85/114
(0)プロローグ 「黒い秘め事」
何度も繰り返してもなれることのない、命の消える瞬間
みんなどうしてそんな満ち足りているのだろうか
どうして私に笑顔を向けるの?
私を憎んで、蔑んで、世界を呪い、怨嗟の声を響かせないの?
どうしてあなたたちはそんなに美しいの……
私はこんなに汚れているのに……あなたたちは嬉しそうに私に笑いかけ、安らぎを与えてくれるの?
あなたたちが羨ましいだなんて、言ってはいけないけれど、私はそう思わずにはいられない
命を捧げてくれたあなたたちに私ができることは一つだけ
祈り続けることだけ
世界がどうか―――
死に満たされますように―――




