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57 エピローグ

 翌朝、私たちが商人ギルド会館に来ると、マーシャさんにすぐに会議室に通された。会議室に入ると既にノエラさんが待っていた。

 

「ノエラさん。良かった無事ですね」 

 

「はい。ありがとうございました」 

 

 そんな挨拶から始まって、ノエラさんが昨日の事を話してくれた。

 

 ギースに「魔法石の在処を言え」「貴様如きが持って良い物ではない」「身の程を知れ」「何とあさましい」「値を吊り上げる気か」などとネチネチ責められ続けていたノエラさんだが、暫くして騒ぎが起こり、ギースが部下に請われて嫌そうに部屋を出ていった為、暴力を振るわれたりはしなかったようだ。

 

 足音が完全に遠ざかった頃、窓から謎の男が侵入してきて、悲鳴を上げそうになったという。「助けに来た」と言われ必死に悲鳴を飲み込み、男の背中に縄で括りつけられ、窓から庭に降り、男に誘導されて屋敷の塀を越えた。

 

 ノエラさんはギルド職員のような服を着ていたのでそのまま貴族街を抜け、貴族街の壁はまた男の背に括り付けられて越え、やっとの事でマーシャさんの家まで戻ったという。

 

 男は特に名乗らず、マーシャさんの家まで送った後、すぐに去って行ったらしい。ノエラさんが男にも一言礼を言いたいと言うので、ダンと言う名前と探索者ギルドの人間であることを教えておいた。

 

 今後の商売についても話した。最初の予定通り料理人としてお願いしたいが、危険な目に遭わせてしまった。

 

 今回の場合、原因はむしろノエラさん寄りだったが、元々ノエラさんはギースを警戒して引っ込んでいたのに、半ば強引にお願いして引っ張り出したのは私たちだ。そして今後もうちで働き続けると、今度は私たちの因縁がもたらす「とばっちり」を受ける可能性が出て来る。

 

 それでも無理を承知で料理人を続けてもらえないかと聞いてみると、意外にも承諾された。その代わり、魔法の弟子にして欲しいという。

 

 困惑した私がとぼけて見せるのも忘れて理由を聞くと、理由は2つ。1つはマーシャさんが私とロナを凄く褒めていたから。ノエラさんはマーシャさんから「自分ノエラを助けてくれたのはミラとロナだ」「彼女たちは信頼できる」と聞いたらしい。

 

 ちなみにギースが魔法使いなのはノエラさんにも何となく分かっていたらしい。魔法石を欲しがっているし貴族だし魔力が凄いし。そのギースを倒したなら魔法使いしかありえない。そう言う連想で私とロナも魔法使いだろうと思ったようだ。

 

 なるほど、少々強引だがそういう理屈でバレるなら、マーシャさんにもバレてるかもしれないし、他にも――。うぅ、もっとしっかり口止めすべきだったか。

 

 ――理由のもう1つはノエラさんが持つ魔法石に由来していた。

 

 ノエラさんがギースに狙われていた理由は魔法石を持っていると知られたからだが、その魔法石というのが「認識阻害」の魔法石だという。

 

 この「認識阻害」という魔法は周りから認識されづらくなる――存在を気づかれなくなると言う魔法らしく、理由は分からないがノエラさんの家に代々伝わる家宝で、孤児になる前にノエラさんが受け継いでいたという。

 

 完全に使いこなせるわけではないが、この「認識阻害」の魔法のおかげでノエラさんはイザという時に姿をくらます事が出来、度々のピンチから何とか逃げ延びて来たらしい。ノエラさんほど綺麗な女の子が今まで無事でいられたのも納得だった。

 

 ただ、完全に使いこなすにはかなりの腕が必要だし、たとえ使いこなせていたとしても「認識阻害」の魔法も無敵ではない。魔力探知、魔力感知の達人に見破られる事もあるし、何となく感づかれる程度ならざらにある、とヨーコが言っている。その辺は「擬態」や「隠形」の魔法と同じらしい。

 

 ノエラさんの魔法石の事もギースの関係者から洩れているかも知れないが、その場合は私が売ってもらった事にしてヘイトをこちらに引き付けるという手を検討中だ。

 

 ともかく、ノエラさんに自力で危険を回避できる手段があるのは良い事だ。私が料理人として雇えなくなるまで、という条件でどうかと言うと、ノエラさんがそれで良いと言うので弟子にすることになった。これで2人目の弟子だ。

