表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/8

第四話

色々有りまして、更新が遅くなりました。

待っていた方には申し訳ないです。(いるのかな?)


2/11 指摘のあった誤字を訂正

 ーーどうしてこうなった……?


 ボクは今、両手にナイフ程鋭くて切れ味のいい爪を持ったワーウルフちゃんと対峙しております。なにが「ちゃん」だ。ゲームじゃ、やたら素早いだけの雑魚だったのに、こうして間近で見ると割と大きいし怖い!


「ジル〜、取り敢えず倒せばいいのかな?」


 渡された剣を握り、ワーウルフを見据えたまま、背後にいるジルに問いかける。


「あぁ、倒してくれたらいい。ただ、絶対に無理はするなよ? 怪我されたら嫌だからな。危なくなったら逃げろ、俺一人でも倒せるから。これはエルの“人として”の実力……それも近接戦闘の実力を見るためだからな。当然、魔法は無し。吸血姫としての身体能力を使うのも無しだ。あくまで通常通り、人としての力しか使ってはいけないぞ。他の人が見ても、人と魔物の戦闘だと思われる程度には抑えろ。」


 うわー、めんどくさっ!


 ん? 待って……


「ジル、要は他の人にバレなければ使っててもいいんだよね?」

「まぁ、それはそうなんだが……お前にそんな器用な事が出来るとは思えないな。」

「人をなんだと……。でも、私が言いたいのは吸血姫としての動体視力とか運動神経とかだよ。」


 それを聞き、ジルは一瞬呆けた顔になるが、すぐにニヤッと笑う。


「なるほどな。お前がそこまで考えているとはな。」

「いや、だから人をなんだと」

「あぁ、動体視力とか運動神経なら吸血姫のそれを使っても問題ないだろ。他の人から見ても『この子すごく出来る。』で済むだろうな。」

「了解。久々の運動といきますか。」


 そう思うと同時にワーウルフがゲームと相変わらずの早さで突っ込んで来て右爪を振るう。


 常人であれば恐らく命を刈り取られる、または深手を負うだろうその一撃を、人とはかけ離れた動体視力で見切り、屈んで避ける。


 まさか避けられるとは思ってなかったのだろう。ワーウルフは自分の攻撃を避けられたことに驚くもすぐに左爪を振るう。


 先ほどと同じ要領で避けると、すぐに右爪が振るわれる。流石に避け切れず、持ってた剣で防ぐ。


 ガキィン!


 鉄と硬いものがぶつかった音がすると同時に吹き飛ばされる。


 ーーそう、吹き飛ばされた。


「ーーえっ……」


 吹き飛ばされ、地面を転がされ、全身を鈍い痛みが襲う。


 新鮮な「痛み」に、改めてこれが現実であることを思い知らされる。


 吹き飛ばされた理由は簡単だ。吸血姫としての力なら受け止めてなお余りあるが、今は一人の人間の少女としての力しかないため、力不足によって受け止めることが出来なかっただけである。


「いっ……、一人の少女としての力しか使えないのってかなりキツイね……」


 剣を地面に刺し、杖替わりにして立ち上がる。


「おい、エル。今の大丈夫か?」


 すぐ傍にジルが駆け寄って来て声を掛けてくる。


「大丈夫。心配しないで。」

「そうか。でも無理ならハッキリと言ってくれよ。すぐに助けに入るからさ。」

「分かったよ。」


 どうやら本当に心配しているようだ。でも、まだ戦える。


「でも、お前、あれを受け止めることが出来ないんだぞ。この戦闘に制限をかけた俺が言うことじゃないが、これからどうやって攻めるつもりだ?」

「簡単でしょ。受け止められないならーー」


 自分の力じゃ受け止められない攻撃をされる。しかし、それを避けることは出来ない。ならどうするか。そう考えるととても簡単である。受け止められないなら別の方向に衝撃を流す。つまりーー


「ーー受け流せばいい。」


 そう言い、ボクはワーウルフに向かって飛び出す。ワーウルフは飛び出したボクを見つめ、右腕を振り上げる。


 ーーいける。この攻撃を利用しよう。


 腕を振り上げる動作の次に来る攻撃は決まって振り下ろし。つまり、力に物を言わせ、一直線に振り下ろす軌道の読み易い攻撃である。


 ならばと、スピードを落とさず、かつ右腕が真っ直ぐ振り下ろされるように右腕に向かって突っ込む。


 恐らく相手の間空いに入ったのだろう。「貰ったぞ」とばかりにワーウルフがニヤッと笑い、愚直にも真っ直ぐ振り下ろす。


 ーーこれを待ってた!


 ボクは走りながら、ワーウルフがニヤッと笑ったのと同時に左へとステップし、右腕の軌道上から外れる。そして、振り下ろされる右腕にむかって剣を思い切り振り上げる。


 硬いのは爪だけであり、腕はそれほど硬くはない。そんなものを振り上げられる剣にむかって振り下ろせばどうなるのか。当然切れる。


 案の定、肉と骨を断ち切った感触と共にワーウルフの右腕が切り落とされる。


「これが肉と骨を切った感触かぁ……。なんか気持ち悪いね。」


 そう独り言を言いながら、目に怒りを灯してこちらを見ているワーウルフを見る。


「グォォォオオオ!!」


 怒りの雄叫びを上げながらワーウルフが突っ込んでくる。ボクは特に動かず、剣を構える。


 左爪が振るわれる。最初と同じように屈んで避ける。避けると同時に振り戻される。このままでは最初の二の舞となる。なので今度は剣を斜めに構えて爪の下に滑り込ませ、軌道をずらして更に上に打ち上げる。


