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第三十話 恐竜の存在って疑っているか?信じているだろう

「生ビールひとつとウーロン茶ひとつ」


愛想の無い定員がオーダーをとって、オレ達のテーブルにガシャンと飲み物を置いた。


「心音ちゃん。どこに行っちゃったのかなあ。どうしてひとりで家を出たりしたんだろう」


「あまり気にするな。子供の足でどこか行こうとしてもたかが知れているさ。警察が動いたんならすぐに見つかるよ」


「僕、なんか嫌な予感がするんですよ。ここだけの話として聞いてもらってもいいですか?」


「なんだよ。言ってみろよ」


「なんとなくですけど、神隠し的な何かに巻き込まれたんじゃないかって思っているんですよね」


「どうしてそんなこと思うんだ?」


「そう言うことって実は身近にあるんじゃないかって思うんですよ。最近。生馬さんと色々話すようになってからかなあ。不思議なものにも実はちゃんとした正体があって人間界に不思議な事を巻き起こすって」


「さすがに話が飛躍しすぎだな。オレの話だって本や何かで読んだことがあるってだけの話だぜ。最近そんな話をしたからってそんな怪奇現象なんて簡単には起きやしないさ」


「僕がそう思うようになったのは生馬さんのせいですよ。色々と不思議な現象や不思議な生物の話を聞いていると実際に何が起こってもおかしくないような気がして。そう言えば今日もなんか不思議な話ししましたね。ベヒモスとか」


「ああ。したな」


「天の使いって話も初めて聞いたなあ。どんな奴なんですか?」


「お前らのいう天使ってやつさ」


「じゃあ、めっちゃいい奴なんですよね」


「迷惑なやつだよ。時には人間がすごく喜ぶようなことを起こしてみたり、ピンチになったときは逆に知らんふりしてみたり。気ままなやつだよ」


「でも、いいことも起こしてくれるんでしょ?」


「例えば宝くじの1等が当たったりな。だけど数億とかいう金額が当たってしまうなんて人間まともな神経じゃいられないぜ。誰かに狙われたらどうしようと人間不信になってしまったり、急に浪費家になって数億なんてあっと言う間に使いきっちゃって、高額なローンだけが残ったり」


オレはビールを飲み干しておかわりをオーダーした。いちいち頼むのも面倒くさいから三本まとめて頼んだ。


「あとは死んだ爺さんが多額の遺産を残してあるようにしたりな。そこから残された人々の骨肉の争いが始まるってわけだ」


「なんだか意地悪なやつですね。ベヒモスってのはろくなのがいないなあ」


「大概ははろくでもないな。だが天の使いのすることは大概人間にとっていいことなんだぜ。それを人間が自分の欲のために悪い方向へ持っていったりするんだ」


「どうでもいいけど生馬さん飲み過ぎじゃあないですか?」


「最近ないくら飲んでも酔わないんだよ。ビールくらいじゃな」


「確かベヒモスって悪魔、デモン、サタンっているんですよね。それが海にいるやつがレヴィアタン、天空にいるのがジズでしたっけ」


「基本的にはそうだな。だけどオレの知らないベヒモスも他にもいるだろうけどな」


「それで、宇宙人は空からやってくるからジズになるんでしたっけ?それってあれですか。地上にベヒモスもいるのだからジズも存在するって論法ですか?」


「別にそう言うわけじゃない。ジズをはっきりみたっていう証言もあるし、そもそもその存在は絶対的にいるんだよ」


「すごいな。なんでそんな風に見てきたように信じられるんですか?」


「お前、恐竜の存在って疑っているか?見たことも良く聞いたことも無いけど信じているだろう。それと同じことさ」


「なんか納得できるようなできないような、だなあ」


「まあ、少なくとも言えるのは心音ちゃんがいなくなったのはベヒモスなんかのせいじゃないってことだ。こういう言い方も何だが、ベヒモスには人を殺す力はあっても姿を隠すことなんてできないからさ。まあ、相手がジズであれば宇宙にでも連れて行ってしまうこともあるだろうけど。そんな非現実的なことばかり考えていたら頭がおかしくなるぜ」


「そうですけどね。最近生馬さんとこんな話ばかりしているからですよ」


話を切り上げ、会計してからもう一度支店長の家の周りを藤井の車で捜索する。見落とさないようにスピードをあまり出さずに道を走る。


三十分程探したが何の気配も見つからなかった。物音もしないし人影だって無い。夜二十二時を過ぎている住宅街なんてこんなものだろう。オレが猫と心音を喰した路地を通ったときもオレは何にも焦ることすらもなかった。


車は路地を何事も無く通過した。もしかしたら捨てた猫の死体の一部も食っといた方が安心だったかなと思った。藤井はため息まじりに言った。


「ダメですね。結局見つからなかった」


「気にすんな。警察に任せるのが一番さ。もしかしたらもう家に帰っているのかもしれないし。オレ達も今日はもう帰ろう」


藤井がオレの家まで連れて帰ってくれた。家に帰ると美佐子が心配そうな顔で出迎えた。


「どうしたの。こんなに遅くなるなんて」


「ああ。色々あったんだ。支店長の娘さんが迷子になって警察が動き出す程の騒ぎになったんだ」


「え。心音ちゃんが?まだ見つかっていないの?」


「今はどうか分からないが二十時くらいまでは支店長と一緒に探していたんだ。それで藤井と居酒屋で時間を潰して帰り際にもう一度探してきたってわけさ」


「それは心配ね。心音ちゃん無事でいればいいけど」


「心配無いさ。日本の警察は優秀さ。さあ、シャワー浴びてくるから今日はもう寝よう」


オレ達は布団の中で手を握り合いながら眠った


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