 そんな感じで話し合いは終了、商売は明日から再開する事にして解散した。

 

 明日の分はまだ材料があるので今日は宿で休むことにした。宿の部屋に戻ると、待ちに待った戦利品調べだ。

 

 私はギースから奪い取った戦利品の魔法石を取り出して調べ始めた。勿論、魔法石はゲットしてから今まで「異空間収納」の魔法に仕舞ってあった。

 

 せっかく腕輪に加工してあるのでそのまま使おうと思ったら、サイズがデカすぎて手首ではブカブカだった。二の腕や足首も装着してみたが形が合わず魔法石が肌に密着しないししっくりこない。それでも諦めきれずに腕輪を弄んでいると、内側が開いて魔法石を着脱できるようになっているのに気づいた。

 

 早速、10個すべての魔法石を取り出して並べ、1つずつ調べていく。

 

 すぐに分かったのは4つ。ギースが戦闘でつかった魔法石で「炎の玉」「氷の礫」「透明な防壁」「透明な腕」。見えない衝撃をたくさん喰らったが、あれは「透明な腕」の魔法で殴られていたという事らしい。

 

 次に如何にもギースらしい魔法石3つで「剛腕」「剛体」「剛力」。「剛力」は最初に戦った魔法使いも持っていたが、これを持っている事が貴族のステータスなのだろうか?ともかくこれで「剛力」の魔法石は2つになった。凄く役立つのでロナにも渡しておこう。

 

 残り3つの魔法石は良く分からなかったのでこっそりヨーコに意識を向けてお願いした。

 

(これは珍しい魔法石ねぇ。ギースはきっと誰かから贈られたけど、あまり興味が無かったんじゃないかしら――そちらから順に「粘着」の魔法石、「凝固」の魔法石、「脱色」の魔法石ね) 

 

 そう言われてもまだ良く分からない。「粘着」と「凝固」は何となく分かる。ギースは使わなかったが戦闘でも相手の行動を邪魔するのに使えそうではある。

 

 でも「脱色」と言うのはどういう魔物が何のために使う魔法なのか?私が魔法石を弄びながら悩んでいると、ヨーコの声がした。

 

(「脱色」の魔法は森に隠れ住む蜥蜴型の魔物の魔法ね。小型の蜥蜴で主に地面や倒木から虫をほじくって食べるんだけど、その時に狙いをつけた倒木や地面の一部を「脱色」の魔法でほぼ透明にして中の獲物を透かし見るのよ)

 

 ヨーコがいつものドヤった雰囲気で続ける。

 

(この3つの魔法石はセットで所有する事で物凄い価値を持つの。「粘着」の魔法で土でも石でも枝でも葉っぱでも何でもくっつける。次に「凝固」の魔法で固めて強度を付与する。最後に「脱色」の魔法で望みの場所に窓を設置できる。要するに自分で建物を作るために使うのよ~魔法使いと言えば塔よねぇ♪)

 

 それは、ヨーコがドヤるに値するほど、驚愕の情報だった。自分達の拠点を自分達で作る――ちょっと考えただけでワクワクとドキドキが止まらない。

 

 正直すぐに試してみたいが――場所の選定を慎重にする必要があるし、材料は何でも良さそうだが、ホントにそうかは試してみないと分からない。試すならとりあえず今度森に行った時あたりか。だがそう思うとこれからすぐにでも森に行きたくなってしまった。でも今日は休むと決めたしなぁ。

 

 私がそんな事を思っていると、ロナが私のベッドに乗ってきた。

 

「どうだった?」 

 

「良いのばっかりだったよ」


「おぉーっ♪」 

 

 ロナがワクワクの顔で寄って来る。私が1つずつ説明すると、ロナは興味深そうにフンフンと頷きながら聞いていた。

 

「今回はロナにもある程度渡そうと思ってる」


「良いの?ミラが戦って倒したのに」 

 

「もちろん。ロナの協力なしでは絶対無理だったしロナの戦力も強化したいからね」

 

 私は考えながら魔法石をより分ける。ロナには「剛腕」「剛体」「剛力」の3つと、「炎の玉」か「氷の礫」のどちらかを渡す事にした。

 

