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声の在処へ、会いにいく

10話です。

聖女として選ばれなかった主人公なりの答えです。

どれも正解ではない。

それは人それぞれの答えであり、

正解などないのだから。

「この村を見過ごせない。だから力を貸して、シル」

『ああ、わかったよ』


やはりこの村に蔓延している病を退けるためには呪いの元、魔物を祓う他ない。

村人達の様子を見てみても、先に病に冒されていた子どもの命は、

風前の灯だ。

だから、やるからには早く対処しなければ────

私たちは呪いの元となる魔物と対峙することに決めた。


呪いはこの村の風上に位置する場所にあると、気配で察知したらしいシル。

そこは異界にて戦い慣れてきた彼の経験値がものを言った。


私は肌に爪が食い込むほどに拳を握りしめる。

脳裏に浮かんだのは、以前街で出会った魔物のことだった。

あの時、私はシルに助けられるまま、何もできなかった。

そして決意したこと。


今度は迷いはなかった。


「シル。背中は預けたよ」

『わかっているよ。任せてくれ』


─────


呪いの根源たる魔物は気配を辿っていくと、私にでもその在処はわかった。

声が聞こえたのだ。


苦しい。

寂しい。


濃くなっていく霧という名の瘴気。

肌にまとわりつくそれは、生温かく、息をするたび胸の奥をかすめた。


シルが魔力で守ってくれているから私は効かないけど、一度吸ってしまえば、その肺は腐り落ちるだろう。

その証明に、周囲の植物は枯れ果て、散り散りになっていた。


声は近づくにつれもっと確かなものになっていく。


みんな僕たち、私たちと同じ気持ちを味わえばいいんだ────


違う。そんなことしちゃダメだ。私ははっきりと言えた。


だって、それじゃあ君たちに苦しみや寂しさを与えたもの達と変わらない。


「違う!気づいて!」


私が力一杯声を届けると、

瘴気はさっと波が引くように晴れた。


『誰?僕たちの邪魔をするのは────』

「邪魔しに来たんじゃない。私の言葉を聞いて!」


やだやだやだやだ────

まるで幼い駄々っ子のような泣き声とともに、晴れたはずの瘴気がまたその牙を剝き始めた。

瘴気が私に襲いかかろうとするが、

その間に割って入ったシルの遠吠えによって弾かれる。

シルが反撃に出ようとするが私はそれを制止した。

「待ってシル!私に行かせて」

私が魔物の方に歩みを進めると、彼は私に注意しろとうながす。


「待ってて、今"会いにいく"から。"道よ、開いて"」


ほぼ本能のまま、体は、心は、言葉は動いていた。

がっといきなり巨大化した魔物、

その中に幼き子どもがうずくまっているらしき影が見えたかと思うと、

私を飲み込む。

少し怖くて、歩みが重かったけど、

多分これでいいんだ。


「ことは!」


シルが私を呼ぶ声が薄れゆく意識の中、最後に聞こえた。

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