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旅の行方

 ガラス玉をしまおうとしたその時、シルが言葉をこぼした。


『そのガラス玉、魔力がこもっているな』

「えっ、そうなの。じゃあこれ大事なものなんじゃ」


『あの少女との縁を誰が結んだのかはわからないが、

 別の誰かが大事にしていたものとだけは、わかるな。

 大事にしていたその者の魔力と作られた時に込められた魔力の二つを感じる』

「なるほど、どうしてわかるの」


『魔力には波長があるからな。まあ色のようなものだと思ってくれるといい』

「シルはその見分けがつくんだね」


 何の願いが込められているのか。

 誰がどんな思いでそれを大切にしていたのか。


 そしてどうして少女の手に渡り、

 少女が何を思って私に託したのか。

 私は思いを馳せ、そのガラス玉を握りしめた。


 もしできるならこれを少女に託した人に会いたい。

 誰が何を願った結晶なのか。何を思って少女に渡したのか。

 それを知れば道が開ける、そんなような気がした。


 その時だった。

 握りしめた指の隙間から、光が漏れ出す。


 私は握っていた手を開く。

 すると、淡いながらもそれはある方向を指し示していた。


『どこかを指し示しているようだ』

「どこに向かっているんだろう」

 そのガラス玉は確かに私の意志に反応した。


「もしかしてこれを辿っていけば何かにありつける気がする!」

『だが、こちらの方角は──』


「何かあるの?」

『おおまかにだが、獣人国中心部の城塞都市、そして鬼人国との国境付近に向かっている」


 シルの表情が暗い。

 シルが言わんとしていることがわかった。

 おそらく危険が待ち構えているのであろうことが手に取るようにわかった。


 それでも────

「行こう。傷つく道が見えていたとしても大丈夫。

 シルがいる」


『随分と大きく出たな』

「背中を任せてって言ったのはシルだよ」

『確かにそうだったな』

「じゃあ行こっか」


 私たちはまだ知らない。

 その道の先で、何を失い、何を得るのかを。


 その選択が異界の運命を左右するとも知れずに、

 私たちはその一歩を踏み出した。

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