「理由は、まず『剛力』の魔法石は私も持ってるし、『剛体』の魔法石は多分、ギースが使ってたアレ――身体が固くなるみたいな防御的な魔法っぽいから。私は『透明な防壁』の方が好みだからそっちで。『透明な腕』は私が使う。『炎』と『氷』は似たような感じだから1つずつ。『粘着』『凝固』『脱色』の魔法石は共有して2人とも使えるようになった方が良いと思う」 

 

「なるほど、了解~♪」 

 

 という事でロナとも話し、最終的にこうなった。

 

 ロナに「剛腕」「剛体」「剛力」「氷の礫」の魔法石を。

 

 私が残り「炎の玉」「透明な防壁」「透明な腕」の魔法石を。

 

「粘着」「凝固」「脱色」の魔法石は共有。

 

 私はいずれ2人とも今の魔法をしっかり熟練したら、ヨーコ以外の魔法石を全てを交換して、最終的に全部の魔法を2人とも全て使えるようにしたいと考えていた。勿論、そこまでになるには相当の訓練が必要で、先は長いだろうけど――。

 

 ちなみに今の私達の能力値はこんな感じだ。

 

□ ミラ(人族)(10)

□ 筋力  6 (17) 

□ 瞬発力 9 (35)

□ 持久力 6 (15)

□ 耐久力 5 (14)

□ 精神力 10(15)

□ 魔力  15

□ 棒術    LV.9

□ 魔力感知  LV.7(UP)

□ 魔力制御  LV.5(UP)

□ 魔力探知  LV.7(UP)

□ 魔法制御  LV.7(UP)

□ 身体強化  LV.9(UP) 

□ 

□ 敏捷力   LV.8(UP)

□ 瞬発力   LV.9(UP)

□ 精神力   LV.5(UP)

□ 筋力    LV.1(NEW )

□ 

□ 発火    LV.1

□ 異空間収納 LV.2

□ 洗浄    LV.2(UP)

□ 短距離転移 LV.3(UP)

□ 雷撃    LV.3(UP)

□ 隠形    LV.1

□ 剛力    LV.1(NEW )

□ 解体術   LV.1 

 

 ☆

 

□ ロナ(人族)(10)

□ 筋力  9(14) 

□ 瞬発力 8(23)

□ 持久力 7(12)

□ 耐久力 6(11)

□ 精神力 12

□ 魔力  10

□ 棒術   LV.3

□ 剣術   LV.1(NEW )

□ 

□ 魔力感知 LV.5(UP)

□ 魔力制御 LV.3(UP)

□ 魔力探知 LV.1(NEW )

□ 魔法制御 LV.3(UP)

□ 身体強化 LV.5(UP)

□ 敏捷力  LV.5(UP)

□ 瞬発力  LV.5(UP)

□ 発火   LV.1

□ 解体術  LV.1 



 真っ先に目に飛び込んできたのは年齢。私はどうやら秋から冬にかけての生まれだったらしく、年齢が1つ増えていた。やはりロナとは同い年だったようだ。

 

 そして前回、ヨーコに鑑定してもらってからあまり時間はたっていないのに全体的に良く伸びていて驚いた。

 

 基礎の身体能力では魔力しか伸びていないが、補正込みだと能力値はほぼ普通の大人の1.5倍、瞬発力だけならほぼ4倍にもなる。

 

 だがロナは実戦を経て私以上に急成長していた。そして何故かロナだけ剣術スキルが生えている。正直悔しいし納得いかないが、これが才能ということだろう。

 

 ともかく、これで魔法石も分け終えたし、今日やりたかった事は全て終わった。あとは存分に休むだけだ。

 

 トラブル続きだったが、金策手段も出来、一応拠点も定まって後ろ盾も出来た。これでこの冬は安心して越せる。

 

 私もロナも実戦を経てかなり戦う力がついて来た。勿論まだまだ最強の魔法使いには程遠いが――。

 

 私は最強の魔法使いになった自分を想像しながら、いつの間にか眠りについていた。



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ここまでで第二部終了です。明日からすぐに第三部を投稿開始します。


ストックのあるうちは変わらず1日1話更新予定ですが、正直もう残り少ないです。出来る限り毎日更新を続けて、その後は不定期に更新する事になると思います。


第三部からもよかったら宜しくお願いします。


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読んでくれて、ありがとうございました♪

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