「グォ!?」


 確実に仕留められると確信していた一撃を受け流されたことにワーウルフが驚き、大きな隙が出来る。


 戦闘で勝つためにはいろんな方法かある。その中でも一番オーソドックスなのはやはり隙を突くことだろう。ゲームとはいえ、様々な力の強い敵と近接戦をしてきたボクは、当然そんな隙を見逃すはずがない。


 左腕を打ち上げられた状態で驚いてるワーウルフを見てジャンプし、その首を狙って思い切り剣をなぎ払う。


「ガッ!?」


 それがワーウルフの断末魔となった。


 ゴトリと首が落ち、体が倒れ、ワーウルフは物言わぬ骸となった。


「ふぅ……。これで終わりかな。こんなのでどう?」


 ふぅ……と息を吐きながら、額の汗を拭い、ジルに問いかける。


「あ、あぁ。問題ない、お疲れ様。それにしても前衛顔負けの見事な戦いだな。本当に魔法使いなのか疑うような身のこなしだったぞ。明らかに戦い慣れてるそれだった。」

「まぁね。私は本来の力を出して魔法を使いながら魔法剣で近接戦闘もしてたからね、慣れてるよ。といってもその時と同じ感覚で戦ってたから最初は吹き飛ばされちゃったけど。」

「ま、魔法剣!? 極少数しか存在しない伝説とまで言われてる武器だぞ!? 持ってるのか!?」

「うん、持ってるよ。今も数本あるかな。」

「う、うわぁ……」


 改めて目の前の少女が規格外の存在であることを認識させられ、首を冷や汗が伝う。


「それで、今の戦いの総合評価は?」

「ん?あぁ、十分すぎるさ。今すぐにでもギルドに加入して欲しいぐらいだな。」

「ギルドなら今すぐに加入してもいいぐらいなんだけど?」

「いや、ギルドに入るには成人していなければ学院生である証が必要なんだ。これについては例え王の推薦であったとしても絶対に必要だ。」

「ならその学院に入学するよ。」

「そう簡単に言ってくれるな。学院に途中から編入するには貴族以上の位の人の推薦がないと無理なんだ。平民は自由に編入することが出来ない。俺はこんな制度は嫌いなんだけどな。」

「そっか……。じゃあ、王様に推薦して貰えば!」

「まぁ、王の推薦ならまず拒否されることはないだろうな。ただ、お前の言う王は恐らくジョセフ様だろ?残念だが今の王はジョセフ様ではなく、息子のハラルド様なんだ。」

「え?なんで?ジョセフもまだ50歳ぐらいじゃなかった?」

「あー、言うの忘れてたな。お前を最後に確認したのは約20年前なんだ。だからジョセフ様は今は70代はんだよ。年齢的にもう引退ってことだな。」

「そう……だったんだ……。」


 20年かぁ……。結構経ってるんだね。自分にとってはつい昨日今日のことなのに、この世界ではあの時からもう20年経ってるんだ。


「ま、俺がお前に会わせる予定なのはジョセフ様なんだけどな。」

「えっ? ほんと!? 会えるの!?」

「あぁ、会えるぞ。」

「王に会えるジルって一体何者……」

「ジョセフ様達とは家族ぐるみの付き合いだったからな。なんたって俺の父親はカルディナ王国騎士団の副団長を任せられるほど信頼されてるんだからな。そこから知り合って……子供の頃は可愛がってくれたよ、ほんとに。」


 ジルが如何にも感傷に浸ってますという顔をしている。


「でも、騎士団長じゃなかったのね。」

「それは……しょうがないさ。団長はなんというか桁違いの存在だから。まともに戦って、勝てる人なんていないだろうな。」

「団長ってそんなにすごいんだ……。でも、なんでジルは騎士団ではなくギルドに入ったの?」

「俺は自由に旅したかったからな。騎士団に入って王国に縛られるよりもギルドに入ってあちこち行ける方が都合がいいのさ。」

「なるほどね。ついでに、学院について詳しく教えて!」

「そうだな。学院の正式名称はカルディナ王立学院。学院はさらに武器を使って戦うのが得意か魔法を使って戦うのが得意かで傭兵部門と魔導師部門の2つの部門に分けられるんだ。


学院は基本的には4年制で、1年が基礎的な勉強。2・3年がそれぞれの部門に別れて基礎的な勉強に加えて武器に関したり魔法に関したりと専門的な勉強が始まる。4年では基礎的な勉強に加え、それぞれの部門から2人ずつ出して4人パーティを組み、戦闘練習だけではなく実践も始まる。


入学出来るのは14歳からなんだが、エルの場合は例外で4年に編入だろうな。」

「ということは……周りの人は17歳か18歳だね。年上だらけ……。」

「そういや、お前何歳なんだ?」

「人としてなら15歳だけど?」

「なんと……」

「そこ驚くところ? なに? 若すぎるから結婚出来なくて残念だなんて言いたいわけ?」

「まだそれを引きずるか……お前の中の俺は一体なんなんだ……」

「……ロリコン?」

「ロリコンじゃない!確かにお前を可愛いとは思うが断じて違う!」


 思ってるんだ。まぁ、ボク男と付き合うなんてゴメンだからね?


「もういい……このままだと日が暮れるから少し急いで街に向かうぞ。」

「それもそうだね。」


 これから先に待っているであろう学院生活やギルドでの活動に無い胸を膨らませながらボク達は街に向かって再び歩み出した。

戦闘シーン書くのが難しい…


エルノア(人間ver)のステータスは、

力:8

体力:7

魔力:15

敏捷:12


です。

やはり魔力は高めなようです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