ジュリアの懺悔8
私たちが平行世界からきた異邦人たちと接触した頃、妖精ヒィナと一級魔法少女・神谷ヒカルこと八神あかりが、妖精ネットで魔法少女たちに宣戦を布告していました。この中に「魔女狩り」がいることはわかっている、何人がかりでもいい、かかってこい。それともボクがこのまま零級魔法少女になるのを黙って見てる? ヒィナは王族として、貴族たちの暴走を牽制しようとしたのです。
あかりが提示した決闘の場は福岡にある大きな公園。二級魔法少女・荻ノ花真咲の相棒リアが目撃された商店街の近所でした。牧野皐月と荻野柾は決闘の場であかりと接触し、その意図を確認します。柾は自分が囮になることを決め、あかりとの決闘に臨みました。
この場には密かに日本中から魔法少女たちが集まっており、二人の決闘の様子を伺っていました。ランキングツートップのどちらが勝利しても、もう誰も追いつけない。決着が着こうとするその時、荻ノ花真咲は自分の手で倒さなければ。零級魔法少女になれたら願いを叶えてもらえるかもしれない。家族の病気を治したい。友達を苦境から救いたい。彼女たちは「善意」から生まれた願いを叶えるため、荻ノ花真咲に歪んだ「悪意」を向けたのです。
あかりとヒィナは妖精の貴族たちの政争から離れた立ち位置にいた故に、魔法少女たちを必要以上に刺激したことに気がついていませんでした。
一方で、そもそも「魔女狩り」は魔法少女とはまた別に存在していると推測していた千秋早苗は、魔法少女同士での争いを牽制するため、妖精ネットで二人の決闘の様子を実況します。
この場にいた全ての魔法少女が「善意」で行動していました。それが皮肉な結果を招くことを知らずに。
皐月に頼まれ私が妖精ネットにアクセスしたその頃、麻衣子とともに妖精ネットに不正アクセスした「フェイクスリー」イゼベルは、早苗が実況するあかりと柾の決闘を目の当たりにし、柾を味方に引き入れることを画策します。イゼベルは私を「ジョゼット・レヴィに属する者」「殉教しなかったヨハネ」と呼んでから、妖精ネットを破壊しました。イゼベルは麻衣子を連れて決闘の場に向かいます。
決闘は、柾が勝利しました。とどめを刺そうとして見せたその前に、隠れていた魔法少女たちが立ち塞がりました。
そこに「フェイクスリー」イゼベルと「魔女狩り」妻木麻衣子が現れ、魔法少女たちを次々に狩りました。彼女たちは一級魔法少女と互角に戦える力を持ち、牧野皐月にもその凶行を止めることができませんでした。
「魔女狩り」麻衣子は雷の力を魔法少女の頃より凶悪な形で行使することができました。脳内の電気信号に作用し、その記憶を書き換え、感情を操る能力。
イゼベルは、荻野柾を「フェイクツー」の代わりにしようと企てたのです。
「フェイクツー」の記憶。荻野真咲をエミュレートするために植えつけられた偽りの記憶。妻木麻衣子と妖精アリアロッタと過ごした記憶。
――柾の心は壊れてしまいました。




