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魔人とドールの狂想曲  作者: 若桜モドキ
倒錯的嗜好者の純愛
19/84

0.不死人

 むせ返るような鉄の香り。

 この世界に包まれている時間を、彼女はとても好んだ。痛いほどに貪られた後の、眠気にも似た気だるさも合わさって、頭の中がやたらとクリアーな感覚があるから。

 隣には、長い銀色の髪を持つ彼がいる。

 少し前まで、衝動のままに彼女を貪った男。普段は名前も呼ばず、時に存在さえ意識から排除した態度を見せながら、こうしている時は決まって彼女を抱きしめていた。

 縋るように。

 甘えるように。

 そのたびに彼女は思う。愛されていると。言葉にならない思いを、死なない身体に叩きつけることで伝えてくれていると。以前ほどの激しさは薄れたけど、思いはなおも強くなる。

 ねぇ、と心の中で彼女は最愛の魔人に問いかける。


 ――もっともっと、わたくしを貪って。


 ずっと一緒にいられるように、いくらでもこの身体、この血肉を捧げるから。わたくしを独りにしないでねと、まるで呪いをかけるように『愛』を囁く姿は、御伽噺の魔女のよう。

 深い眠りに落ちた彼の体を、彼女はしっかりと抱きしめた。

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