69 狩り
箱の中を1階まで降りて地上に出ると、ロナと2段ずつ箱を解体する。壊さず残しておいても良いが、悪目立ちしたり誰かに勝手に使われても鬱陶しい。
ちなみに今日は1日中魔法石狩りをする予定だ。以前、浅層で狩ってた時は魔法石どころか魔石すら全然出なかったが、その頃に「中層なら割と出る」とか何とか聞いた気がする。そして魔法石狩りをする探索者はけっこう居ると聞いた覚えがある。
早速、ロナと2人して魔力探知を全開で発動する。ちなみに魔力探知は常に発動しておくようにとヨーコに言われているが、街ではつい忘れてしまう事が多い。
「おっ?」
「何かいるねー」
ロナが首を傾げているが、私はこの魔力反応を知っている。一度狩った事があるからだ。
「ミラ、知ってんの?」
「これはユニブレードディアっていう角が刀になってる鹿型の魔物でレアモンらしいよ」
「へぇ、鹿か。確かに4本脚で歩いてるかも?」
まだ距離があるせいか、ロナの魔力探知では詳細には分からないようだ。
「よし、早速狩るよ」
「おっけー」
以前、私が狩った時は浅層だった。レアな理由は「馬鹿過ぎて同種同士争いまくって数が減ったせいだ」って聞いた気がする。この辺りは中層の入口。中層でも生きていけるほど強いらしいが、中層でもレアなのかどうなのか。ともかく前回も良い値がついたので逃がしたくない。
ロナと2人、木々の間を縫って出来るだけの速度で魔力反応に近づく。ユニブレードディアは私やロナ程度の魔力反応なら敵じゃないと判断したのか全然逃げる様子も無く、ほどなく私たちの視界に姿を現した。
私たちを舐めていたのも頷ける。その個体は以前、私が狩った個体より1~2まわりほども身体が大きかった。その分角も長く幅広で凶悪に見えた。
以前倒したユニブレードディアは小柄だったがそれでも角を含めないで全高1メートル30センチ程、ブレードを含めると全高1メートル80センチほどもあった。
「――んで、どう狩るん?」
「そうだな。今回は2人だから連携しようか」
私は簡単な作戦をロナに話してロナの賛同を得た。
「――そんじゃ、いくよ~」
すぐにロナが「氷の礫」の魔法を発動し氷の礫を撃ち込み始めた。
魔力制御と魔法制御次第では、「氷の礫」の魔法はかなりの射程距離を出せる。ユニブレードディアは驚いて氷の礫から逃げ回る。
ユニブレードディアが私たちの方へ逃げて来るように、ロナが上手に誘導する。私は大人しく待ち受けていた。
「ビイイイイィィイイイィ!」
ユニブレードディアが攻撃の主が私たちだと気づいた様子で、怒りまくって突っ込んでくる。そして突然、落とし穴に落ちたみたいに勢いよく地面に突っこんで身動きできなくなった。
「ヒィイイイイィンッ!?」
見れば前脚、後ろ脚の根本まで沼の様になった森の地面に埋まっている。そして猛烈に暴れるが脚は引き抜くどころがビクともしない。
あらかじめ私が「粘着」の魔法を使って森の地面を粘体の落とし穴に変え、ユニブレードディアが落ちたところで「凝固」の魔法を使って脚を固めたのだ。
「止めは私が刺すね」
「了解」
ユニブレードディアが少し大人しくなるのを待って、私はユニブレードディアの背中に「短距離転移」の魔法で転移し、ユニブレードディアが気付いて暴れ始める前に首に短剣を刺した。
ギースの首には跳ね返されたが、ユニブレードディアの首には短剣の先がスルッと入った。そのまま短剣を振り抜きながら再び「短距離転移」の魔法でロナの傍に転移した。
ユニブレードディアの首が4分の3ほど切断され、暴れていたせいで首が倒れ、鮮血が噴き出した。
魔力反応で死亡を確認するまで少し待ち、「粘着」の魔法と「凝固」の魔法を解除して解体にかかる。
「――うーん。狩り、久々だったけど……」
「うん。ビックリするほど簡単だったね」
「ウチの人生初ってくらい大物なのにねー」
私もロナも拍子抜けするほど簡単に狩りが終わってしまった。
前、私が狩ったユニブレードディアと違い、ブレード無しの体高が軽く170センチ以上、ブレードありなら2メートル20~30センチ以上はありそうな大物だった。
サッサと解体し、内臓は放置し、肉、毛皮、角+頭部を「異空間収納」の魔法に仕舞う。
前回は好事家のおかげで高く買い取って貰ったが、今回は依頼を受けていない。ただ私たちは売れるまで「異空間収納」の魔法に保管しておけるので前回以上高値で売ることが出来る。
ロナが少し眉を寄せるのを後目に、私は念のため内臓を触って調べる。すると前回と同じ場所に今回も魔石が入っていた。取り出して「洗浄」の魔法で洗浄する。
「お。魔石?」
「――いや、魔法石っぽい」
「ええぇ~~~!?」
何といきなり1体目で魔法石をゲットしてしまったのだった。
魔力を通してみると、魔法の反応がある。ユニブレードディアの魔法というと――?
