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虚ろな救済  作者: Cavarier
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第一章「接触」差し込む闇の相談

事務所に戻った悟を待っていたのは彼の手に負えないより深い闇の相談だった。



相談室に行くと、初老の夫婦が座っていた。

彼らの顔は疲弊しきっており、ミケが見つかった喜びの空気とは対照的な重苦しい沈黙がその場を支配していた。


「どうかお願いします。うちの息子をカルト団体から取り戻してほしいんです。」

夫婦の息子、和樹(かずき)は工学部の大学生。将来のことや人間関係に悩んでいた時期にある「団体」の活動に参加して以来、

連絡が途絶えているという。



「和樹はSNSで『心を浄化するコミュニティ』に誘われました。最初は都会のストレスから離れるデジタルデトックスだと

言っていて私たちも安心していたんです。ですが気づいたら消費者金融でお金を借りて

それを団体に寄付していたみたいで。『清らかな生活の浄財』と和樹は確か言っていました。」


夫婦が持参した資料は特定の宗教法人や団体の名が記されたものではなかった。

ただ「真の自己実現を目指すコミュニティ」といった曖昧な名称のパンフレットが数枚あるだけだ。

そこには「現代の競争社会から離脱し、新しい安息の地へ」という耳障りな良い言葉だけが並んでいる。


悟の明るかった表情から笑顔が消える。彼の脳裏に浮かんだのは、小さな問題を解決する喜びに比べ、遥かに巨大で巧妙な悪意の存在だった。

人の心の隙間をつき、家族の絆と金銭を奪う「見えざる敵」


二人を安心させなければならない。

「お任せください。このまま放置することはできません。NPOとして専門家や弁護士と連携し、必ず和樹さんを取り戻します。」


悟は「見えざる敵」がこれまでに解決してきた「小さな問題」とは異なる日本社会の闇に深く根差した巨大な問題であることを予感していた。


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