触れた声に、応えられなかった
連続更新です。
いろんな方に見ていただけてるのかな?少し嬉しいです。
自己満足で書き始めたので、書いてるだけでも楽しいのに、見てくれる方がいるだけで幸せです。
さて、ここから少し対話になります。地の文が短いですがよろしくお願いします。
目を覚ますと、そこは真っ白な空間であった。
その中に一人うずくまる子どもの影がそこにあった。
この子が呪いの源────魔物の核なのだろう。
「こんにちは」
私はその子に駆け寄ると、目線を合わせるようにしてその場に膝をついた。
するとその子は俯けていた視線をこちらに向けた。
『だれ?』
「私の名前はことは。君に、あなたたちに会いにきたの」
『はじめてだよ。ここにきてくれた人は』
「そっか、少し寂しかったのかな」
すると再びその子は俯いた。
『寂しかった。辛かった。だれも会いに来てくれなくて────
だってぼく、こんなに苦しくて辛いのにだれもわかってくれない」
子どもの影の目元からはポロリポロリと黒い澱みが溢れ出した。
ずっとこうして泣いていたのだろうか。
それが呪いとなって村の人たちを冒した。
『ぼくと同じになればみんなぼくのことをわかってくれる。
だからね、同じにしたの。
苦しいから苦しめて、
辛いから、同じ辛さを与えたの』
無邪気に笑うその子はそれでも泣いていた。
「それは────多分正しくない。あなたもわかってる。だから泣いてる。
そうでしょ?」
『同じになってもだれもわかってくれない。
ぼくと同じになってくれないんだ』────
わかってる。本当はこんなの正しくないって。
でも真っ黒な気持ちが止まらないんだ。
するともっと寂しくて辛くなるんだ。こんなこと思うのやめたいのにやめられない』
「そうだね。えらいね、あなたはちゃんとわかってる。
こんなこと正しくないって。
痛みは誰のものでもない、あなたのもの。
それを完璧にわかりあうなんてできない。それを押し付けるのは正しくない」
『じゃあ、どうすればいいの?』
「──わからない」
私は答えを持ち合わせていなかった。
私は完全完璧な聖人でも聖女でもない。
多分ただの不完全なただの一人の人だ。
だからこの子を導いてあげられるほど強くも、正しくもない。
寄り添うしかできない。
「ごめんね」
私はその子を強く抱きしめた。
謝ることしかできなくって、悔しくって、涙を流した。
『お姉さんも辛いの?』
「違うよ。ただ情けないだけ。これも私だけの感情だから、私が向き合わないといけない」
『じゃあぼくも、向き合うよ』
その子は私から離れると距離をとった。
『この村の人たちに感情を向けるのは違う。だからやめる、呪うのも、当たるのも』
そう言うと、黒い影が揺らぐ。
「そうだね、ごめんね。ちゃんと導いてあげられなくって──」
『疲れたのかな──眠いや。だからぼくはしばらく眠るね』
「うん、おやすみ」
『もし、お姉さんが嫌じゃなかったらまた会いに来て。そうしてくれるとぼく、うれしいから」
その影の表情は真っ黒に塗りつぶされて見えない。
けど、その子は笑っていたような気がした。
『おおかみさんがお姉さんのこと心配してるみたい。だから、またね、ばいばい』
「うん、またね」
その子の影は光の中へと溶けていった。
そして私の意識は、
まだ答えのないまま、静かに暗転した。




