女性の生活についてレクチャーされた事を思い出す。


「確か、擦って汚れを落とすのではなく、汚れを浮かせるように優しく撫でるようにして洗うんだっけ?」


 教えられた通りにして身体を洗う。胸を洗うときに間違えて押してしまい、変な声が出掛けたり、女性になったことで脇や脇腹が敏感になっているせいか撫でるように洗ったら背筋がゾクッとしたり、大事な部分を洗う時になんとも言えぬ気持ちになったりといろいろあったが、どうにか洗い終わった。

 まさかあの時レクチャーされた事が役に立つとはね……。


「髪も身体も洗い終わったし、ついに温泉だっ!」


 テンション上がってきた!!元日本人として温泉に入るのはテンションが上がる!


 流石に飛び込むのははしたないから我慢して、ゆっくりと入っていった。


「ん〜、気持ちいい〜!」


 丁度いい温度であり、一日中歩いて疲れた足を伸ばし、身体の力を抜いてリラックスした。


 しばらく温泉を堪能した後、そろそろ部屋に戻って寝ようと思い、立ち上がって浴場を出て脱衣所に戻る。濡れた身体をタオルで吹き、ドライヤーがないので火属性と風属性の混合魔法で髪に熱風を当てて乾かす。


 下着を付けようとしたところで、またしても問題は起こった。目の前には先程貸してもらったフリフリのレースのついたブツがある。ちなみに、先程まで付けていた下着はインベントリに放り込んでおいた。


「お風呂に入ってて忘れていたけど、こっ……これを付けろと……」


 正直身に着けたくはない。かといって先程まで使っていたのをまた使うのは御免だ。今から変えて貰うのも不可能。


「付けるしかない……ね。」


 覚悟を決め、手に取る。まずはショーツ。右足を通し、左足を通し、引っ張りあげる。肌着の方は今まで通り着ることが出来た。ただ、髪が入ってしまうので着た後、外に出すのも忘れない。


 インベントリから今日着ていた黒ドレスではなく、水色のワンピースを取り出して着た。スカートのプリーツ部分には白が入っている。靴下類は見つからなかったので諦めてそのまま靴を履き、部屋に戻る。


 明日のショッピングリストに靴下を追加っと。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ただいま〜」


 ドアを開け、部屋に入る。ジルはソファーに座って剣の手入れをしていた。


「おかえり、遅かったな。」

「まぁ、いろいろとね。」


 うん、色々あり過ぎた。でも、これからは慣れないといけないよね……。


「ジルはまだお風呂入ってないの?」

「いや、もう入ったぞ。お前が風呂に行ってから暫くして俺も風呂に行き、終わらせて部屋に帰って来たらまだお前は帰ってきてなかっただけだ。」

「結構早いんだね……ふわぁぁ……」


 欠伸が出た。


「じゃあ、そろそろ寝るか」


 そう言ってジルは手入れしていた剣を片付ける。


「そうだね」


 そう言い、靴を脱いでベッドに入る。しかし、一人で寝ると考えると何故か心細くなる。


「ねぇ、ジル。」


 そう声を掛けてベッドから出て、傍に向かい、ジルの服をちょこんと掴む


「ん? どうしたんだ?」

「一人で寝るの心細いから一緒に寝て欲しいの。」

「はぁ!?」


 案の定ジルは驚いてこっちを見る。


「……なんて言うと思った?(ニヤッ)」

「くっ……こいつ……」

「残念。私は男には興味ないの。」


‎ 一応男だからね。


「はっ? えっ!? お前……まさか……」

「? なにが……あー……そういうことね。別にそういうつもりじゃないんだけど。」


 良く考えたら僕は今一人の少女の姿をしている。それで男に興味がないなんて言えば男がそういうことを考えてしまうのはしょうがないだろう。


「だ、だよな……よかった……。」

「なんで良かったなの?」

「いや、なんでもない! もういい! 寝るぞ!」


 妙に顔が赤かったのはきっと気の所為だろう、うん。


「はいはい。おやすみ、ジル。」

「お、おう。おやすみ、エル。」


 そう言い、ボクの意識はすぐに闇に解けていった。


「にしても、エルは本当に無防備だな。寝顔が物凄く可愛い。」


 ジルはエルを起こさないようにこっそり起き上がり、寝ているその姿を見て小声で呟く。


「まったく……こんな儚げな見た目の少女が強大な力を持っているのは何の冗談なのだろうな。まぁ、俺が考えても意味はないか。」


 彼はやれやれと首を振り、再びソファーに戻り、横になる。


「その力目当てにお前を利用しようとする奴らが現れる可能性は高い。その時は守ってやるよ。出会ったばかりでこう思ってしまうのは何故なんだろうな。」


 そう思いながら彼もまた眠りに陥った。

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