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第19話 5カ月経過

 ラボ内でのリアの落ち込みをよそに、ヴィオラの視線が棚の一つの小瓶に止まった。

 彼女は手を伸ばし、それを取り上げると、眉をひそめて呟いた。


「これは……?」

「ああ、それ? そこにロールバックした状態の要素が入ってるんだ。肉眼では空の小瓶にしか見えないけどね」


 それに気が付いたリアはそう説明した。

 ヴィオラは更にその小瓶をじっと見つめた。


「この中……かすかだけど魔素を感じるわ」

「魔素……? 魔素!?」


 リアの声が一気に高くなった。


「ええ、この小瓶から微弱だけど確かに感じるの。間違いないわ」

「魔素が入ってる……後で混入したとは考えにくい……え、もしかしてそういうことなの……?」


 リアは独り言のように呟きながら、空中に浮いたパネルを操作し始めた。

 数分後、彼女は新たな小瓶を手に取り、ヴィオラに差し出した。


「ヴィオラ! この小瓶に魔素を込めたりできる!?」

「たぶんできると思うわ」


 ヴィオラは小瓶を受け取り、その中に魔素を込める集中を始める。

 小瓶の中が一瞬、淡い光を放つのを見て、リアは声を上げた。


「わっ! これもしかして……!」


 興奮したリアは小瓶を機械にセットし、すぐに計測を始める。

 画面に映し出されるデータを見て、彼女は目を輝かせた。


「すごい! 完璧じゃないけど……ナノマシンに近いものができてるよ!!」


 リアは歓喜のあまり、ヴィオラの両手を取り、勢いよく振った。


「ありがとう! ヴィオラ!」

「研究が進んだのなら良かったわ。それにしても、ナノマシンの元に魔素が使われているなんて……サイバーシティにも魔素が存在するのね」


 ヴィオラは冷静にそう分析した。

 リアはその言葉に頷きながらも、困惑した表情を浮かべた。


「そういうことになるのかな……ボクには一切感じることができなくて、考えにすらなかったよ。サイバーシティでどうやってナノマシンを作ってるんだろう……」


 ヴィオラも一瞬考え込んだが、


「それは今後の課題ね。今は研究が進んだことを喜びましょう」


 と微笑んだ。

 その言葉に、リアも頷き、再び意気揚々と研究に取り組み始めるのだった。

 魔素という未知の要素を発見したことで、研究は新たなステージへと進み始めていた。

 リアの奮闘の日々はまだ続きそうだ。

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