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(0)プロローグ 「青と呼ばれたもの」
初投稿です。
つたない文章ですが、どうぞよろしくお願いします。
蒼い光に包まれながら、一人の人間の命が尽きようとしていた。
蒼い光は、その人間の体を照らし、身を案じるように包む。
打ち立てた偉業は数知れず、彼の者はどの時代の英雄より強い。
今、この瞬間も人々は涙し、祈りを捧げている。
彼の者が命を投げ出して、人々を救ったのだと。
生きていることを神に感謝している者はいない。
彼の者に感謝の祈りを送っていた。
何の皮肉だろうか。
彼の者は自身の望みを何一つ叶えられず、地に伏しているではないか。
自身の持てる全身全霊の力を使い果たしてさえ、運命に抗えなかったではないか。
故に彼の者は最早、願うしかない。
命の消える今際の際に。
運命を覆す誰かに、何かを。
蒼い光は最後の願いを聞き届けたように瞬いていた。
彼の者はそれを見て眠る。
永い、永い眠り。
運命に弄ばれた人生は、ようやく終わりを迎えた。
ただ一つの望みを。
まだ見ぬ誰かに託して。




