第1話
「この世界に来てから、どれくらいたったんだろうなぁ
こんなに老けてるってことは、数十年たってるんだろうなぁ」
この世界に急に転移して来た当初は、右も左もわからず苦労したものだ。
運よく親切な人に助けてもらったからよかったが、そうじゃなかったらどうなっていたんだろうか。そして初めて魔法を知ったときはめっちゃ驚いて、魔法についてもっと知りたくて、たくさんのことを学んだ。
そして慣れてきた頃には、いろんな場所を冒険をしたり、数多くの強敵と戦ったりした。
そうやって生きていくうちに世界最強の冒険者、大賢者と呼ばれることもあった。
冒険をするときに、のちに剣聖と呼ばれるようになったやつと、拳聖と呼ばれるようになったやつ、そして俺の3人でパーティーを組んでいた時期もあった。
「あいつら、今頃何してるんだろう」
そんなことを思いながら今までの人生の歩みを振り返っていた。
「こっちの世界も第二の故郷みたいなもんだけど、どうしても日本に帰りたいなぁ」
そんなことを一人でぶつぶつとつぶやきながら俺はとある王国の小さな酒場で酒を飲んでいた。
酒場を出た瞬間目の前が真っ白になったかと思うと、俺はある場所にいた。
「ここって…日本じゃね」
そう思い後ろを振り返ってみるとさっきまでいたはずの酒場がなかった。
そこには東京のシンボルである東京タワーがそびえたっていた。
「やっと帰ってこれたんだ...」
そうしてしばらくその場に立ち尽くしていた。
しばらくしたのち俺はこれからについて考え始めた。
スマホはないし、身分証明書とかない、前住んでたところも覚えてないし,
一旦警察に行くしかないか。というか服もちょっと浮いてるよな、着替えも探さなきゃいけないな。
そんなことを考えているうちに周りからこんな声が聞こえた。
「あの人って探索者なのかな?」
「でもここら辺にダンジョンってあったっけ?」
探索者にダンジョン、ゲームの話でもしてるのか?それともなんかのイベントの話か?
まあいいや、交番でも探すか。
「そういえば、今って何年なんだろう」
警察のお世話になっていろいろと分かったことがある。
まず俺が失踪してから三年しかたっていないらしい。
絶対にあっちの世界にはもっといたはずなのだが、もしかしたら世界によって時間の流れに差があるのかもしれない。
次に俺が失踪してからすぐにダンジョンというものが現れたらしい、写真も見せてもらったがあっちの世界にもなかったものなのでとても目新しかった。
またダンジョンが現れたのと同時期に探索者というものもいるらしい。
探索者はスキルというものを使って、ダンジョンの中にいるモンスターと日々戦っているらしい。
その探索者になるためには、ダンジョン協会というところで探索者免許を取得すればだれでもなれるらしい。
「スキルって魔法みたいなものなのか?もしかしたら、今まで見たことない新しいものが見れるかもな」
そして警察から自分の家の住所を教えてもらった俺はそこへ向かって歩き続けた。
家に着いた俺はカギを大家さんから受けっとった。どうやら警察が大家さんに連絡してくれていたらしい。確かに警察がそんなことも言ってたかもしれないが三年しかたってなかったことやダンジョンの話で頭がパンクしてたから仕方ない。うん、仕方ない、忘れてたのは俺のせいじゃない、変わっちまった世界が悪いよ。うん。
部屋に入り電気をつけようとすると、問題なく光がついた。
「よかった、引き落としだから止められてなっかったのか、いやまて、引き落としということは...」
嫌な予感がした俺は急いで口座残高を確認しに行った。すると
「やっぱり電気、ガス、水道、家賃代分なくなってるわ。使ってないのに基本料金がひかれてるわ、使ってないのに!」
そんなことをグチグチとしばらくの間、言い続けていた。
落ち着いてきた頃に俺は自分の今の状態を確認した。
魔力の量はこっちに戻ってくる前と変わってなかった。
「魔力量は減っていないが肉体の強度がものすごく落ちているようだから鍛えなおさないと強い威力の魔法を使えないな」
そして鏡を見ると明らかに違うことがわかる。向こうの世界では確かに70を超えるおじいちゃんのような姿だったのに、今では10代ときの姿だった。
「若返ったのか?でも失踪から三年しかたってないとすると、確か12で失踪したから今は多分15歳だよなだとしたら年相応の見た目なのかもな」
でも不思議なことであるのは間違えないなんで若返ったのかが分からない。
急な転移、今までは事故にでもあったのかと思っていたのだが、もしかしたら何者かの明確な意図があるのかも知れないな。
「まぁ単純にそういうものかもしれないけど。」
異世界から戻ってくるというのは年齢の変化が起こるというものかもしれない。
なんというか世界の整合性を合わせるために、
こいつって今存在したら15歳だよな、ていう感じで世界が修正力みたいのが働いてる可能性もある。
「どうせ分かんない事だし考えても意味がないよな」
そういって俺は久しぶりのパソコンに悪戦苦闘しながら調べ物を始めるのだった。




