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陰気なリア充おやじのチラ裏。  作者: おぎん
まだまだ自分語り。
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マウスで絵が描ける世代。

 小さな頃から絵が上手だと褒められて育った。今にして思えば、心臓病の弟が受診している間にお絵描きをして時間を潰すことが多く、描いた数だけ上達したという面もあったろう。


 ご多分に漏れず将来は漫画家になりたいと夢見たりもしたが、それを口にすると母は漫画の神様を例に挙げて「お医者さんになれるくらい勉強したからこそ面白い漫画が書ける」と力説したもので、子供心に親の望む道と言うか安心できる道ではないんだな…と意気消沈したことを覚えている。まあ、私も息子たちが同じようにクリエイターを志望したら心配はするな。確かに。


 いくら親の期待通りにエリートコースを進んだところで本当にやりたいことはできないんだな…と無意識に不満を覚えていたのかもしれない。小中学校では学年トップクラスの成績を維持して高校は県内上位の進学校に通ったが、勉学はそこで息切れしてしまった。同じように小中学校で学年トップクラスだった連中の中で埋没していき、担任の先生に「入学試験は数学でトップだったのに一体どうした?」と叱られたことを覚えている。


 そんなこんなで親の期待に応えるにも夢を追うにも半端な状態のまま、母が鬱病になり、大学受験にも失敗し、それで母の鬱病が悪化して寝込んでしまい、いよいよ夢を追うことを諦めた。それで諦められたのだから本気ではなかったと言えるし、実際、社会に出ずに創作活動に勤しんだところで独り善がりな作劇しかできなかったろうし、編集者と丁々発止のやり取りをすることも、万が一に商業デビューできたとしてアシスタントに指示を与えることも覚束なかったろう。


 丁度その頃にケータイ小説のブームが到来して、いくつものタイトルが映像化された。漫画家にはなれずともネットで小説を書いていればワン・チャンスあるのでは…とは思ったな。それこそ自分で漫画にできなくても、コミカライズしてもらえるとかアニメ化されちゃうとか。


 それから20年たった今、結果として完全にワンチャンなかったわけだが、まあ、若い頃に小説を書いてみた経験が実務の役に立ってはいる。文章力云々よりも、作劇の幅を広げるため、リアリティーのある人物描写の参考にするため、出会う人を漏れなく観察して「この人にはどういう背景があってどんな心境でこんな発言をするのかな」と推量する癖がついたことが大きい。良くも悪くも物事を俯瞰で見られるようになった。


 どんな経験も必ず後に役に立つものだとまでは言わないが、まあ、思わぬ形で役に立つこともあるなという話である。


 なお、画力の方については、三男の入院中に子供たちが好きなキャラクターのマグネットを手作りしたり、子育てにおいて結構フル活用してきたのだが、妻が難病の子供たちからのリクエストを安易に聞いて「一応、作ってくれるかどうかわからんとは言うとるで」とキラーパスを振ってきた時は本当に痺れた。それこそ余命どれほどとも知れない子供もいるのに、期待させておいて「忙しいから無理」とか返せるか〜? 妻はこの辺の機微に疎く、あっけらかんと「約束はしてないやんか」とか言い放って無自覚に人を不快にさせることが多々あるのが。全く。


 ワンオペで長男と次男を育てて「組織」からは「子育てなんぞと言い訳をして定時で帰るいいご身分なんだから同僚の仕事も代わりにやってやれ」とか言われてかなりの修羅場になっていたさなか、ギガキマイラとかいう死ぬほど描くのが大変なウルトラ怪獣を含むキャラクターもののマグネットを手作りして提供しましたよ、本当にもう! 喜んでくれたとは聞いているから、まあ、少しだけでも彼らの慰みになったのなら良かったと思う。

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