第二十話 おとなの性行為
オレはいてもたってもいられずに取りあえず美佐子の手を握った。美佐子がオレの手をとって、ふたりはお互いの手の指を絡めるように手を握り合った。ひとまずここまでは美佐子はオレを受け入れてくれたのだと悦びもひとしおだった。握り合った手は湯の中にありオレが汗をかいていることをもみ消してくれる。その代わり額から出る汗は尋常じゃなかった。悪魔のオレがこれほど汗をかくのはこの先の行為に大変興奮していることの証であった。オレは指先で美佐子の二の腕あたりに触れてみた。優しく美佐子に触れたいと思っていたので、指の爪のはらで二の腕をできる限り優しく撫でてみた。
「くすぐったい」
と美佐子は言ったが体はオレから逃げようともせず笑顔を見せてくれる。
オレは次に片手で美佐子の二の腕を掴んで、そして優しく揉んでみた。彼女は何の抵抗もしない。オレにされるがまま体を預けて頭をオレの肩に乗せてきた。オレはもうたまらず彼女の耳にキスをした。耳から頬へ、頬からうなじへ舌を滑らせた。美佐子は小さな声であえいだがオレの行為を拒否することはなかった。オレは思い切って美佐子の体に巻かれた白いバスタオルのうえから彼女の乳を揉んでみた。その感覚は今までに味わったことのない、まるで大きなマシュマロでも掴んでいるような感覚だ。白いタオルのゴワゴワの上からでも彼女の乳房の柔らかさが伝わってくる。オレは美佐子の背後に回り込み、両手で彼女の乳房に触れてみた。口では彼女の耳からうなじ、背中渡ってにキスをし続ける。こんなに気持ちの良いことがあるのだろうか、オレには行っている行為が決していやらしいものではなく、とても神聖な儀式だと思えて仕方がなかった。
突然美佐子の舌がオレの口の中に飛び込んできた。ふたつの舌はつつきあい、お互いを縛りつけるかのように絡み合った。これ以上はもう我慢ならん、とう気持ちで美佐子の体を覆っている白いバスタオルをはぎ取った。急に裸にされると彼女も驚いてしまうだろうから、何かを羽織わせる代わりにオレ自身が彼女全体を包み込むように抱き締めた。何故だろう。オレはこんなにも彼女に夢中になるのか。愛に理由はいらないというが、これが愛というものなのだろうか。オレはそうに違いないと確信していた。悪魔にだって愛情くらいあるものだ。ふたりが愛し合うのに、必要なものはもう全て揃っていた。ふたりは互いの体を重ね合わせオレ自身を彼女の中にいれて激しくついた。彼女は息を荒くさせ、その息の荒さでオレは余計に興奮した。彼女は荒い息の中に小さなあえぎ声を出して、ついにはその場で痙攣をおこしてしまった。
「大丈夫かい?」
息を荒くしたオレはそう聞きながらまた彼女のうなじにキスをした。
「もうだめだよ」
彼女にそう制され、最後にオレは彼女の唇に軽くキスをした。
ふたりは改めてもう一度湯船に浸かった。こんどはお互いに体にタオルは巻いていない。
我々は外の景色をみながら語り合った。スイレンや赤松の色どりが非常に美しい景色だった。彼女にこう尋ねられた。
「ねえ。最近どうしたの?」
「何がだい?」
オレは何も心当たりがないという感じで逆に彼女に聞き返した。
「最近のあなたは変わったわ。悪い意味じゃなくなんかとても情熱的になったというか」
オレは彼女の頭をオレの肩に乗せて答えた。
「キミの美しさに我慢が出来なくなったんだよ。今までは我慢していたんだ。だけど、最近のキミの美しさを見て、また新たに愛してしまっただけだよ」
彼女は何も答えず下を向いていた。そして目を伏せ、
「ありがとう」
とだけ言った。