(多分、『斬撃』の魔法石かなぁ?)
ヨーコも見ていたらしく、アドバイスをくれた。
私はロナに手招きをして手ごろな高さにある木の枝まで移動した。ロナに距離を取るように言ってから、短剣で太い木の枝を斬りつけた。太い木の枝に短剣の刃がざっくりと食い込んで止まる。
その結果を踏まえ、今度は魔法石に魔力を流して発動し、それからもう一本の短剣を同じ様に振り下ろした。今度は先ほどより幹寄りの太い所に斬りつけたが、太い木の枝は抵抗も無くスパッと両断された。
「おぉ~~~っ!」
「なるほどこれは『斬撃』の魔法石らしい」
「いいねぇ!かっこいい!」
「いや、カッコいいより強いが重要でしょ」
ロナにそう返しつつ、私もカッコいいとは思った。まあでも、これは剣術スキルが生えたロナ用だろう。
ちなみに短剣は2本ともギースの屋敷でパクッてきた物だ。
ちなみのちなみに私たちの今の能力値はこんな感じだ。
□ ミラ(人族)(10)
□
□ 筋力 6 (20)
□ 瞬発力 9 (40)
□ 持久力 6 (17)
□ 耐久力 5 (16)
□ 精神力 10(17)
□ 魔力 15
□
□ 棒術 LV.9
□ 剣術 LV.1(NEW )
□
□ 魔力感知 LV.8(UP)
□ 魔力制御 LV.6(UP)
□ 魔力探知 LV.8(UP)
□ 魔法制御 LV.9(UP)
□ 身体強化 LV.11(UP)
□
□ 敏捷力 LV.10(UP)
□ 瞬発力 LV.10(UP)
□ 精神力 LV.7(UP)
□ 筋力 LV.2(UP)
□
□ 発火 LV.1
□ 異空間収納 LV.3(UP)
□ 洗浄 LV.3(UP)
□ 短距離転移 LV.4(UP)
□ 雷撃 LV.3
□ 隠形 LV.1
□ 剛力 LV.1
□ 慣性力 LV.1(NEW )
□ 炎の玉 LV.1(NEW )
□ 粘着 LV.1(NEW )
□ 凝固 LV.1(NEW )
□
□ 解体術 LV.2(UP)
☆
□ ロナ(人族)(10)
□
□ 筋力 9(18)
□ 瞬発力 8(27)
□ 持久力 7(14)
□ 耐久力 6(13)
□ 精神力 12
□ 魔力 10
□
□ 棒術 LV.3
□ 剣術 LV.2(UP)
□
□ 魔力感知 LV.6(UP)
□ 魔力制御 LV.5(UP)
□ 魔力探知 LV.3(UP)
□ 魔法制御 LV.4(UP)
□ 身体強化 LV.7(UP)
□
□ 敏捷力 LV.6(UP)
□ 瞬発力 LV.6(UP)
□ 筋力 LV.1(NEW )
□
□ 発火 LV.1
□ 剛力 LV.1(NEW )
□ 氷の礫 LV.1(NEW )
□
□ 解体術 LV.1
前回の鑑定から少し期間が開いたおかげか、私は特に、新たな魔法がたくさん表示されていたしまんべんなく伸びていた。凄くうれしい。さらに、私もロナから少し遅れたが剣術が生えていた。
そして気になるのが「異空間収納」の魔法レベルがまた一つ上がったこと。それなのに全く変化を感じられないこと。正直「異空間収納」の魔法は最初から全部そろってた感じなのだが――。何か何処かに変化が無いか、考えたり試したりしてみたい。
ロナも良く伸びていて、魔法も増えている。補正込みの筋力はほぼ追いつかれてしまった。これは近いうち、抜かれそうだ。そして早くも剣術がレベルアップしている。実戦は1回だけだが練習だけでも伸びたらしい。やはり才能だろう。
こうして私とロナの魔法石狩りは超好調なスタートとなった。
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