表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陰気なリア充おやじのチラ裏。  作者: おぎん
黒歴史の続き。
87/607

ジュリアの懺悔10

「馬鹿が、どこまで侵食されている」


 「天使」を祓い、荻野真咲が吐き捨てるように呟きました。自分と瓜二つの姿の荻野柾を目の当たりにして。


「ふざけるなよ…私さえいなければ世界は平和だったんだろ…なんでわざわざ…私になろうとするんだ…!」


「姉さん…なのか、あんたが」


「姉さんじゃない。私は産まれてきちゃいけなかった、存在しちゃいけなかった人間なんだ。私が産まれたからたくさんの人が死んだよ? 私もいっぱい殺した…知りたくなかったよ、そんな真実…あんたは、あんたはそんな呪いとは無縁だろ! あんたは、あんた自身でいろよ! せいぜい幸せな人生を謳歌してろよ、馬鹿!」


「あんたも、そんなことを言う…!」


 瞬間、柾は真咲に襲いかかり、泣き叫びました。


 今更! 今更! 今更! 出てきて、みんなが、僕を、偽物だって! なんなんだよ、なんなんだよ! じゃあ、あんたが最初からいてくれよ! 最初っから! なんなんだよ! もう! あんたが本物なら僕はなんなんだよ! なんなんだ! なんで産まれてきてしまったの、教えてよ、姉さん、姉さん、助けてくれよ、どうしたらいい、どうしたら許される、どうしたら生きていていいって、誰が、許してくれるの、誰が僕を許してくれるの…?


 動揺した真咲の隙をつき、柾は姿を消しました。妖精リアを、その場に残したままに。真咲たちとともに柾を追うこともできず呆然と立ち尽くす私に、リアがぽつりと呟きました。


「わらわが、マサキを追い詰めた」


 私は何も言えませんでした。涙が止まらなくて、何も言えませんでした。


「あれは優しいから、いつも傷ついていたよ。わらわはそうと知りながら、あれの優しさに甘えてしまった」


 妖精ネネコが無言でリアを抱きしめました。泣きじゃくりながら、リアが言葉を絞り出します。


「出会わなければ、良かったのか? わらわと過ごした日々は、お前を苦しめただけだったのか? マサキ…マサキ…マサキ…どうして産まれてきてしまったのかなんて…そんな悲しいことを言わせるために…わらわは出会っ――」


「そんなわけないでしょ!」


 ネネコの怒鳴り声にびくりと身を震わせ、一拍してから、リアはネネコの胸の中で啜り泣きました。


 私は、何も言えませんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