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ゲームのオフ会に行ったら爆乳美女とホストとキャバ嬢がいた話

「連れてきましたー」

 檸檬くんが座敷の個室席の引き戸を開けると、賑やかな男女の声が聞こえる。

「ご苦労様ー、遅かったねー!」

「檸檬くん、ねこまんまさんはやっぱ男だったでしょー」

「檸檬くぅん、こっち座りなよぉ」


 私より遥かに背の高い檸檬くんが中に入ると、緊張で高鳴る胸をおさえ、深呼吸の後、一歩遅れて中へ進んだ。


「遅れてすみません! ねこまんま、ただ今到着しましたー!あと、残念だけど女です」


 部屋の中には、はじめましての男女6人がいる。


 わー、誰が誰だかわっっっかんない!!!!


「わーーーー! ねこまんまさん、ほんとに女の子だったの! しかもかわいーーい! こっちおいでよ」

「えっと、失礼します」


 そう言った、ショートヘアのお姉さんの隣に腰を下ろすと、檸檬くんも私の隣に座った。


「あゆみさん、ねこまんまさん多分、誰が誰か分かってないですよ」


 あゆみさんと呼ばれた、隣の爆乳のお姉さんは驚いた様子で私の腕を掴むと、“むぎゅっ”と音がしそうな胸を押し当ててきた。

 デコレーションされた爪までかわいい。


「ほれ!!Jカップ ギルマスの"ミミミ"だよ! ヤダー……、一目瞭然かと思ってたーー」


「あ! あぁミミミさん! 始めましてー! ねこまんまです、今日はよろしくお願いします!!」


 ミミミさんは肩までつかないくらいの茶髪がふわっとカールしていて、タレ目気味の優しそうなお姉さんだ。

 胸元の大きくあいたワンピースを着ている。


 Jカップって本当だったんだ……そんなに押し当てたら……胸がこぼれるっ。


「始めましてー。よろしくーー!」

「みんなー、ねこまんまさんは“唄う者”のオフ会初めてだから改めて自己紹介しよーー♡」


 向かい側やミミミさんの奥を見渡す。

 思ったより派手な人が多いなぁ。

 あ、眼鏡の人もう一人いる。


「助かります。誰が誰だか全然わかんなくって」

「じゃあ俺から。副ギルマスで“ミミミ”のゲームでのダンナ、(あかつき)だよー。社会人でーす。ねこまんまさんよろしくー。檸檬(レモン)くん、ヨメ来て良かったなー」


 だるそうに喋るその人は、縮毛でもかけたかのようなサラサラの黒髪で、黒いタンクトップに黒い半袖シャツを、片側の肩を出しルーズに羽織った出で立ちだ。檸檬くんより背が高そうで、ミミミさんの奥の席でひらひらと手を振った。


 “ダンナ”と言う言葉にドキリとするが、私を檸檬くんのヨメと言うあたり、ゲーム内のことだ。


「次は私ね。

 改めまして、ゲームではミミミ、本名“あゆみ”でギルマスでーす。

 社会人で劇団にも入ってるよ♡

 現実では“あゆみ”って呼んでね♡

 今日は来てくれて嬉しー!

 じゃ次は、暁の向かい側からー」


 向かい側に座るのは、メンバーの中で一番若そうな男の子だ。長い前髪を片目が隠れるように流し、脱色されたアッシュヘアのトップをツンツンさせてーーなんだかチャラそう。


「ハヤトでーーす。ホストネームもハヤトでーーす!大学生だよ。ねこまんまちゃん、ほんっとカワイイね。なんでゲームキャラはあんなムッキムキにしちゃったの(笑)」

「え、あのキャラ格好良&可愛くないですか!?」

 誰からも同意は得られない。


 その隣は小柄だが見るからにスタイルの良さそうな女の子が“酒は血液”と達筆な書体で書かれたVネックのTシャツにジーパン姿で座っていて、揺れるピアスと宝石のついたネックレス。

 普段のゲームの会話から誰なのか察しがついた。


「えっとぉ、りなだよぉ。ゲームでは“真白”でプレイしてますぅ。ねこまんまちゃん、やっと会えてうれしっ。えっとぉ、キャバやってるよぉ」


「はいはーい!次私!

 誰だかわかるー?

 ミラクルだよー!

 大学生、なんと今日は大阪から来ましたー!

 あゆみん家泊まってまーす!

 産まれはこっちだから、関西弁はできませーん」


 りなが言い終わるや否や元気よく切り出した女の子は、胸元が大きく開いたタンクトップに豹柄の見せブラ、デニムのショートパンツを履いた、足丸出しの引き締まった身体の子だ。髪にメッシュが入ってアクセサリーもジャラジャラついている。


「んで、こっちの眼鏡が相方の“コッペパン”」

「それねww “眼鏡”が本体みたいな言い方やめてよね。コッペパンです。SEしてますよ。ねこまんまちゃん隣の県だったよね。途中まで車で来たから、飲むなら送るからね」

「こらっ!浮気は許さんよー」


 コラッと言う音とともに小気味よく背中を叩く音が聞こえ、コッペパンさんの眼鏡がずれた。

 ゲームでも語尾に“ね”が多かったが、現実でもそうみたい。

 短髪に茶色縁の四角いメガネをかけ、緑色のネルシャツにデニム姿でちょっと野暮ったい。

 確かーー28って言ってたっけ。

 ミラクルさんとは年の差のあるリアルカップルなんだとか。


「じゃ次は檸檬くんー」

「……なんか改まると恥ずかしい。檸檬です。大学院生してます。ねこまんまさん、後で連絡先交換しよ」

 檸檬くんは全体的に髪が長めの栗色で、目元を前髪で隠し黒縁眼鏡、レイヤーの入った襟足も若干伸びて鎖骨につきそうだ。細身の体にダボッとしたスモーキーブルーのTシャツ、銀のロングネックレスをかけていた。


「みんな交換してるんですか?」

「してるしてるー♡むしろヨメなのに、まだ交換してなかったんだー♡真面目だねーー!じゃ、ラストはねこまんまちゃんよろしく」


 何言おうかな。こういうの苦手だけど…


「ねこまんまです。社会人、ゲームではネカマに間違われるけど正真正銘、女です。あとあのムッキムキキャラ気に入ってます!」


 片側だけ編み込んで左に流した髪は、ゆるいウェーブを描きながら胸下まである。服はお尻が隠れる半袖チュニックにクロップド丈のデニム、猫モチーフのイヤリングとネックレスをつけて来ていた。


 メンバーの視線がささる。

 お、お洒落してきて良かったーー。

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