表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/42

居候【檸檬視点】その2

 忘れ物を届けてもらった時は少し警戒して、家の近くのカフェであった時は更に警戒してしまった。ねこまんまが、そんなことするわけないと思いつつ……念の為出待ちをして話してみると、会社の近くなんだという。

 後をつけられていたわけではないと知り、安心した。


 あゆみさんのパーク行きたい病が発動した時、ねこまんまが……桜が、行くと言うから自分も行くことにした。


 猫耳のカチューシャをつけた桜がキラキラして見えるから不思議だ。

 揃えたかのように見える、黄色い耳のカチューシャを桐谷くんがつけようとして、咄嗟に交換してもらう。

 いつもなら、なるべく顔が隠れるものにしたはずなのに、どうしたんだーー?

 自分で自分の行動がわからない。


 途中から二人で回ったパークは、蒼一と来た時より何もかもが煌めいて見えた。


 “いつから”とか“なんで”とか、わからない。会わない間も、ふとした拍子に桜のことを考えるようになっていた。

 いくら怪しい人がいるからって、家に居候させるなんて、きっと桜じゃなきゃしなかった。


◇◇◇



 気付けば席に戻って、3人で狩りをしていた。

 桜は攻撃に必死で、チャットを打つ暇はなさそうなのに対し、棗さんはペラペラとチャットを打ちながら狩りをする。


「今日も、棗はトークが絶好調だね」

 同じ部屋でゲームを操作する桜が口を開いた。


「だね。二人はなんだかんだ、仲良いよな」


 自分で言っておきながら、胸がチリっとした。


「ーーーーーー?」


「ゲームだから、話しやすいんじゃない? オフ会してから、ゲストークはすっかりなくなったどね。男の人同士って、そういうのも結構平気で話すのかなとか本気で考えたよ」


「はは……棗さんが特殊なだけじゃないかな。桜も大変だったな」


 実際蒼一とは、そう言う話はあまりしたことがない。しかし彼はこの前初めて彼女ができたのだから無理もないが。


“何か今日、二人ともいつにも増して静かじゃん? どした?”


 ゲームの中の棗さんが、そう言った。


“リアルで話してた。今、訳あって檸檬くんの家に居候させてもらってるんだよね”

「あ、それ言っちゃっていいの?」

「ん? 棗ゴールドさんと繋がりないし、大丈夫だと思う」


“ちょっと、何その美味しい状況! 檸檬くん!”

“いや、棗さん絶対ゲスいこと考えてるでしょ”

“現実で困ったこと起きちゃって、たまたま居合わせた檸檬くんが助けてくれたんだよー”


 狩場でスキルを発動して敵を倒しながら、棗さんはニヤニヤ顔だ。


“じゃー、俺がせっせとチャット打ってる向こうで、会話しながらヤってるわけだ”

“変なとこでカタカナ入れないでよね。チャットしてゲーム操作しながら話す余裕は中々ないよー”

“だね。リキャストタイムカウントしてるし難しい”


 実際次の魔法を打てるまでの時間を数えるから、そこまで話しながらゲームをする余裕はない。


“二人は、付き合ってるわけ?”

“だから違うってーー”


「ごめんね廉くん、棗ってばしつこいんだから」

「大丈夫だけど、狩りしにくいね」


“そろそろ狩り終わりにする?”


 その一言で、アイテム精算をしに街へと戻った。

 ねこまんまが拾ったアイテムを分配していると、棗さんから個別チャットが来た。


“何があったか知らないけどさ、良かったな檸檬くん”

“どういう意味ですか?”

“ーー? とぼけなくてもいいじゃん? 檸檬くん、ねこまんまのこと好きだろ?”

“この前のギルドオフ会も、俺から離そうと必死だったじゃん。無自覚?”


「ーーっ」


 好き? 俺が桜を?


 サッと顔が熱くなる。


「あれ、廉くん顔赤いよ? どうしたの」


 個別チャットを見られないように、慌てて閉じたーー。

ブックマークやページ下部のポイント☆☆☆☆☆評価いただけると執筆の励みになります。是非お願いします!いいね等もありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