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蒼の誓約  作者: 毛井茂唯
第2章〈シオン〉
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(1)風花雪月3

 その夜、アクシーバ司祭との会談を終えた後からずっと。

 シオンは自分の部屋の机に突っ伏していた。

「……あれは何だ!……あのリアクションはないだろう………」

 アクシーバからもたらされた『青』の話題に対する反応を隠すためとはいえ、あれでは奇人変人ではないか。

 シオンは自分のあまりの大根役者ぶりと、あの老人に対する別種の苦手意識に懊悩としていた。

 あのあとアクシーバからは腫れ物に触るように「大丈夫か」「過去に何があったかは聞かぬが、おぬしとは縁もあるゆえ相談に乗るぞ」などと気遣われてしまった。

 もう起きてしまったことは仕方がないと、割り切れるほどシオンは大人ではないが、考えても切りがないことに時間を使うほど怠け者でもない。立ち直るのに半日かかっているが。


「『青』か……」

 ここには誰もいないため、シオンはその名に対する思いを素直に表情に表わす。

 喜び、というのが一番近いのかもしれないが、どこかシオンの表情は儚く、戸惑いを含んでいた。

「君がこの世界に再び現れたことは、果たしてどんな意味があるのだろうね」

「もう、僕は世界のことを諦めてしまっているけど。君は……また……」

 


 シオンは立ち上がる。

 体からは光の粒が漏れ出す。

 闇に浮かぶその色は「白」。

 やがて少年だった体は丸みを帯びていく。

 水仙色の髪は、闇に溶けるような黒髪に。

 髪の隙間に隠れていた瞳は、光を放つ白眼に。

 身長は少年の体であった時と変わっていない。

 10歳にしか見えない容貌。

 特別容姿に優れているわけではないが、子供らしい愛らしさがのぞく顔立ちをしている。



「『××××』を救おうとするのかな………」

 シオンは呟きをもらし、一人、夜の闇を見つめていた。


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