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嘘は言ってないよ

作者: 東井なつき

「ねぇ、巨乳と貧乳だったら、どっちが好き?」


 そう訊ねてきた幼馴染の少女は、残念なほど胸が小さい。

 口に出したら絶対に殴られるので言わないが、いわゆるまな板である。


「選択肢が少ないな。爆乳と普通サイズと微乳も追加するべきだ」

「微乳? 貧乳と何が違うの?」


 自分の胸が小さいことを気にしている幼馴染は、違いが気になるようだ。


「貧乳はちょっとはあるが、微乳はほぼない」

「へぇー、じゃあ、改めて質問ね。爆乳と巨乳と普通サイズと貧乳と微乳だったらどれがいい?」


 選択肢を間違えれば、殴られるだろう。

 だってこいつ俺のこと好きなんだもん。俺も彼女のこと好きだけど。


 こいつに嘘は吐きたくない。

 だから俺は正直にこう言う。



「美乳」


「そ、そっか。小さいのが好きなんだ」

「ああ。俺は美乳が好きだ」


 嘘は言ってないよ。


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