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15 指名依頼

 結局この日、夕方まで狩り続け、私的には心から血反吐を吐くような思いをしつつ、10匹以上の虫型魔物を狩る事が出来た。

 

 擬態や隠形の能力がある虫型魔物が標的なので、普通の獣型魔物を見つけるより遥かに見つけにくいはずなのだが、ヨーコのハイスペック魔力探知のおかげで、だらだら森を歩くだけでサクサク発見できた。

 

 全てが巨大ナナフシという訳ではなく、花っぽいもの、葉っぱっぽいもの、他の植物や生き物に擬態したものなど様々だったが、全て擬態系だった。そして、その全てに鳥肌が立った。

 

 もう色が、形が、その質感がとにかく気持ち悪い。

 

 そこまでしても、魔石1つ出なかった。やはり小型の魔物からは魔石自体、出にくいようだ。分類は小型でも少し大きめの魔物なら、結構、高い確率で魔石を持っているらしいのだが、私はまだその実感を得たことは無い。

 

 夕方、私が街の門を潜るとお馴染みの尾行がついた。どうしても私の拠点を押さえたいらしい。いや、キモすぎるから――。

 

 ところが、今日は尾行の連中がグイグイ距離を縮めようとして来る。直接、話しかけて来るつもりだろうか。どうしよう、話を聞いてみようか?――やっぱやめとこう。

 

 私は全力で逃げた。速攻で探索者ギルド会館に駆け込み、肉と素材を売り、さっさと帰ろうとすると受付のお姉さんに「待った」をかけられた。

 

 何でもギルドのお得意様である好事家――美食家かな?そういうお客からの「指名依頼」が入ったというのだ。

 

 勿論、そのお客が私を指名したのではなく、探索者ギルドからの指名だった。お客が指名、じゃなく指定したのは「狩ってきて欲しい魔物」だ。

 

 私は初めて会議室のような部屋――実際、会議室かも――に通され、話を聞いた。

 

 小型だがちょっと珍しいその魔物は、そもそも見つけるのが難しいらしい。

 

 近くの街の探索者ギルドで活動する探索者からたまたま得た情報で、この街の近くに移動した可能性があるという。

 

 情報漏れを防止すべく、数組の探索者だけに指名で依頼を出して欲しいと言う指示があったらしく、何故か私も選ばれてしまった。

 

 何と報酬は前金で銀貨5枚、成果があっても無くても最大1か月探して後金で銀貨5枚、もし標的を獲って来れたら成功報酬として銀貨20枚という大盤振る舞いだった。

 

 私の生活レベルなら暫く遊んで暮らせる金額だ。

 

 ただ、成功しちゃったら次からも似たような依頼が来そうで、正直あまり気乗りしなかった。だからと言って、わざと失敗すると今回の場合、それでも銀貨10枚貰えちゃうので詐欺みたいで嫌だった。

 

 なので、やっぱり指名依頼自体、お断りしたかったのだが「勿論、受ける受けないはミラさんの自由です」と言いつつ、物凄い圧力をかけて来る受付のお姉さんによって、気付けば半ば強制的に受ける事になっていた。

 

 私は交換条件、という訳じゃないけど、お客に私の名前を伝えないという約束と、ちょっと尾行されてるかもしれないと話し、しばらく裏口から出る許可をもらった。

 

 流石に受付のお姉さんも、彼女の魅力的で圧力の強い目を丸くして驚いていた。

 

 裏口から出る事でサクッと尾行を撒くことが出来た私はそのまま拠点に帰って、ロナとちょっと話をして、安いパンを食べて寝た。

 そして翌朝から、私史上、初の指名依頼を達成すべく森へ入った。

 

 ☆

 

 流石に日課の発雷鼠は諦め、情報通り隣街の方角――西へ狩場をずらす。そうして、朝からレアモンを探しつつの虫型魔物狩りに精を出した。

 

(ちょっとミラってば!わたしばっかり探させないで、自分でもやってみなさいな!)

 

 魔力探知をヨーコに頼り切っていたら、叱られてしまった。

 

 私は自分でも魔力探知を試みる事になった。普段、ヨーコがやっているのを言わば、舞台裏で見ているので、やり方は分かるのだが、当然、経験値と腕が違い過ぎる。

 

 ヨーコが教えてくれた私の「能力値」は今、こんな感じだった。

  

□ ミラ(人族)(9)

□ 筋力  6(7) 

□ 瞬発力 9(10)

□ 持久力 6(7)

□ 耐久力 5(6)

□ 精神力 10

□ 魔力  12

□ 棒術   LV.5(UP)

□ 魔力感知 LV.5(UP)

□ 魔力制御 LV.2(UP)

□ 魔力探知 LV.1(NEW )

□ 魔法制御 LV.2(UP)

□ 身体強化 LV.1(NEW )


 何と、軒並みアップしているばかりでなく、新しい項目も増えている。そのせいで能力値も増えているっぽかった。

 

 察するに身体強化レベル1毎に筋力、瞬発力、持久力、耐久力、それぞれに+1という事らしい。非常に嬉しい。瞬発力は既に大人の男の人レベルだ。早く筋力その他も大人の犯罪者より強くなりたい。

 

 ちなみに、ヨーコの魔力探知レベルはいくつ?と聞いたらズバリ教えてはくれなかったけど2桁レベルらしい。文字通り桁が違う。 私はそんなに凄いヨーコでもやっぱり死ぬんだなと思った。どういう死に方かは分からないし何となく聞けなかったけど。

 

 いつも通りカレーとレモンティーでお昼休憩をして、お昼からも引き続き虫型魔物を狩っていく。魔力探知は常時発動しなくてはならずいつもよりやることが多く余裕がない感じだ。

  

 そんな状況に加え、昨日からさらに硬い虫、速い虫、臭い虫、強い虫と連日色んな虫型魔物と闘うことになったのに、それ程、苦戦にはならなかった。ただ、キモいだけだ。

 

 ここまでの発雷鼠、発火蜥蜴狩りとヨーコの指導で私の棒術の技量は急速に上がっていたし、僅かに能力値補正も付いた。そのおかげだろうか。


 夕方まで半ばヤケクソ気味に、虫型魔物を狩って移動を繰り返し、戦闘中も移動中も魔力探知でレアモン捜索を続けた。

 当然、私の拙い魔力探知ではたとえすれ違っていても気づかないかもしれないが、同時にヨーコも魔力探知してくれているのでそこは心配はない。


 いつもより隣町方面で狩っているため、いつもより少しだけ移動に時間がかかる。その為、少し早めに狩りを終えて街に帰る。

 

 門を速攻で通り過ぎると、探索者ギルドへ入って裏口から出してもらって尾行を撒く。売れるような素材的成果は何もないが、そういう約束なのでギルドのお姉さんが協力してくれた。

 

 虫の素材なら持ち帰れるのだが、そうするとレアモン捜索に全力じゃないというお叱りを受けるかもしれず、自重する。まあ、正直、素材でもキモいのでそれほど惜しいとは思ってない。

 

 そんな生活が1か月弱続き、そろそろ契約期間が終わろうとしていたある日、私はいつもは感じない、強めの魔力を持った存在を感知した。

 

「――近くに、何か居る……?」 

 

 ヨーコに意識を向けると、とっくに気づいていたらしく、若干のドヤ感もしくは生暖かく見守られていたような感覚を覚えた。

 

(ええ、間違いないと思うわ。せっかくだから最後まで自分で探知してみて) 

 

 そして急に、ヨーコの試験が始まった。



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今日連続投稿2話目です。1話目があります。

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読んでくれて、ありがとうございました♪

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