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(0)プロローグ 「赤の告白」
愛おしいあなた。
あなたの穏やか眼差しが、風に揺れる黒髪が、美しく、見とれてしまう。
あなたが生まれた時から、わたしはあなたのことを知っている。
愛おしいあなた。
でもあなたは青になった。
本当の名を失い、あなたの名を知るものはとても少ない。
「 」――それがあなたの名前。
あなたのことを知るのはわたしだけでいいの。
あなたはわたしに笑いかけ、わたしと話して、わたしのそばで眠って、わたしと出かけて、わたしの声だけを聞いて、わたしだけを見て、わたしとご飯を食べて、わたしのために歌を歌って、わたしに触れて、わたしとキスして、わたしの髪を撫でて、あなたの心をわたしに見せて、わたしだけを好きになって、わたしだけを愛して、わたしと共に生きて。
愛して。
愛して。
愛して。
愛して。
愛して。
愛して。
愛して。
愛して。
愛して。
愛して。
あなただけ。
わたしがほしいのはあなただけなの。
あなたとわたし以外なにもいらない。
だからね。
あなたの大切な人、みんな、みんな―――




