ゲームのオフ会に行ったら爆乳美女とホストとキャバ嬢がいた話3
「棗さん! いつもお世話になってます! ねこまんまです」
棗さんとは、檸檬くんとの次によく一緒に狩りをする仲だ。私が前衛で、棗さんは弓使いだからキャラの相性が良いのだ。
「えーー! ねこまんまなの?!うわっ、ほんとに女の子だったの!? 絶対ムキムキのおっさんか、中太りのおっさんだと思ってた!!」
「何にしてもおっさん(笑)それちょっと酷くないですか(笑)」
「いや、だってあのキャラメイクだよ?ネカマのネタキャラでしかないでしょ(笑)ってかごめん、ヤローだって決めつけて、エグい話多かったよね」
狩り中タイピングをする余裕があるらしい棗さんには、よく幼馴染やセフレとのエグい行為を聞かされていた。いや、ゲームの中では文字だから読まされていた?
「あ、狩り中こっちそんな余裕ないんで、ほとんど読み飛ばしてたから大丈夫でーす」
狩りの相性は良いがはっきり言ってゲスだ。ゲスの人だ。
「ちょっと棗ーー、あたしのねこまんまちゃんに何話したのー。めちゃくちゃ軽蔑の目で見られてんじゃん」
「いやぁ、セフレとのあれやこれや、全部垂れ流しだったよね? 中身が女子って知ってたらあそこまで言わなかったのになー……」
「だから女だって、何度も言ったじゃないですかー」
そんなに顔に出てただろうか。ミラクルさんがテーブルを挟んで手を伸ばし、頭を撫でてきた。
「よしよーし、棗に触られたら妊娠するし、棗の話なんて聞きてたら耳腐るからねーー! ねこまんまちゃん大変だったねー」
「アハハ」
檸檬くんが場所を変わってくれて、テーブルの端っこ、コッペパンさんの向かい側に座るとジョッキを持ったりなさんが移動してきた。
「ねこまんまちゃん、本名はなんて言うのぉ?下の名前だけも教えてぇ」
「桜って名前でそのまんまの漢字だよ。真白さんはりなちゃんって言うんだね」
「りなだよぉ。ハヤト、お客さんに営業連絡入れてるからこっち来ちゃったぁ」
なんか……目が座ってない?
「りなちゃん、飲みすぎじゃない? 食事も取ってる?何か入れたほうがいいよー」
「ダイジョブダイジョブ、いつも、これよりもっとすごい量飲んでるからぁ。こんな薄いハイボール、水みたいなものよ」
りなはぐびぐびとハイボールを煽るとダンっとテーブルに置いた。
「それよりさぁ、聞いてよぉ!この前のオフ会でハヤトがさぁーーJKの結ちゃんにさーー」
周りを見やると“御愁傷様”といった目で見られる。りなちゃん、絡み酒タイプかぁ……いや、ゲームでもこんな感じだから通常運転なのかも。
結ちゃん、今日は来れなかったんだ。高校でいじめにあってると話していた結ちゃん。電話番号を交換して、話したこともあったが泣いていた。ゲームの中だけが、ギルメンだけが心の居場所だって言ってた。
遠方じゃなければ、リアルでも遊びに行ったのに……
「だからさぁーーりな、もう結ちゃんとは口聞かないのっ」
「ーーえ?」
「りーな、悪いのはハヤトの方じゃん。JK口説くなんてやばいって」
「えーー、りな見てなかったから知らなぁい。結ちゃんが言い寄ったんじゃないのぉ? 私のハヤトに手ぇ出す女は、キライっ」
「桜ちゃぁん、ゲームみたいになでなでしてぇ」
よしよしと頭を撫でると、そのままりなちゃんは派手なネイルの合間からハラハラと美しい涙を流す。
前回の事情を知った風のミラクルさんと手洗いに移動した。
「大丈夫かなぁ……」
「ねこまんまちゃん気にしないで。りなはいっつもああなんだ。ミラクルもそろそろ吐きに行く頃だからそっとしといてー……」
いつの間にかあゆみさんの向かい側に移動したコッペパンさんと、暁さんあゆみさん、棗さんとで何やら話し込んでいる。
あれーー?さっきまでハヤトさんいなかった?
「ねこまんまちゃーん、飲んでるー?」
右隣にやってきた。声がチャラい。喋り方がチャラい。向かい側ガラ空きなのに、狭いって。
「私今日駅まで車なんで、ジュースなんです。ハヤトさん」
「ハヤト、あんまり近づくとまたりなさんに怒られるよ」
檸檬くんはそう言うと、顎で向かい側に座るよう促した。
「ハイハイーーっと」
「ねね、ねこまんまちゃんはホストクラブ、行ったこととかあんの?」
「いやー、無いですね。お酒もそんな飲まないし」
「じゃあさじゃあさ、コールとか聞きたくない? オフ会初参加だし、サービスするよ」
そう言うとハヤトはウインクをして立ち上り、咳払いをした。
「グイグイ!」
「「グイグイ!」」
「グイグイ!」
「「グイグイ!」」
「グイグイよし来い!」
あゆみさん達が合いの手を入れて爆笑が起こる。
「ハヤト張り切りすぎーー!」
「声張れるようになったじゃんハヤトー」
「ねこまんまちゃんに店来てほしくって、張り切ってみた」
 




